8月になりました。先月後半から何か一気に夏らしい暑い日が増え、ヒートウェーブが全米各地を襲いました。欧州でも例年より遥かに暑い夏に苦しんでいるようで、パリでは7月に42度を超える史上最高気温を記録したとか。ドイツ、ベルギー他も例外ではなく、外出や公共交通機関利用を見合わせるように行政機関から警告があっても、エアコンのない世帯が多い欧州では屋内に居ても熱中症になる懸念があり事は簡単には済みません。日本では先月本州各地で梅雨明けを迎えるまで曇天の肌寒い日が続き、例年一時(いっとき)の涼を求めて賑わうプールの利用率が前年比較で90%以上減と閑古鳥が鳴いていたようですが、ここに来てようやく客足が戻りつつあるようです。異常に暑いのは御免ですが、やはり夏は夏らしく暑くないと夏場商品が売れないとか農作物の育ちが悪いとか色々と不都合な事がありますね。

スポーツの世界では、先月前半に芝コートのメジャーであるウィンブルドン大会が開催され、女子シングルスでは大坂選手は残念ながら早々に敗退してしまいましたが、決勝戦はセリーナ・ウィリアムス選手を完璧な試合運びでストレートセットで破ったシモナ・ハレプ選手が優勝。小国ルーマニアでは男女を通じて史上初のウィンブルドンチャンピオンとなりました。勝利直後と表彰式での彼女の笑顔が最高でした。体格に恵まれないながら俊敏な動きと粘り強いストロークで勝ち取った栄冠におめでとう!男子シングルス決勝は世界中で多くの人が望んでいたジョコビッチ選手とフェデラー選手の顔合わせ。第2セット以外は毎ゲーム、毎ポイントと言って良い程スーパーショットの応酬、ハラハラ、ドキドキの連続で一進一退の展開。今回から採用となったファイナルセットは12ゲームオールでタイブレークとする新ルールが初めて適用された歴史的大熱戦の結果、ジョコビッチ選手が優勝。自分のサービスゲームで2度のマッチポイントがありながら、後1ポイントが取れなかったフェデラー選手は大変残念な敗戦でしたが、スタジアムの観客の大半が(私も家族も)フェデラー選手応援の大逆風の中、土俵際で跳ね返して勝ち切ったジョコビッチ選手の強靭な精神力に頭が下がります。最後のタイブレークでは、正直どちらも勝たせてあげたい心境になりました。ウィンブルドン決勝の最長時間記録更新というおまけ付きで幕を閉じましたが、二人とも勝者に相応しい試合でした。お疲れ様!男子ジュニアのシングルスでは16歳の望月慎太郎君が日本人として初優勝。先のフレンチオープンでのベスト4入りに続き、錦織選手を超える偉業です。年初のオーストラリアオープンではジュニアランキング222位で初出場。ウィンブルドン優勝後の最新ランキングは#1と何と半年で221人をゴボウ抜き。彼にもおめでとう!また将来の楽しみが増えました。これからは真夏のハードコートシーズン。大坂選手はメジャー初優勝した思い出のU.S.オープンでタイトル防衛なるか?優勝しない限りランキングの保有ポイントが減ってしまいますが、ポイント云々よりもとにかく悔いの残らない良いプレーが出来るように願っています。男子の錦織選手も直近メジャー5大会連続でベスト8以上と頑張っていますし、相性が良いこの大会で他の日本選手と共に健闘を祈ります。口の悪い評論家気取りの人達は「毎回ベスト8止まりか!」

と批判しているようですが、あの小さな体で身長180センチを超える大男達を撃破してベスト8入りし、ランキングもトップ10内を維持している事が如何に大変で凄い事か真摯に受け止めて公平な評価をしてあげて欲しいものです。素人ですが、自分もテニスをするので良〜く分かります。(笑)

