6月。今月で亥年の上半期が過ぎてしまいますが、皆さんは年初に立てた元旦の計に沿って手堅く前進、あるいは猪突猛進されているでしょうか?私は既に挫折しております。(笑)下半期に再挑戦するか、軌道修正して方向転換するか早々に決めねばなりません。日本ではそろそろ梅雨入りの時節になりますが、ミシガンでも先月突然30度C近くの蒸し暑い日があったりして健康管理に要注意です。メモリアルデーが過ぎて皆さんのご家庭でも家の外回りの給水元栓を開いたり、スプリンクラーの開栓・セッティングをして本格的な夏の到来に向けて準備されていると思います。芝生もズンズン伸びるのでご自分でなさるか誰かに頼むかは別として、これからは最低でも週一か2回の芝刈りが欠かせません。

スポーツの話題です。開幕から2ヶ月が過ぎたMLBでは、引退したイチロー選手がマリナーズの会長付特別補佐兼インストラクター役に収まり一段落。『平成のスーパースター』イチロー選手からバトンを受けた『令和のスーパースター候補』大谷選手が先月実戦デビュー。ここまでまだエンジン全開とは行かず、打率もホームラン本数も今一つですが、出塁率と打点ではそこそこ貢献しています。また、彼がいるだけでチーム全体が明るく元気になるというのは無形の財産ですね。4月は勝率5割近辺で頑張っていた地元タイガースは先月急降下でプレーオフ出場の可能性が夏前に消滅しかねません。(涙)日本ではセリーグ3連覇を目指す広島東洋カープが出だしで躓き、一時最下位で統計的には優勝の可能性ゼロでしたが、5月になって連勝街道を驀進し一気に首位に躍り出て優勝の可能性100%と様変わり。逆に瞬間的に首位だったヤクルトスワローズが泥沼の連敗で最下位に転落。野球は分からぬものです。阪神タイガースが2位に浮上する一方、ジャイアンツは強いのか弱いのかハッキリしません。勝ち星を計算出来る絶対エース菅野投手の故障が痛いですね。やはり地力に勝る広島の優位は変わらないかも。パリーグはオリックス以外の5球団で混戦模様。これから始まる交流戦で潮目が変わるかもしれません。NBAファイナルは常連のゴールデンステート・ウオリアーズとトロント・ラプターズの顔合わせ。トロントが優勝すれば史上初ですが、ハードルは極めて高し。興味がないNHLはボストン・ブルーインズとセントルイス・ブルースの顔合わせ。ブルースが勝てばこちらも史上初。果たしてプロサッカー欧州チャンピオンズリーグの準決勝2試合のような奇跡が起こるでしょうか?テニスの全仏オープンでは男子の錦織選手と女子の大坂選手が共に2回戦突破し、何処まで勝ち進めるか?大坂選手は1、2回戦とも1セットダウンからの逆転勝ちで苦戦していますが、プレー内容は良くなっているので、メジャー大会初優勝から3大会連続優勝のこちらも史上初の奇跡的快挙なるか?注目です。

さて今回の本題は「米国よ、何処へ行く?」です。

先月下旬にトランプ大統領が訪日しました。新天皇即位後初の国賓との事で内外の注目を集めましたが、新天皇・皇后のめでたい船出に相応しかったかどうか?皇居訪問挨拶の儀礼式典ではいつもより少しは米国大統領らしく見えましたが、国技館の大相撲千秋楽観戦では通常の貴賓席ではなく升席にソファーを置かせて観戦し、表彰式では神聖な土俵にスリッパで上り、新たに設けた大統領杯を優勝力士に授与と相変わらず目立ちたがり屋のパフォーマンスでした。黙って静かにしていればそれなりに見えなくもないのですが、記者会見やツイートで話し出すと地が出て素の顔が現れてしまいます。国際舞台の節目のイベントで訪日中に米国内政治問題を持ち出して、反対勢力である民主党批判や所属政党である共和党の故マケイン上院議員を批判するコメントは全く大人気ない行為でした。相も変わらず、駄々っ子そのものですね。

安倍首相がまるで太鼓持ちのように寄り添っていましたが、ヘラヘラしているとトランプ大統領から対米向け自動車輸出制限・追加関税、米国からの農作物輸入枠拡大、米国製兵器の追加押し売りなど突然言い出されて慌てるのではないかと心配していましたが、表面上最悪の事態にはならなかったようです。今回も北朝鮮拉致家族との面会がありましたが、これも実効の無い気休め的ジェスチャーの範囲を超えない感じがしました。その北朝鮮による最近の飛翔体(ミサイル?)発射に関しては「自分は問題とは思わない」という大統領発言は米国の国家安全保障専門家の見解をまたまた無視したもので、大きな懸念を抱く安倍首相以下日本政府および一般国民の見解ともかなりの温度差があり、いわゆる『日米の固い絆』に隙間風が吹いた瞬間でした。

