by 平塚 弥生

 ミシガン州で最も多くの日本人が暮らすノバイ市の北隣、ウィクソムに娘の通ったバレエ教室「Academy of Russian Classical Ballet」(略称ARCB)があります。ここでの経験が私たち母娘にとって貴重なものになりました。

ARCBはバレエの指導法として有名なワガノワメソッドで指導するロシア流のバレエ教室です。ロシア出身の有名なバレエ団でプロとして踊り、国立バレエ学校で指導してきた先生が在籍することもあって、「東海岸や西海岸に行かなくても、本場ロシアのバレエを学べる」とカナダやミシガン州外から来る生徒もいます。また、場所柄、日本人の生徒が多く、英語が苦手だった私達はスタジオに通う日本人の皆さんに助けていただきました。またロシア人の先生をはじめ、世界中にルーツを持つ生徒さんが在籍していて、多民族の国アメリカを実感しました。

 四年前、はじめてのアメリカ駐在で右も左もわからないまま、娘のバレエ教室を探してこのスタジオを訪ねました。大小のレッスン室が四つもあっていろんなレベルの子供達が練習がしている様子に緊張しつつもワクワクしたのを覚えています。当初、英語のわからない娘はレッスンも見よう見まね。先生は、そんな娘に丁寧に指導してくれました。少しずつ英語を理解できるようになるとお友達もでき、レッスン後の更衣室でのおしゃべりで娘の英語はどんどん上達しました。同時にバレエに夢中になり、気が付けば毎日のようにスタジオに通うようになりました。

 ロシア出身のイヴァン先生、ナタリア先生、ニコライ先生は、ロシアのバレエ学校で学び、プロのダンサーとして舞台に立ち、ロシア国内だけでなく、ヨーロッパや日本など国外公演に行ったこともあるそうです。

また、ペルミバレエ学校(ロシア)やキーロフ(ワシントンD.C. )で数多くのダンサーを指導し、日本からの留学生も沢山指導されてきたので「日本人の生徒やダンサーは、礼儀正しく、まじめで、練習熱心。だから日本人が大好き」と話します。日本人が世界中で頑張っていることを知り、とてもうれしい気持ちになりました。

ARCBで特に娘が夢中になったのは、年に二回ある発表会です。冬はクリスマスの風物詩「くるみ割り人形」全幕を、春は「ドン・キホーテ」や「眠れる森の美女」など毎年異なる全幕作品に挑戦します。数ヶ月のリハーサルを通して、衣装の早着替えを助け合ったり、お互いの成功を励ましあって、仲良くなって皆で一つの舞台を作ります。ペアレントミーティングの日には、ポットラックパーティをします。アメリカ、メキシコ、中国など、インターナショナルなお料理をみんなでワイワイ食べて、ママ達も仲良くなります。

 また発表会の演目の主役には州外やアメリカ国外のバレエ団からプロのダンサーをゲストとしてお招きします。先生の人脈のお陰でプリンシパル(バレエ団のトップレベル)の方が来てくださることもあります。現役で活躍するバレエダンサーのテクニックや表現力、練習中の振る舞いなど、間近で見られるのは特別なことです。素人の私も、ボランティアでバックステージからそっと覗いて、プロのテクニックにうっとりしました。

発表会以外にも、地元の小学校、老人ホーム、図書館などに招かれて、踊りを披露する機会もあります。他には、お祭りのステージやデトロイトファッションウィークのランウェイ、豪華ホテルのアフタヌーンティーパーティ、デトロイトレッドウィングスのイベント、スクールクラフト大学の世界交流イベントなど。どの舞台も、お客様の反応を感じながらパフォーマンスできる、とても貴重な経験です。

ARCBの生徒達は、舞台の大小関係なく堂々と楽しそうに踊っていて、バレエが好き、踊ることが好き、観ている人に楽しんでもらいたいという気持ちが伝わってきて、自然とどの子も応援したくなりました。

今年も新学期が始まると、16回目の「くるみ割り人形」の練習がはじまります。今年はどんな舞台になるのか今から楽しみです。

[アナーバー校がオープンします]

8月6日、ミシガンシアタービル(右写真)2階にARCBのスタジオがオープン!

ARCBホームページ: russianclassicalballet.com

ARCB日本語ブログ: japaneseballetmichigan.com

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