去る11月18日(日)、JSDウィメンズクラブの女声コーラスTrillium(トリリアム)と混声コーラス-Otomodach(音もだち)によるジョイントコンサートがファーミントンヒルズ市にある教会(Orchard United Methodist Church)で催された。大勢の観客が優雅な歌声あふれるひと時に身をゆだねた。

 用意されたプログラムに、曲や作曲家の解説や、日本の歌にはその背景にある風習についても記され、歌詞と訳を載せている曲もあり、言語が分からない歌でも、想像を広げて楽しむことができた。

コンサートは4部構成で、オープニングは女性デュオ(二重唱)の華麗な歌声。「アレルヤ(神を褒め讃えよ)」が繰り返し歌われる喜びに溢れる宗教曲(モーツァルト作曲)が、会場となった礼拝堂の清らかさと相まって神々しく響き渡った。2曲目のシューベルト作曲による『主はわが羊飼い』は旧約聖書の中にある祈りの詩集である詩篇の中で最も愛されているであろうと言われている“詩篇23篇”が歌詞として使われており、その心を洗われるような美しい曲を二人で歌い上げた。

 第2部はトリリアムがまず、作曲家であり合唱指導者である松下耕が旧約聖書の詩篇から歌詞を取って作曲した『カンタテ・ドミノ(主に向いて歌え)』を披露。この作品は2011年の東日本大震災が起きる数か月前に完成され、アメリカで始まった義援金プロジェクトのために提供され、以来、国内外の多くの合唱団で歌われているとのこと。美しい歌声で届けられた。続いて、日本人にとって心の曲といえる愛唱歌から秋に相応しい『紅葉』と『村祭り』を日本語で情緒豊かに歌い、観客に懐かしさと癒しを贈り届けた。さらに、世界中で親しまれている『サウンド・オブ・ミュージック』から4曲を選び、女声の艶やかな明るさで楽しさいっぱいに演奏した。

 トリリアムは、JSDウィメンズクラブ発足とほぼ同時に、コーラスで親睦を図ろうと立ちあげたコーラス同好会。親睦のみならず、日本の歌を紹介したり、音楽を通して現地の人と交流するなど、「親睦と地域交流」というJSDウィメンズクラブの主旨そのものの活動を継続してきてきた。広いジャンルから曲を選んで、様々な言語で歌っており、定期コンサートの他、訪問演奏も多数行なってきている。オープニングのデュオの一人、浅見江里奈さんが指揮を務めている。

 休憩後の第3部は“音もだち”のメンバーの登場。赤いドレス姿の女性と黒いタキシード姿の男性が颯爽と入場し、見た目も粛々としたステージが生まれた。冒頭は、トリリアムが最初に披露した曲と同じタイトルの『カンタテ・ドミノ』であるが、曲は別のもの。こちらはローマの作曲家ピトーニの作品で、神を賛美し喜び祝う明るい詩であるが、音楽の上では、やがて来る裁きの日を惧れ救いを求める姿が悲哀な旋律などで表現されている。それを厚みのある豊かな混声の歌声で披露した。2曲目はフランク・シナトラのポピュラーソング『マイウェイ』。わが道を貫く力強さを歌った演奏に元気づけられた観客が多かったことであろう。神秘的な作品『Sure on This Shining Night』という曲の後には、無伴奏曲『死んだ男の残したものは』を重厚に演奏。そして、音もだちによる最後の曲は『リベルタンゴ』。クラッシック演奏家も多く手掛けるポピュラーな曲である。リベルタンゴとは、スペイン語Libertad(自由)とタンゴを合わせた造語といわれており、タンゴ調の躍動するリズム感とエネルギーが溢れる曲。体を揺すりながら聴いている人も多かった。
広いジャンルからの選曲について新指揮者である稲村尚美さんに尋ねところ、『Sure on This Shining Night』の作曲者モートン・ローリゼン氏は稲村さんの恩師であるとのこと。また『死んだ男の残したものは』の作曲者が好きなので、ぜひこの曲をやりたかったと話してくれた。
“音もだち”は、より難しいことに挑戦したい人々が集まり、難易度の高い曲に挑んでいる。曲風のバラエティーにも挑戦し、広がっていくことであろう。

 フィナーレは全員で、トリリアムが第2部で歌ったサウンド・オブ・ミュージックの『Climb Ev’ry Mountain(すべての山に登れ)』を大合唱。「山」とは、人生の試練を意味している。力強い歌詞が添えられ、壮大さに満ちた曲を全員でダイナミックに歌い上げ、計11曲に及ぶ様々な歌でつづられたコンサートの幕を引いた。