一方英国では、BREXIT(EU離脱問題)で合意義務履行の最終日限が迫りながら政府案を何度も否決され不信任案まで出されてずっと苦しんでいたメイ首相が離脱実現しないままとうとうギブアップして辞任を表明しました。サッチャー女史に続く英国二人目の女性首相の退陣としては極めて不運で気の毒な結果でした。次期首相に誰がなっても容易ならざる状況ですが、王室以外では明るいニュースのない昨今、少しでもかつての『日の沈まない大英帝国』の威信と名誉回復を願いたいものです。また、話の発端がいつ、何処から始まったのかハッキリしませんが、トランプ大統領の訪日直前に「イランが米国との戦争準備をしている。米国も対抗上軍隊を中東に派遣すべき」とのキナ臭い噂がニュースでも流れました。万が一米国がイランと一戦を構えるとなると旧サダム・フセイン政権下のイラクに対する軍事行動とは相手方の国力も規模も全く違います。対イラクで実行し、わずか数日で片が付いた『オペレーション・デザートストーム』の様に簡単に米国勝利で決着すると思ったら大間違いです。それこそ何百万人のイスラム教徒を新たに敵に回す事になり、中東だけでは収まらず米国内も含めて世界規模で反米の反旗が広がる最悪の事態になります。軍事専門家の意見を聞かないトランプ大統領ですが、これだけは決して迂闊な行動を取らない様に切に自重を願うばかりです。

米国内に話を戻しますと、ロシア疑惑に関するロバート・ムラー特別検察官の調査報告書で一区切り付くどころか、新たな疑惑と混乱の始まりに過ぎなかった状況となりました。同報告書を独善的に解釈・要約して当初の記者会見をしたウィリアム・バー司法長官はその後公表された編集版でも実際のオリジナル報告書の内容詳細とはかけ離れたコメントであった疑惑が表面化し、事実を曲げてトランプ大統領を擁護した偏向的コメントに公正な立場を維持すべき司法長官の適性が疑問視され、不信感を持たれています。下院多数派の民主党は複数の委員会でこれに噛み付き、オリジナル報告書の無編集版公表を迫ったり、ロシア疑惑とその調査妨害疑惑に絡む関係者の証人喚問を目指していますが、大統領府とその弁護団が委員会からの諸要求に対して徹底抗戦、全面拒絶の態度で対抗し、未だに実現しておりません。証人喚問される可能性もあったムラー特別検察官が先月末に自主的に行ったわずか9分余りの記者会見でのコメントによれば、証人喚問で応答するまでもなく調査結果は報告書の内容通りとの事で、前回大統領選挙にロシアの介入が確かにあった事、犯罪の疑いがあっても司法省の規則により現職大統領を告訴出来ない事、直接告訴以外にも懲罰出来る方法が他にある事、調査妨害の事実がなければ「ない」と表明している事、などを明言しておりました。同時に本人は当日付で特別検察官の職を辞任し、一人の平民に戻るとも表明しました。(暗に議会に大統領弾劾なら追及可能とか自分は司法省の秘密保持制約を受けない身分となり、証人喚問など必要あれば事実をありのままに自由に発言可能と示唆したとも取れます。)

これを受けて民主党内部では大統領弾劾手続きを進めるべきとの声が更に強く大きくなっています。下院のペロシ議長はクリントン元大統領の弾劾手続きの際に当時の政権与党(民主党)が弾劾阻止のために逆に一致団結してしまい、また国民の間でも弾劾反対の声が多く、最終的に弾劾に失敗し、弾劾を仕掛けた当時の野党(共和党)の人気が落ちてその直後の選挙で不利になってしまった前例があり慎重な態度を続けていましたが、ここに来て党内の意見調整、統制確保が極めて難しい状況となり、弾劾手続き開始に舵を切る可能性も増して来ました。

客観的に見ても大統領本人や取り巻きに対する敵対(実際は事実を報道する良心的な)メディアの取材規制やフェイクニュース発言、自分達に友好的なTV局やメディアの偏向報道支援、司法省関係者への人事介入と操作妨害圧力、政権関係者の証言拒否もしくは虚偽の証言指示など発端は異なるとは言えウオーターゲート事件当時のニクソン元大統領の動きと極めて似通って来ました。最終的な結果も同じ様に大統領弾劾前に辞任に追い込まれるかどうか?民主党が次にどう動くのか?それに対して少数であるが弾劾を支持する議員もいる共和党はどう出るか?先が読めません。

民主党が下院多数派になった以降一つ気になっている事は、種々の調査、証人喚問召喚が続き、トランプ支持派や共和党支持派だけでなく民主党支持派の中にも「もういい加減にしてくれ。我々国民のための政策立案・実施を具体的に進めて欲しい。」と思っている人達が多いのではないかという事です。両政党の面々はその点を心に留めて国民不在の政治論争、政党間闘争に明け暮れない様に気をつけないと次期大統領選挙と上下院同時選挙で惨めな結果となる危険性大ですね。

言わば他人の庭で暮らしている米国籍も選挙権も持たない我々ですが、「米国よ、何処へ行く?」と問いたい心境です。良い方向に進む事をひたすら祈ります。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。