Kombuchaとブリューワリーの両方が楽しめる

文&写真 by ヤマトノオロチ

令和への代替わりとなった今年。日本のビール界ではサッポロビールがソラチエースを凱旋発売するなど、新時代と懐古が織り交じる年になった。ミシガン州でもクラフトビールの人気は続いている。

 Oakland Countyを東西に横切るI-696と南北に走るWoodward Avenue。いずれもデトロイト南東部の大動脈。Ferndaleは自動車産業の興隆とともにベッドタウンとして急成長したが、産業の衰退により、街の再生化を図ってきた。Woodward Avenue と9Mile Rd.近辺にはいくつかのブリューワリーがあるのは、歩行者にやさしく、と街づくりの方向を転換したからだ。1月にオープン3年目に入るUrbanrest Brewing Co.はそのダウンタウンよりも少し住宅地寄りにある。

 洒落たCottage styleの懐古的な家々とそれを両脇から覆いかぶさるように聳えるオークの木々。路上に降り積もった枯葉が閑静な雰囲気を盛り立てる。その先に、Urbanrest Brewing Co.が見えてきた。古いレンガ造りの元は何かの製造工場だった建物は現在、オーガニックと環境にやさしいブリューワリーになっている。

 日本でも「紅茶キノコ」として知られ、数年前から人気のKombuchaはミシガン州の健康食品店だけではなく一般の食料品スーパーでも手軽に手に入る。ブリューマスターは数々の賞を受賞した実力派。そのユニークなビールだけではなく、co-ownerの作るKombuchaも出しているブリューワリーは珍しい。

「KombuchaはScobyから作るのよ。オーナーが自宅で作っていたものをここでも出すようになったの」と、サーバーは気軽に醸造タンクのところに連れて行ってくれた。見ると

ガラス瓶の中には異様な黒い物体が。「これがScobyよ」。Scobyとは種菌のこと。これにsweet teaを入れ発酵させる。菌が糖を食うと二酸化炭素が発生し、アルコールができる。「ほんのわずかのアルコール分だけれど、21歳以下(ミシガン州の飲酒可能年齢)以下には出さない」という。やはり果実の味がついているよりもストレートがいいと思い、Straight up Booch (0.5%)を飲んでみた。見た目はりんご酢のような色合いで酸味も感じたが、それよりもずっとすっきりしている。飲んだ瞬間、カラダにいい、と思えるほどのすっきりさだ。

 「Imperial Pale Aleだけれども、hazy(かすみのある深く明るい黄金色)なFog Hat(6.9%)はIPAと同じ」もよかった。サンクスギビングに合わせてリリースしたバーボンバレル仕込みビールのPrince Junior (8.0%)も話題だ。もちろん飲まない人にも優しい。

Cherry Limeade Sodaは自家製のノンアルコール。グラスといい、色合いといいおしゃれ。ほんわりとする香りもいい。開放的なフロアーは若い客層も多く、活気がある。それでいて、何となく落ち着きのあるのは、さりげなく窓辺やテーブルに飾られた花やトポスが優しさを演出しているのかもしれない。BYOF(Bring Your Own Food)で持ち込み可。フードトラックも来る。Growlerでリフィルもできる。ファミリーも楽しめる健康的なブリューワリーだ。

Urbanrest Brewing Company

2615 Wolcott St, Ferndale, MI 48220

https://www.urbanrest.com/

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