今年も残すところ2ヶ月を切りました。ミシガンでは先月半ば過ぎには最低気温が氷点下となり薄っすらと朝霜が降りた日もありました。日本ならば残暑も静まった10月、11月と言えば虫の音を聞きながら読書や映画・音楽鑑賞など秋の夜長を楽しむ時期ですが、夏から一足飛びに冬に向かう感じの米国の秋は残念ながら風流の趣に欠けます。それを言い訳にして私のように文化的な活動を疎かにしてはいけませんが・・・(汗)

気温は近付く冬の訪れを感じさせてもスポーツの秋は真っ盛りです。プロ野球では太平洋を挟んでワールドシリーズと日本シリーズが現在進行中。ア・リーグ覇者のボストン・レッドソックスとナ・リーグ覇者のロスアンゼルス・ドジャースの争いとなったワールドシリーズはレッドソックスが地元で2連勝の後、舞台をLAに移した第3戦は同シリーズ史上最長の延長18回、5時間を超える死闘の末ドジャースが劇的なサヨナラ勝ち。記録にも記憶にも残る一戦となりました。セ・リーグ覇者広島東洋カープ対パ・リーグ覇者ソフトバンクホークスで昨年と同じ顔合わせになった日本シリーズは初戦から両者一歩も譲らぬ大接戦となり、規定により延長12回引き分け。レギュラーシーズンも含めて、引き分けなしで勝ち負けが決まる最後までプレーを続けるMLBとの違いがどちらのチームに『吉』と出るでしょうか?アウェイの広島で負けなかったホークスにやや利ありかも。日米ともシリーズ残りの試合が見応えのある内容になるといいですね。

その他のスポーツではMLBを含む米国4大プロスポーツのNFL、NBA、NHLも相前後してシーズンイン。地元デトロイトのライオンズ、ピストンズ、レッドウィングスそれぞれ今年はプレーオフまで残れるでしょうか?また、プロテニス女子では先月下旬シンガポールで開催されたWTAファイナルで今期全日程を終了。初出場の大坂なおみ選手は万全な状態でなく残念ながら予選リーグラウンドロビンで敗退しましたが、今年、特に後半の大活躍は見事。何も恥じる必要はなく胸を張って米国に戻り、来シーズンに備えて十分な休養とリフレッシュの後、また新たな目標に向かってトレーニングに励んでもらいたいですね。お疲れ様。男子テニスは今もまだシーズンが続いており、日本の錦織選手には現時点で年間成績ベストのトップエリート選手8名で争うATPツアーファイナルロンドン大会への連続出場チャンスが残っています。この数週間は手首の怪我の後遺症も薄らいで本来のプレーレベルに戻りつつあり、ぎりぎりでもいいので何とか出場権を獲得し、トッププレーヤー相手にもう一暴れして欲しいものですね。レッツゴー、ケイ!頑張れ、圭!!

さて、今回のテーマは『米国中間選挙に思う』です。

ご存知のごとく、今月11/6(火)は米国中間選挙の日です。米国議会上院議員の1/3、

下院議員全員の改選が主ですが、州によっては州知事の改選や欠員を埋める補欠選挙も同時に行われます。任期4年の現職大統領就任後の折り返し点での選挙であるため、過去2年間の政権運営、実施政策の是非を問う性格があり、歴史的には現職大統領と現政権与党が国民の批判や不満を受けて不利な結果となる傾向があります。政治評論家による事前予想では下院は民主党が逆転して単一議決可能な絶対過半数超えとなり主導権を握れそうだが、上院は難しいかもしれないとの見方が多いようですが、大の負けず嫌いで強気一辺倒なトランプ大統領は「もし中間選挙で共和党が負けても自分の所為ではない」といち早く防衛線を張る発言をしています。相変わらず『自分の非を絶対に認めない人達』の先頭を切っており、物事が上手く行けば

