~過去最高の参加者を迎えて

昨年20周年を迎えたデトロイト剣道道場主催のデトロイト・オープン剣道トーナメントが今年も盛大に開催された。2月17日(日)、会場となったSeaholm高校(Birmingham市)には、全米各地やカナダより350名が参加。、今回は過去最高の参加人数を記録した。

 参加者の多い要因は、デトロイト剣道道場の師範である田川順照先生が数少ない剣道範士八段であり、指導に定評がある上、本トーナメントには例年、トップクラスの剣士や教士、高名な剣道家を招いているためといえる。田川氏は1975年、米国内における剣道普及のために渡米し、現在、全米剣道連盟会長、並びに国際剣道連盟副会長という重責についている。世界剣道選手権大会での強化委員長を務めた経歴もある。

 今回は大阪県警察の剣道主席師範を務める石田洋二教士八段と、その奥様であり同じく大阪県警察剣道師範である石田真理子教士七段を日本からゲストに迎えた。石田洋二八段は全日本剣道選手権準優勝などの見事な成績を収めている。石田真理子七段は全日本女性剣道選手権および全国警察剣道大会女子部門で2度の優勝という経歴を保持している。

 会場にはアメリカ、日本、カナダの国旗が飾られ、トーナメントの開会式はそれら3つの国歌斉唱により厳かに始まった。来賓として、全米剣道連盟(AUSKF)の先生方、着任されて間もない在デトロイト領事ご家族、日本語補習授業校校長が参会した。

 田川先生の開会の辞の後、石田先生夫妻による日本剣道形の演武が披露され、その迫力と気迫に圧倒され、皆、微動だにせず注視していた。

 試合は女子の部、幼少年(14歳以下)、少年が同時に開始。続いて個人戦ユースから五段以上の部が順次行われ、団体子どもの部が午前中の最終試合となった。子ども達の元気な試合から、シニア層や五段の重厚な試合まで、各コートで気合溢れる熱戦が繰り広げられた。

 開会式で田川先生より「この大会は激しい剣の技を競う場であるとともに、友好と交流の場である」との言葉があったように、会場のいたる所で別の道場剣士との交流が多くみられた。剣道で尊ばれる

『交剣知愛』を、肌の色、国籍の違いを超えて実践する姿がそこにあった。トーナメントの締めとなった団体大人の部は、観戦者の熱いまなざしが注がれ、大いに盛り上がった。今年の入賞者はどの部門も昨年度とは全く入れ替わり一年のそれぞれの成長の結果が表れていた。

参加者が最多になったにもかかわらず、デトロイト剣道道場の父母会をはじめ運営ボランティアや学生など総勢70名近い協力により、6コートを効率よく使用してこれまでにない試合数をこなして大会はスムーズに運営進行され、大成功を収めることができた。

 朝には晴れていたが、閉会式後には雪が激しく降り始め、気温は-5℃に。興奮冷めやらない剣士たちの余韻を残して、ミシガンらしい寒さの中でトーナメントは終了した。

 前日には石田両教士によるセミナーが開催され、200名近くが受講した。ウォーミングアップの指導から始まり、石田先生の面素振り見本では、その気合の大きさと美しく半円を描く素振りに参加者たちは息をのんで見入っていた。その後の男女別の基本稽古では、「足さばきの上手な人は剣道が上手!」と、様々なバリエーションでの足さばきの稽古、基本の打ちや連続技などの稽古が続き、最後30分は先生も加わり、段別男女合同周り稽古が行われた。

 先生方からは以下のことが指導された。

  • 身体の軸がぶれない剣道
  • 基本が一番大事、何年・何十年剣道をやっていても基本から離れてはいけない
  • 力を入れないところ、力を入れるところを体で覚える
  • ウォーミングアップから、何に意識するのか自分で課題を作る

 セミナー終了後、先生にお礼を伝えたい参加者で長い行列ができていた。このセミナーのために前日仕事を休んで飛行機や車で駆け付けた剣士も多い。受講者からは「先生の面素振り見本の一瞬で心をつかまれた」「来てよかった」「こんなすごい先生に教えてもらえてラッキーだ」

「案内が来た時から楽しみにしていた。思っていた以上に学びがあった」など感想が寄せられ、大盛況かつ大好評を得たセミナーであった。

 一方、先生方からは、「学ぶ姿勢、剣道への情熱が参加剣士から強く感じられて、初心に返るような新鮮な気持ちになった」「剣道を愛する人の学ぶ姿勢は日本人もアメリカ人も同じで嬉しくなった」との言葉が伝えられた。

 セミナー後、四段までの審査会が実施され、多くの剣士が昇級、昇段した。セミナーでの学びやトーナメントでの試練を生かしてさらに成長し、北米における剣道全体がさらに充実してゆくことであろう。

デトロイト剣道道場 入賞結果

少年団体  二位: デトロイトA

  • 四段 三位: Keisuke Kuroda
  • 二段 三位: Takeisa Tate
  • 初段 二位: Keiji Ogita

無段(一般) 二位: Keiichiro Takagi

  • 少年  三位: Tomoya Habu

少年 (14歳以下)

  • 二位: Kiki Choi
  • 三位: Aiden O’neil / Takushi Masuda

写真/情報:デトロイト剣道道場提供