在デトロイト日本国総領事館
中川 勉 総領事

JAPANニュース倶楽部読者の皆様、明けましておめでとうございます。

 皆様にとって、昨年はどのような一年でしたでしょうか。私は、昨年11月初めに在デトロイト総領事館に着任をし、やっと当地の気候にも慣れてきたところです。本年は皆様と何ができるだろうかと、様々な思いを巡らせているところでもあります。

 昨年一年間を振り返りますと、デトロイト総領事館が管轄するミシガン・オハイオ両州において、様々な草の根交流が行われた一年でした。そのいくつかをご紹介したいと思います。

 昨年、滋賀県とミシガン州の姉妹州県関係が50周年を迎えました。50周年関連行事は、三日月・滋賀県知事をはじめとした使節団の皆様にミシガンにお越しいただき、スナイダー・ミシガン州知事と共に、両州県間の長年の友情を祝うことができました。三日月知事には、台風で大変な状況下ミシガンにお越しいただき、皆様と共に記念すべき年を祝えたことに対し、改めて感謝の意を示したいと思います。三日月知事とスナイダー知事が合作した「湖」の書は海を渡り、アナーバー図書館で「SYODO展」が開催されました。作品は、50年前に両州県を結んだきっかけに思いを巡らせ、50年にわたって両州県の人々が培ってきた絆の強さを表すような、大変力強い書でした。さらに、長浜市からは冨田人形が、マイアーガーデンには信楽焼を始めとした美術品が持ち込まれるなど、両州県の交流は人々の交流を越え、文化交流に及びます。当地の至る所で、日米の互いの文化を分かち合い、互いに楽しむ人々の姿を見られるのはとても喜ばしいことです。1976年以降、両州県が派遣と受け入れを交互に続けてきた友好使節団の中には、親と子の二世代でプログラムに参加された方もおり、長年にわたる友情と、それを支えてきた皆様のご尽力に改めて感謝を申し上げたいと思います。

 オハイオ州では、昨年8月に、埼玉県川口市とフィンドレー市が友好都市関係を結びました。フィンドレーの多くの方に二都市間の友情を知ってもらい、また親しみを持って欲しいとの両市の願いから、川口市から「友」の記念碑が贈られ、リバーサイドパークに設置されました。同公園での式典には、両市長をはじめ、これまで友好都市締結のためにご尽力されてきた大学関係者、日系企業の皆様にも参加をいただきました。また、フィンドレーでの生活を始めたばかりの埼玉県・オハイオ州のプログラム参加者である日本人留学生も参加した記念碑除幕式では、最後に出席者全員が輪になり、二都市間の交流拡大の願いをこめて、フィンドレーの空に向けて風船が手離されました。この友好都市協定の締結により、フィンドレー市での新たな日本語教育プログラムが設置されるに至ったと伺っております。「産官学連携」を合言葉に、これからも文化を通じた相互理解促進の取り組みと、さらなる人的交流活動の発展に、当館からも大きなエールを送りたいと思います。

 本年は、平成から次の時代へと転換の時を迎えます。皆様と共に、新たな時代を築きながら、時代の変遷に立ちあえることをとても喜ばしく思います。今年はラグビーのワールドカップがありますが、来年にはいよいよ東京オリンピック、パラリンピックが控えております。さらに、2025年の大阪万博開催も決定し、大イベントが続きます。米国の「ハートランド」であるミシガン・オハイオ州は、地理的に米国の中心であるだけでなく、政治・経済の震源地としての重要性は今後ますます高まっていくだろうと考えております。新たな時代を盛り上げていくべく、当館としましても、これまで以上に日本の魅力を発信できるよう努めて参りますので、引き続きのご支援、ご協力をよろしくお願いしたいと思います。

末筆ながら、今年一年の皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。

平成31年1月
在デトロイト日本国総領事館

総領事 中川 勉

デトロイトりんご会補習授業校 宮本正彦校長先生

新年あけましておめでとうございます。

 皆様におかれましては、初春をつつがなく、お迎えられたこととお喜び申し上げます。

 本校は1973年に当地在住の日本人駐在員の方々が集まり、子供達のために自主的に開設したのが始まりで、本年度で創立45周年を迎えました。創立から約45年間、多くの園児、児童生徒が本校で学び、確実に力をつけ成長することができました。こうした学習環境の充実の背景にはデトロイト日本商工会、在デトロイト日本領事館の支援をはじめ、非営利団体である「りんご会」の多大なるご支援と各関係機関による多くのボランティア活動の力が基盤となっています。