MLBではクリーブランドで開催されたオールスターゲーム。本番前の前夜祭として行われたホームランダービーがもの凄かったですね。特に準決勝のゲレーロJr.とピーダーソン両選手の対決は最初の規定時間では共に29本、延長時間でも共に8本。その後更に3スイング勝負の延長1回目は両者1本でタイ、2回目で2本打ったゲレーロJr.の1本差勝利となりましたが、両者合わせて合計79本のアーチを掛けた大激戦。決勝戦では疲れが出たゲレーロJr.はアロンソ選手に敗れ、2007年に優勝した父親に続く親子優勝はなりませんでしたが、本当に凄いスイングとパワーで、エンゼルスの大谷選手は出なくて良かったと思いました。彼が出て対戦していたら、つい無理をして怪我の再発か新たな怪我で体を壊していたかも知れません。もし来年以降に出るとしても、体が万全な状態でしかお勧め出来ませんね。高校野球では、そろそろ『夏の甲子園』が始まります。少し前に球速163キロで話題になった佐々木投手を擁する岩手大船渡高校は残念ながら県大会決勝で敗れてしまい甲子園出場はなりませんでしたが、今年はどこが頂点に登り、紫紺の優勝旗を手に入れますでしょうか?

またまた前書きが長くなってしまいましたが、今回のテーマは「真夏の怪談」です。

先月末、6月に続いて2020年次期大統領選出馬を目指す民主党候補者20名の第2回TV討論会が10名ずつ二日間に分けて開催されました。顔ぶれは若干変わりましたが、有力候補者はリードを広げようと、また追走するグループは差を縮めようと1回目の反省を活かして慎重に準備して臨んだものと思います。前回カモラ・ハリス候補者に不備を突かれて1本取られた形のバイデン前副大統領の挽回なるか、また国民皆保険を目玉としている民主党全体として対トランプ包囲網を強化出来るかが大きな注目点でした。討論会は本稿完成後に実施されたため、本紙が発行される頃には結果が出ている筈ですが、果たして各候補者の浮沈と直後の支持率はどうなりましたでしょうか?

また、ロバート・ムラー前特別検察官の下院司法委員会および情報委員会における議会証言がその1週間前に行われましたが、私が部分的に聞いていた範囲では、度々

「レポートに書いてある通り」とか「それについては答えられない」とか4月に提出されたロシア疑惑に関するレポートそのものを読んでいない我々にとっては肝心のポイントが理解出来ず、秘密保持義務や現在調査・係争進行中の事案に関してはコメント出来ない事情はあるにしても、今ひとつ質疑応答の歯切れも悪く、レポートの内容以上に特に新たな事実の説明はなかったようで、民主党が目指していたトランプ大統領糾弾の目論見が達成出来たのかどうか疑問でした。直後のトランプ大統領や顧問弁護団、共和党議員からのコメントでは調査自体が無駄、無意味なものであり、現大統領を貶める民主党の陰謀であった、その陰謀を図り調査を始めた仕掛人が誰であったか逆に調査が必要、ウィリアム・バー司法長官が今正にその調査に当たっている等々と逆に民主党を攻撃しています。

メキシコ国境での移民・難民問題はトランプ政権の規制強化で混乱に拍車が掛かっていますし、国外に目を向けると先のホルムズ海峡オマーン沖での2艘のタンカー攻撃に続いて、イランが英国国旗を掲げたタンカーを拿捕したとか、米国軍艦がイラン沖海上で異常に接近して来たイランのドローンを撃ち落としたとか、イランがウラニウム燃料の生産増大を始めるとか、はたまた北朝鮮がミサイルと思しき飛翔体を発射したとか、キナ臭い話が聞こえて来ており、一向に事態沈静化、収束化の兆しが見えないどころか、むしろ悪化の一途を辿っており、米国が一方的に破棄・離脱した以前の多国間合意協定や米朝間のトップ会談の成果は一体何だったのかと思います。まるで

「真夏の怪談」ですね。

トランプ大統領は「自分はディール(取引、駆け引き)が得意だ」と自慢していますが、双方に公平なメリットがある所謂Win-Winのディールではなく、彼に大半もしくは一方的にメリットがある不公平なディールのゴリ押しばかりで、相手方は渋々受け入れるか泣き寝入りする場合がほとんどで、良好な関係を構築・維持出来ず、仮に一度は合意しても長続きしないし、2度とディールの相手にされないケースばかりのようです。相手の事や後先の事は考えず、自分だけが利益を得て満足する、それを「ディールが得意」と呼ぶならば、「何をか言わんや」ですが・・・「真夏の怪談」恐いですね。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。