
3月16日(土)、デトロイトりんご会補習授業校で第21回卒園式・第46回卒業証書授与式が挙行された。今年度の卒園・卒業生は、幼稚園部92名、小学部65名、中学部28名、高等部6名、合計191名を数えた。
午前中にノバイメドウズ校で行われた卒園式では、体も心も格段に成長した園児たちが、緊張感をはらんだ大人びた面持ちで式に臨んだ。宮本正彦校長は、卒園を寿ぐとともに、小学校生活へ向けての贐の言葉を伝えた。
午後に行われた小・中・高、合同の卒業証書授与式は、中・高等部が借用しているノバイ高校の講堂で挙行された。来賓として在デトロイト日本国総領事館の伊藤美房領事、植田庄作事務局長、さらにノバイ学校区の教育長をはじめ同学区の教育関係者、また、イースタンミシガン大学の桶谷仁美教授が列席。りんご会理事長ならびに運営委員長、父母会執行部長、小学部高学年以上の在校生、卒業生の保護者が出席し、盛大に催された。
開会の辞の後、列席者一同による日本国歌の斉唱、生徒によるアメリカ合衆国国歌トランペット独奏、そして児童生徒による校歌の斉唱が行なわれた。続いて、卒業生一人ひとりが学校長の手渡す卒業証書を恭しく受け取り、その間、在校生による生演奏のBGMが流れ、厳粛ながらも穏やかな雰囲気に包まれた。
この3月で任期を終えて当地を離れる宮本校長は式辞のなか、補習校と現地校の両立をして卒業を迎えた児童生徒たちを称え「努力は大きな力となっている。自信をもって新しいスタートをきってください」とエールを届けた。「人と人が関わることはとても大切であり、君たちを成長させてくれる」と切り出し、『優』の漢字を提示し、「優れている・優秀だという意味の他、優しいという読み方もできる。この一つの字の中に、人と出会い関りながら生活をしていく中での大切な言葉が含まれているのではないか。」と示唆。「優しさを実行するには強さがなければならない。本当の優しさは何か考え、友人知人を増やして欲しい。」と願いを伝えた。
伊藤領事は、中川勉総領事からの祝辞の代読で、卒業生に対する祝辞、保護者や理事・運営委員・父母会そして講師、地元の関係者に対する感謝の言葉に続けて、日本にいる生徒が出来ない貴重な経験・学校生活を送ったことであろうと評し、「世界のことを知っている人材がますます重要になってゆきます。これからも日本の伝統文化の基礎をしっかり学ぶと同時に、米国・世界のことを勉強し、異なった人や文化に触れて自分をさらにいっそう成長させてください。」そして、「ここでの生活を誇りに新たな道をさらに進んでいってください。」との贐の言葉を卒業生に届けた。
マシューズ教育長からのスピーチ(英語)では、ノバイでの経験が人生に豊かさを与え、ここで培ったことが活きるようにとエールを送った。
来賓紹介と祝電披露に続いて、デトロイトりんご会理事長を務める藤本裕氏は挨拶の中で、「このように、小・中・高が一堂に集う卒業式は初めてで、非常に興味深い」と語ったあと、「平日は現地校、土曜日は補習校という二足のわらじを完璧にこなしたのだと思います。本当に頑張ったのだと思います。」「すごいことを成し遂げたということで、自信を持ってください。」と褒め称えたうえで、このように発揮できたのは見えない形でのサポートも含めて周りの力があってのことであり、感謝の気持ちを忘れないようにと穏やかに諭すように伝えた。
在校生の「送ることば(中高等部では送辞)」では、上級生との思い出や、上級生を見習って励み続けたいといった抱負などが語られた。それに応じた卒業生による「お礼のことば(中高等部では答辞)」では、保護者や先生方へのお礼や後輩への励ましの言葉とともに、当地での迷いや苦労、喜び、学友との思い出などが紹介された。いずれの言葉にも、卒業にこぎつけた達成感や次のステージへの前向きな想いが表れていた。
卒業証書授与式の最後に、卒業生と在校生が全員で「旅立ちの日に」を合唱し、感動のなかで閉式となった。
小学生が退席した後、補習校生活が最後になる高等部卒業生6名を送る特別イベントに移り、各自がスピーチに立ち、忘れがたい思い出、そして後輩たちへのメッセージを熱く語った。
輝かしい旅立ちの日であった。