日本を感じる美術館、ブリューワリーめぐり ー フリント

文&写真 by ヤマトノオロチ

Flint Institute of Artsでは4月14日まで”The Drama of Japanese Prints”展が開かれている。日本人が多く住んでいる地域とは決して言えないFlintだが、昨年の歌川広重の浮世絵版画展に続き、日本文化を積極的に紹介している今回の作品展は、明治から大正にかけて活躍した月岡耕漁のもの。ミシガン大学フリントの教授の監修と、2人のミシガン州の版画所有者の協力を得、開催されている。

今回展示されているのは耕漁の「能楽百景」と「能楽図絵」からの21枚の能の名場面の木版画。圧巻なのは「プリント・ギャラリー」セクションに展示サインとして掲げられている「金札」。弓を背に受けながらも立ち尽くすダイナミックな構図は目を引く。江戸時代に発達した木版画は、スポンサーでもある版元と、絵師、彫師、擦師の共同作業から完成する。今回展示されている21作品にも絵師・耕漁の作風が窺がえる。彼の作風は写実的で、面を被った役者の衣装の柄一つ一つを丁寧に書き込んでいる。展示されている作品は、亀の甲、雲、雁など伝統的な文様が面の表情と同様に生き生きと描かれている。年初に演じられる「翁」と長寿のしるしの松の緑鮮やかなものや、頼朝からの追手から逃れようと山伏の一行に扮する義経と弁慶の「安宅」など、有名な場面も今回の展示に多い。

またEdwin Lee氏が制作にあたった約8分間のビデオ、”The Spirit of Noh”も流されており、能の歴史や能楽師であり能面作家の宇髙通成(うだか みちしげ)氏の自らの伝統文化に対する思いが語られている(英語字幕あり)。ビデオでは能の歴史と面を被ることによって演じることができる無限の世界を宇髙氏が語りつつ、耕漁が鮮やかにそれを木版画で表現した、という展示の意図が汲み取れる。

さて、美術館のあるダウンタウンはI-475の北の端にある。南北に長いフリント市の南の端から北にUS-23が走っている。そこにあるのが、ミシガンでも老舗のブリューワリーRedwood Steakhouse & Brewery。1996年開業。そこで遅いランチをとった。古株のブリューワリーだが、訪れるといつもビールのラインアップは充実し風味も安定している。現在のオーナーのもと、メニューに刺身やFusion Sushiが加わった。マグロのタコスやナッチョもあるのでなぜ生魚を扱っているのかと聞くと「オーナーが好きだから」とサーバーは説明してくれた。残念ながら、終日Fusion Sushiは提供されているのではなく、訪れた日は4時から、と聞き断念。しかし、手でこね独特の薄いクラストで、ブリック・オーブンで焼かれるピザもこの店のスペシャリティーなので、マルゲリータを頼んだ。トマトとバジル、そしてふんだんにのっているモッツァレラチーズ。$18.99と少し高めだが、シェアできるサイズで、何よりもチーズがおいしかった。

これとうまく相性が合ったのはAmerican IPA(7.2%)。ホップは一定のものに固定しないで作るそうだ。この日は人気のColumbus、Citra、MosaicのほかにCzech Saazというホップを使っていた。他のブリューワリーと異なり、ColumbusとCzech Saazはフリントで作られたもの。Czech Saazはあまり名を聞かないが、その名のとおりチェコが原産で、2009年にはチェコ国内のホップ生産量の3分の2を占めた人気のホップだ。そのほかにもBlue Eyed Murder (4.2%)のピルスナービールはスロベニア原産のDragonという種類のホップを使っている。

レストラン内は広々としており、家族やグループ向けのテーブルからカップルや少人数向けのテーブルが用意され、どの年齢層にも受け入れやすい雰囲気。メニューもステーキ、シーフード、サンドイッチ、ピザと豊富。ブリューワリーもレストランも充実している。さすが、フリントで長い歴史を保ち続けていると感じられた。

Redwood Steakhouse Brewery & Grill

5304 Gateway Centre Drive, Flint, MI 48507
http://www.redwoodsteakhouseandbrewery.com