今年、ミシガン州と滋賀県の姉妹提携50周年を迎えた。9月7日には滋賀県知事とスナイダーミシガン州知事により、今後も末永く豊かな姉妹交流関係となることに期待を込めた共同宣言が行われた。長きにわたって様々な交流が行われてきたが、この秋には記念の年ということで、滋賀県知事はじめ滋賀県議会議長、滋賀県商工会議所連合会長、一般県民使節団等、80名を超える友好交流使節団がミシガン州を訪れた。

 50周年記念イベントの幕開けとして、8月19日から10月13日まで、アナーバー図書館で“滋賀県書道展”が開催された。

4階建て図書館のうち3階分のスペースに、滋賀県から届いた350点以上の作品が展示され、昨年スナイダーミシガン州知事が滋賀県を訪れた際に滋賀県知事ならびに滋賀県書道協会会長と共に書いた背丈より大きな「湖」の書も飾られた。

8月20日、21日には滋賀県書道協会から102名の使節団によるオリジナルうちわ作りや書道のワークショップが開かれ、延べ300人におよぶ地元の人々が参加した。使節団の3割は小・中・高校生であり、

「姉妹提携100周年でまたワークショップをしたい」と頼もしい声もあがり、「両県州の懸け橋」のみならず「未来への懸け橋」となる交流を楽しんだ。

 10月5日と6日には、デトロイト美術館(DIA)のシアターにて、滋賀県長浜市に伝わる冨田人形による浄瑠璃の公演が行われた。DIAの協力により日本の芸能を無料で鑑賞できる稀な機会。何百人もの人が異国の文化に触れようと足を運んだ。

 冨田人形の歴史は長く、約170年前(江戸後期)に阿波から巡業中の人形座が大雪のために芝居もできず逗留し、帰る路銀を得るために人形を置いていき、それを使って村人たちが稽古をしたのが始まりであるという。メンバーは今も主婦や会社員や農業従事者など本業を抱える人形舞台の愛好者たちであり、郷土の伝統芸能を守り伝えている。かつては地元で演じていたが、昭和32年には滋賀県無形民俗文化財にもなり、日本国内外で伝統芸能の紹介に貢献している。

 この度のデトロイト美術館での公演では、『寿式三番叟』という音楽的な要素が強い軽快な祝いものの演目に始まり、事件や物語を題材とする“世話物”に分類される演目のひとつ『傾城阿波の鳴門』という母娘の別離をえがいた物語、そして「八百屋お七」で知られる『伊達娘恋緋鹿子』の『お七火の見櫓の段』、3つの演目を披露した。お七が火の見櫓に登る場面は、人形の使い手が観客には見えず、重要な見せ場。それまで動きと謳いに引き込まれて静かに鑑賞していた観客から感嘆の声があちらこちらで上がった。上演は日本語で行われたものの、各演目の前に、英語であらすじの解説と抑揚ある太夫(語り手)の語りにより、素晴らしかったとの感想がたくさん聞こえてきた。人形の構造や動かし方の説明もあり、1体の人形を3人の人形使いがタイミングを合わせ表現していることに驚きの声が漏れた。解説と上演合わせて1時間半以上であったが、そのあとの質問タイムには観客から感謝や称賛の言葉が多数伝えられ、「どうやって3人のタイミングを合わせるのか?」「何年練習するのか?」など様々な質問も飛び出し、関心の高さが知れた。

 メンバーたちは、地元の小・中学生や地域住民のみならず、外国人にも伝授して継承に努めている他、滋賀県に在るミシガン州立大学連合日本センター(JCMU)の学生などこれまで300名近くの海外留学生を長期研修生として迎えて文化交流にも寄与している。ちなみに、「何年練習するのか?」という質問の答えだが、同様に3人で人形を操る人形浄瑠璃文楽では、“足使い”という足の操作ができるまでに10年、左手に10年、その後やっと、顔と右手の操作ができるそうだが、冨田人形では関心のある人にはすぐにでも教えているこのこと。そのおかげで、留学中に習って上演できるほどになる学生も多く、日本の伝統が広く親しまれている。

 デトロイト美術館での公演後、10月7日には、当地の日本商工会とウィメンズクラブの共催で開かれた日本祭りにも特別参加し、地元の人々に滋賀県の魅力発信を行った。さらに、10月8日には州都ランシングのミシガン州立大学でも公演が行なわれ、多くの人が貴重な機会を得ることができた。

 ミシガン州には、滋賀県内の市と姉妹都市提携を結ぶ都市や地域が14ある。その多くが交換留学や文化紹介を兼ねた交流イベントなど、活発に絆を築いている。その継続と発展を強く願いたい。