2月3日、淡交会ミシガン協会幹事長である鍋田宗友名誉師範(本名:鍋田広子さん)の御自宅で初釜が開かれた。
初釜とは、新年に茶道のお稽古を始める日のことをいい、茶道における新しい年を祝う新年会のようなものである。マイナス十数度という寒波が去り、明るい日差しに恵まれたこの日、中川総領事ご夫妻、淡交会ミシガン協会の会長を務める河島氏をはじめとする招待客が訪れ、お点前と、干支にちなんだ飾りや茶器など新春らしいしつらえを楽しみ、年の始まりを祝った。
待合席(本席に入る前に、全員揃うまで待つ所)には、伊勢海老や串柿の宝来飾りなどが整えられ、明るい雰囲気が人々を迎えた。本席が行われた畳敷はアメリカ式住宅の半地下室を改装し、畳や床の間、襖戸、切炉(掘り炬燵のような炉)も備えている本格的な八畳のお茶室で、アメリカであることを忘れてしまう和の空間。床の間には『古松千年寿』と書かれた掛け軸、結び柳と椿の花、神楽飾り、そして、今年の干支である亥の香合(香を入れる容器)が飾られた。いずれも福を願う意味を持ち、軸の『古松千年寿』は、「千年も生きる松のように長くあれと祝う」といった意味をもつおめでたい言葉である。
本席での濃茶の点前の後、御園棚(テーブルと椅子でのお点前)で薄茶を、その後、席を移して、御屠蘇や御節(懐石)料理も振舞われ、鍋田先生はじめお弟子の方々による心づくしの和のもてなしに、招待客一同、心を和ませた。日本を遠く離れた地で、日本の伝統文化の豊かさと繊細さを感じることのできたひと時であった。今回は、濃茶は韓国系のお弟子さんが、そして薄茶はアメリカ人のお弟子さんが点て、茶道がインターナショナルな友好にも寄与していることが実感された。
淡交会ミシガン協会は北米における裏千家茶道の発信拠点として、茶道を通して日本伝統文化の普及に貢献を続けている。2017年に鍋田宗友氏に対し、日米の相互理解および友好親善に寄与したことを表して、当時の総領事より表彰状が授与されている。