自分の手柄、失敗すれば他人の責任というジコチューな態度を徹底して貫いています。

そんな大事な中間選挙ですが、前回選挙で大敗した民主党が期待する『ブルーウェイブ(民主党の政党色が青であることから、青い波)』が大きなうねりとなってレッドステート(共和党の政党色が赤であることから、共和党の勢力地盤が強い州)やスイングステート(選挙毎に民主党と共和党の勢力が入れ替わるような勢力拮抗の州)を飲み込んで民主党有利に大逆転出来るか?はたまた、トランプ大統領と政権与党が(ロシアの選挙介入、対抗者への妨害行為の助けも借りて?)民主党の弱みを突き、有権者を扇動操作して共和党有利の牙城を死守出来るか?『関が原の戦い』ではないですが、2020年の次期大統領選も視野に入れた天下分け目の戦いになりそうです。

結果を左右する鍵を握ると見られているのは、従来積極的に投票参加しなかった無関心派・無政党派や移民問題絡みで不満を持つラテン系など非白人有権者、全米各地の学校などで起こり続ける悲惨な銃乱射事件に怒り、銃器類規制の強化を迫る青年層とその家族や学校関係者、“Me Too”運動に代表される女性中心に広がっているセクハラ、性差別、人種差別の被害者とその支援者グループ、トランプ政権の税法改革や各種規制解除・撤廃などの実施政策の恩恵に預からなかった地方の小市町、郡部や田舎に住むいわゆる“Forgotten People”(『忘れ去られた人々』)、更に関税引き上げが引き金となって泥沼化している貿易戦争の直接・間接的被害者などになりそうです。

中間選挙の争点としては、メキシコとの国境地帯で親と離れ離れにされ、いつ再会出来るかも分からぬまま収容所生活を強制されているこども達を巡る移民問題、つい先日続いて起きた反トランプ派要人に対する憎悪に起因する郵送爆弾騒ぎやピッツバーグのユダヤ教寺院で白人至上主義者が起こした銃乱射事件で重なる人種差別と一向に進まぬ銃器類規制問題、リスク覚悟で性差別・セクハラ被害を公表し議会証言までして訴えた女性被害者をまともに取り合わずに疑惑の最高裁判事交代候補者をゴリ押しで議決承認したトランプ大統領と共和党政権、収入は増えず寂れる一方の田舎町で途方に暮れる人々、関税引き上げの煽りを受けて輸出用農作物の出荷が出来ず売上げ収入や来年の生産見通しが立たない農家(報道ではほとんど取り上げられませんが、アリゾナ州の穀物倉庫はいつ出荷出来るか見込みが立たない穀物の仮在庫で一杯。継続的に生産・出荷したい農家は一時的な補助金をもらっても将来が不安で喜べない)など上述した数点だけでも大きな問題ですが、それに加えて一向に具体化しない北朝鮮の非核化問題、突然で一方的な米露中距離核戦力削減条約撤廃宣言(自分達が核戦力削減に取り組まずにどうやって北朝鮮を説得するつもりなのか?全く支離滅裂)、地球温暖化ガス削減の国際条約パリ合意やTPP交渉、更に国連人権委員会からの離脱、経済優先、雇用増を謳い文句にして環境保護のための各種規制撤廃による前世紀レベルへの逆行、加速する地球温暖化と巨大化・頻繁化する自然災害、事実や確かなデータは無用と公言して自分勝手な嘘八百のレトリック(美辞・巧言)を振り回し、それを指摘・非難する自分に都合の悪いメディアをフェイク・ニュースと糾弾し、『エネミー・オブ・ピープル=民衆の敵』と呼んで事実報道を信条とする良心的なメディア潰しまたは統制を狙った圧迫・弾圧行為等々問題は山積みです。

経済(と自分達トランプグループのソロバン勘定)さえ良ければ他はどうなっても構わないと言わんばかりの近視眼的スタンスですが、トランプさん、良心的メディアの呼び方に大事な一語が抜けています。正しくは『民衆の敵』ではなく、『エネミー・オブ・バッド・ピープル=悪人の敵』ですよ。言葉は正しく使って欲しいですね。

本号が皆さんのお手元に届く頃には中間選挙の結果が出ていると思いますが、果たして結果は如何に?前回選挙ではリアリティーTV番組(実際には現実ではなく作り事、やらせの世界かも)と同じ感覚で「面白ければ良し」として試しにトランプに投票してしまった人達を含めて、大多数の米国有権者が彼のレトリックに惑わされず、慎重に熟慮の上で良心と良識ある判断をして投票することを願うばかりです。

Keep fingers crossed!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。