平成30年4月29日に日本政府によって平成30年春の外国人叙勲受章者が発表され、この中でミシガン州在住ジェイムズ・F・ヘティンジャー氏が叙勲されることが公表された。同氏は、日系企業支援並びに日米間の相互理解の促進及び友好親善に寄与した功績が認められ、旭日双光章の外国人受賞者として選ばれた。

 ヘティンジャー氏は昭和54年(1979年)から平成21年(2009年)までバトルクリーク公団(以下BCU)の社長として、日米間の相互理解と友好親善の促進に多大な貢献をした。ミシガン州は当時、日本人の間で“米国との貿易摩擦の現場”として認識されていた中で、日本企業招致に取り組み、日本の企業幹部との関係強化、日本からの投資誘致のための環境整備、及び在留邦人が暮らしやすいコミュニティ作りに尽力した。また、ヘティンジャー氏が日本からの企業誘致についてまとめた著書は高く評価されている。さらに同氏はバトルクリークと群馬県高崎市の姉妹都市提携にも協力し、日米間の友好親善に貢献した。

 6月29日に、在デトロイト日本国総領事館公邸にて叙勲レセプションと授与式が催された。バトルクリーク地区のみならずミシガン州の新旧の政府関係者並びに経済の分野からの代表者、そして日系コミュニティーの代表者も大勢招かれ、盛大に行われた。

 和田充広総領事は祝辞として、膨大な功績を集約して列挙した後、ヘティンジャー氏のたゆまぬ尽力と成果を称賛し、感謝の意を述べた。

 ヘティンジャー氏は受章の挨拶の中、博士課程の学生として、米国、ロシア、日本の組織的意思決定について研究したことから始まり、「日本の意思決定の遅さに対して私を雇った人々の忍耐を心配したが、BCUは、日本のやり方では決定に5年かかるのは付きものであり、その代わりにに一晩で実行できると受け止めて支持するようになった」と語り、「アメリカ流は一晩で決定し5年かかる」と付けくわえた。氏の日本に対する理解と周囲への働きかけにより、バトルクリーク地区は一人当たりの日本人投資額が世界の何処よりも多いコミュニティーになった。ヘティンジャー氏は「今回の栄誉を受けるに至った功績は、この日列席している多くの人々の支持がなければ成せなかった」と述べた。また、自宅では浴衣姿で寛ぐなど、生き方や生活空間も日本に影響を受けていると表明。「日本は素晴らしい国です。数百万の人が限られた土地に接近しあって暮らし、犯罪がほとんどなく、礼儀や礼節をもって社会を築いている」と称え、大切な教訓が得られると語った。日本と米国は環太平洋で互いを必要としており、急成長する中国のチャレンジに向かい打つ強い味方同士であり、また朝鮮半島の非核化によって環太平洋諸国に永続的な平和と繁栄をもたらしていく味方同士であると言明。自身を含めたバトルクリークの人びとの努力が認められたことに対する感謝の言葉で締めくくった。

 政府関係者などの祝辞に続いて、ヘティンジャー氏の長年の友人でありビジネス面での強い繋がりをもつ増本勝義氏が挨拶にたち、心からのお祝いと合わせて、BCU開設時からの具体的な経緯を披露した。ヘティンジャー氏が行なった日本コミュニティへの最大の貢献の1つとして、駐在者の子弟のために土曜日の日本語補習校の設立に寄与したことも挙げた。増本氏は最後に、「ヘティンジャー氏は豊かに湧き出る泉のような知性に溢れた人です。良質な水を汲み上げるために彼が十分な深さまで掘り下げ、その水は過去も現在も流れ、そして将来も流れていくでしょう」と、氏の功績は今後に続いていくことを示唆する言葉を贈った。

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