 さて私事ではありますが、私は今年度で教職40年目を迎えることとなりました。毎年、多くの子どもたちと関わり、数えきれないほどの思い出や忘れることのできない場面がたくさんあります。そして、卒業後、今でも連絡を取り合っている教え子たちがたくさんいます。教え子の成長を語り、振り返ることができる喜びは教師という職の最大の魅力と思っています。

 クラス会をやると、小学校の面影がまだ残っている教え子もいれば、全くそうでない子もいます。数十年前に私が捉えていたその子の性格や印象が今でもほぼ一致している子もいれば、予想外の成長や変化のある子もいます。

 そうした中で今でも連絡を取り合っている教え子について、紹介をさせていただきます。

20年ぶりの再会    

 この度、私がデトロイトりんご会補習授業校へ着任する過程では、文部科学省や外務省の管轄として実施された多くの研修会がありました。その時、外務省の資料を調べていると記憶にある女性の名前を見つけました。その人は私が初めて教師になった時に学級担任として小学校4年生から6年生の3年間、受け持った子どもでした。明るく、責任感があり、どんなことにも最後まで力を抜かずにやり遂げる子どもでした。彼女とは彼女の結婚式以来、連絡をとることはなかったのですが、この機会に再び連絡を取り合うようになりました。今は外務省の重要な職務を遂行しながら、世界中を飛びまわる外交官として、一人の母親として、忙しくも充実した日々を送っています。ニューヨークの勤務やカナダ(オタワ)の大使館でも勤務の経験があり、今となってとても身近な存在となりました。私が帰国したら、日程を調整して再会の約束をしました。

自己実現に向けた努力と成果 そして、熱い思い

 運動能力が高く、特にサッカーに関しては優れた技能をもち、将来の夢を追い続ける男の子がいました。私もサッカーが好きで、その子には小学校の1年生の時から6年間、サッカーを指導してきました。その子が最初に追い続けた夢(目標)は、全国高校サッカー選手権に出場して全国制覇をすることでした。私は小学校卒業後も彼と連絡を取り合いながら見守っていきました。1991年、彼は東京都のサッカー名門校のキャプテンとなり、東京都代表として全国大会に出場し、見事に全国制覇を実現しました。その後もJリーグの選手として活躍し、今はその母校であるサッカー名門校の監督として、全国制覇を目指しています。今でも彼とサッカーの話をすると、昔と同じように熱く語ります。目を輝かせ、熱く語る姿は30年前の姿と変わっていません。私は彼がその名門校の監督として、全国制覇することを今から楽しみにしながら応援をしています。

私の教育観を根底から変えた男の子

 私が2度目の小学校1年生の担任をした時、発達に障害のある男の子を受け持ちました。授業が始まるとその子は椅子に座っていることができなくなるため、その子の母親も一緒に教室に入っていただき一緒に学習を進めていきました。その子は急に教室から飛び出し、私は何度も全力で追いかけたことがありました。私と母親は何度も何度も話し合いました。そのうち、その子が教室から飛び出しても、ある決まったコースを回ってきたら、必ず教室に笑顔で戻って来ることがわかりました。そんな様子を観ながら、母親は多くの辛い胸の内について涙を流しながら、私に話をしてくれるようになりました。彼と彼のお母さんは私の教育観を根底から変えてくれた存在です。今でも感謝をしています。彼とは毎年、年賀状で連絡を取り合っています。彼は今年で33歳になります。今は彼なりに社会の貢献者として、懸命に生きています。私が日本に帰国したら、一緒に日本酒を飲む約束をしました。

奥深いやさしさと強さを身につけた女の子

 私が小学校6年生の担任をしていた時、女子同士の友達関係でとても悩んでいる女の子がいました。思春期入口の難しくも大切な通過点であるこの時期、私は放課後に二人で時間をかけて何度も話をしました。奥深い優しさと強さをもっている女の子でした。二人で話をしながら、核心に触れるとその子は必ず笑い、笑顔になります。しかし、しばらくすると大粒の涙を流します。そして、別れる時には、その子も私も何かすっきりとした気持ちになっていました。彼女は今、プロのダンサーを目指し猛練習に打ち込んでいます。先日、初舞台の招待を受けました。感性豊かな彼女の表現は、観客を魅了するに違いないでしょう。

 この40年間、多くの子どもたちと出会い、多くのことを学びました。教師の最大の魅力は子どもたちとの出会いを通して、教師自身が成長できることです。

「人間の教育に必要な条件は教わる者も教える者も共に育つことである。」という名言があります。出会った多くの子どもたちに心から感謝をするともにこれからも成長し続ける私自身でありたいと思います。

デトロイトりんご会補習授業校

宮本正彦校長先生