デトロイトりんご会補習授業校の恒例行事であるオープンハウスが、10月20日(土)に開催された。このオープンハウスは、児童生徒が平日に通う現地の学校の先生や教育委員など教育関係者を招待して行われ、授業参観及び交流と、日本文化紹介を通じ日本の児童生徒への理解と関心を高めてもらい、ひいては現地校での児童生徒への指導に役立つ情報を提供することを目的としている。

 参加者は受付で校内地図などの参考資料を受け取った後、2校時目にあたる授業を自由に参観。現地校の学級担任やESL(ELL)の先生方は、担当の子ども達が所属する教室を探して訪れ、学習する姿に温かいまなざしを向けていた。幼稚園部では一緒に作業する訪問者も多く、児童の嬉しそうな顔や、はにかむ表情などが見られた。小学1年生の学級では漢字の指導をしていたが、児童の活動に倣って指で空書きしている先生もいた。漢字の複雑さと多さに驚く声は例年多く耳にする。「たくさんの字を覚えるし、複雑な字を書くから記憶力が良いし手先が器用なのかしら」と分析して話す人もいた。廊下には児童生徒による絵日記や観察記録、グループ制作の研究発表ポスター、書道作品などが壁に貼り出され、教科書や副教材(学習帳)などが並べられ、少しでも理解を深めてもらおうとする担任の先生の想いが現れていた。授業内容や教材について父母会の案内担当者に熱心に質問する参加者も多く、日本の指導法に対する関心の高さも窺えた。急に冷え込んだものの好天に恵まれ、約100名の来校者があり、活気にあふれたオープンハウスとなった。

 来校者の一人、地元ノバイ市のESLの先生は学年をまたいで50人ほどの日本人の生徒を担当しているとのことで、足早に各教室を回っていた。ゆっくりと参観はできないものの「ハローと言って回りたい」「気にかけていることが伝わると考えている」と話してくれた。幼稚園で園児の工作活動に加わっていた先生は、「子どもが日本の学校のことをたくさん話してくれるので、目で見たかった。イメージしにくかったことも今日見て分かった」と実に嬉しそうに感想を寄せた。

 「シャイだと思っていたが、ここではのびのびと発言していて安心した」といった担当児童に対する感想の他、クラス全体の集中度の高さや、児童生徒全体の礼儀正しさを称賛する声も耳にした。「英語をよく理解できない児童を受け持っているが、今日参観していて、言葉が分からない不安な気持ちが分かった。より配慮を工夫したい。」といった感想も多く、オープンハウス開催の効果は大きい。

 参観後には体育館にて、和田総領事ならびに藤田JBSD(デトロイト日本商工会)会長をはじめとする来賓も迎えて、全大会と、当周辺地区よりETJ(Educators To Japan:現地校教育関係者日本派遣プログラム) に今夏参加した米国人教育関係者からの報告プレゼンテーションが行われた。

 まず、宮本学校長による歓迎の辞と感謝の言葉や、同校の規模や学習内容の概略説明に続き、日本においてESD(Education for Sustainable Developmentの略)「持続可能な開発のための教育」の教育理念のもと、異文化理解をふくめ総合的な学習に取り組んでいることが伝えられた。この日の参観とETJのプレゼンテーションによって、日本の学校についての理解が深まることを期待する言葉を伝え、さらに、「私たちはアメリカで苦労している人々のサポートをしているが、現地校の教育関係者と悩みや懸念を共有していきたい」と述べた。

 ETJの報告に先立って、JBSDのETJ担当者より同プログラムの経緯や概要について説明がなされた。同プログラムは日本人生徒を受け入れている現地校の先生方に感謝と日本文化理解を図る目的で1975年にロサンゼルスで始まり、デトロイト地区では1992年からJBSDがスポンサーとなって継続してきている。ほぼ毎年数人の参加者を送り出している。今年度は5名の参加者が、世界各地からの参加者と共に、ホームステイ及び学校や多数の文化施設を見学する機会を得た。充実したプログラムとして高い評価を得ている。

 この日の報告プレゼンテーションは、「ハーモニー」を強調し、「今日この学校での温かい歓迎と同じように、日本で迎えてもらった」とスタート。学校訪問やホームステイでの具体的なエピソード、日本の美しさ、学校生活や慣習の違いなどを、異文化の中に放り込まれた新鮮な驚きを交えつつ紹介した。

 学校訪問の話題として、歩いて集団で通学する児童を住民が見守っていること、給食は児童が配膳し一斉にスタートすることなどが挙げられ、他人への奉仕や協調が浸透していると指摘があった。

 参加者の中には参観だけでなく授業をした先生もいたが、言葉が通じ合えない怖さに触れたうえで、自己紹介でのボスターの絵や地図が有効であったと伝えた。ホームステイでも「正しいマナーができなかったらどうしよう・・・」という不安があったが、こういった思いを知ったことが収穫であったと述懐した。

 翻訳アプリは時に可笑しな訳があったがテクノロジーに感謝したとのコメントも出た。伝統的なものと近代技術の調和が印象的であったとのこと。東京は混雑しているのに喧騒はなく駅もきれいであったと称賛。報告の最後に、「笑顔が人との触れ合いの始まり、簡単に絆を育むことができる」「文化を知ることで理解が深まる」と、笑顔とともに感謝の言葉で発表を締めくくった。

 りんご会理事のメッセージのなか、日米に留まらず異国異文化の多様性理解に繋がることを願う言葉があった。教育関係者が子供に与える影響は大きい。今後の児童生徒の指導、異文化理解と絆が、より良く進展してゆくことが期待される。