10月6日(日)、JSDウィメンズクラブとJBSD(デトロイト日本商工会)文化部会の共催による恒例の大イベント日本まつりが昨年同様にノバイ市のハイスクールを会場に開催された。秋の到来が遅めで穏やかな気候のなか、例年にも増して大勢の来訪者で賑わった。

 この日本まつりは、アメリカ人や他の文化背景を持つ人たちへの文化紹介と交流を主目的に日本文化紹介の様々な展示や実演などが行われている。周辺に滞在している日本人が楽しむ場にもなっており、当地の秋の行事として定着している。浴衣姿で散策する姿も多く、祭りムードを高めていた。

 お祭りらしいヨーヨー釣りや輪投げなどの縁日遊びや、屋台食の販売に加えて、アトリウムと呼ばれるガラス天井から光が差す広々としたスペースには茶の湯の席や、書道・折り紙などの体験のコーナーが設けられ、手馴れた日本人女性たちを中心に実演や体験ワークショップが提供された。茶の湯実演は、当地で活動する裏千家・表千家そして石州流という武家茶道の流れを継ぐ流派、3つの流派が手を携え実演が行なわれた。英語での丁寧な解説も添えられ、賑やかな会場にありながら落ち着いた空間が生まれていた。生け花インターナショナルによる秋らしい趣の展示が文字通り華を添えていた。多くの人が生けられた作品に称賛を寄せ、作品の写真を撮っていた。また、書家である藤井京子さんが身の丈以上の書を見事な筆さばきで披露。「イマジン」の曲に合わせて、平和を願うことばをダイナミックにまた華麗に書き上げた。

 書道と折り紙のワークショップも終始盛況で、ボランティアの人々や学生が笑顔で丁寧に手ほどきをしていた。出来上がった作品を嬉しそうに見せ合ったり、褒め合う姿があった。

 また、ミシガン州と姉妹県関係にある滋賀県による文化紹介ブースを始め、JCMU(Japan Center for Michigan University:ミシガン州立大学連合日本センター)など、日本に関連した団体のブースも並んだ。今回は旅行社のブースも設けられ、日本の旅情報などを提供していた。様々な活動や情報、当地と日本との繋がりを知ることができる場としての日本まつりの意義も大きい。

 別室では総領事公邸料理人の中野楓さんが領事館スタッフの極力のもと昨年に続いて「おにぎり」づくりのワークショップを3回開催。作って食べるというダブルの体験に参加者は大満足していた。

 ダブルの体験といえば、割りばしを利用した鉄砲づくりとそれを使った射的遊びも大人気。素朴な工作と遊びに目を輝かせて興じる子どもたちの姿が印象的であった。

 この日本祭りは隔年で体育館に櫓を組んで盆踊りを中心にパフォーマンスが行われる年と、立派なオーディトリウムのステージでの年があり、今年は後者。7つの団体が演奏・演武を披露した。

 幕開けは和太鼓でスタート。「五大湖太鼓センター」が、『雷群』という太鼓の現代曲で雷さながらの力強いパフォーマンス、そして軽快な曲を演奏した。

 続いて、田川八段が長を務める「デトロイト剣道道場」による実演は、通常の稽古通りに“礼”から始まり、子どもたちの打ち込み練習が真剣そのものに行なわれ、“礼”にて終了。分かりやすい解説も添えられ、日本の武道が大切にしている面を観客に伝えた。

 一転して、「雅」による箏の演奏。7つの箏が並び、見た目も優雅に、『秋のささやき』という季節に合わせた曲と軽やかな曲などで雅なひと時を届けた。

 女声合唱「トリリアム」は『赤とんぼ』『椰子の実』など懐かしい日本の曲、男声合唱「ホワイトパイングリークラブ」は組曲

「ふるさとの四季」から『村祭り』『紅葉』など秋らしい曲を中心に合唱。どちらも素晴らしいハーモニーが流れ、郷愁をかられた観客が多かったことであろう。

 ここで子供たちの登場。「TMU Music Studio」というアメリカ先端の音楽教育の生徒たちと、日英2か国語で学ぶ「にじいろ小学校」の児童たちによる合同演奏で、マリンバによる『ルパン三世』の華麗な音色、そして『宇宙への手紙』のピュアな歌声が会場に響いた。『ハッピーメロディー』では会場の観客も参加し、大きな幸せの大合唱となった。

 続いて、「Wa! BON」という今回のために特別結成された盆踊りグループが2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの盆踊り曲『東京五輪音頭』を披露。グループ名の‟Wa!”には「和・輪・ワッと感動する盆踊り」という意味が込められている。祭りムードが一気に高まった。

 プログラムの締めも太鼓センターが務め、交流のあるシカゴの太鼓グループのオリジナル曲と『加賀虫送り』という害虫・災いを追い払う祈りをこめた曲の大演奏で幕がおりた。

 同イベントは在デトロイト日本国総領事館、日米協会、ミシガン州と姉妹県州関係にある滋賀県の協力、そして会場のあるノバイ市ならびにノバイ教育委員会のサポートを得て開催している。今年も多数の団体や個人ボランティアが協力してこのイベントを支えた。JSDウィメンズクラブが当日の舞台の進行などを執り行なったほか、日本人女性がボランティアに応募し活躍。また、日本語を学習する現地の学生たちもボランティアとして参加し、来訪者との懸け橋としてイベントを支えた。

 「日本のお祭り経験が無い子に貴重」「盛りだくさんで、あっという間に過ぎた」「よくオーガナイズされていて感心」など喜びや称賛の声が集まった。今回、現地の友人と訪れる人が多い印象を受けた。交流の場として生かされていることが伺われた。長く盛大に続くことを祈りたい。

 

 

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