
「向こう岸のカナダは近く見えるけど、1マイルあるよ。まっすぐ泳いで行ったつもりでも6マイル違うところに着いてしまうさ」。
カナダへのアプローチはデトロイトとウインザーの橋やトンネルが有名だが、ここから20分のPort Huronからもカナダへ通じる橋がある。もともと、St. Clairは18世紀にイギリスが、デトロイトからミシガン州最北端のFort Michilimackinacまでの支配を確かなものにしようとして、St. Clair川河口に作った街。
インディアナ州等で4つのブリューワリーを経営している一族が、故郷のSt. Clairにもオープンさせたのは2014年。一族はアイリッシュだが、この故郷の歴史を大切にしている。ブリューワリーの名前の由来もそこにある。1754-1814年までは60年間の争いと言われる。北米においてフランスとイギリスとの戦争にフランスがネイティブ・アメリカンを巻き込んだ。そこからアメリカ独立戦争を経て、1812年に起こった「米英戦争」(英語ではWar of 1812の表記)まで、この五大湖(Great Lakes)は戦い(military struggles)の舞台だったのだ。
この日、ブリューワリーのことを話してくれたオーナーの一人Krisはこのネーミングのために歴史についても調べ、店内には掲示がある。20年間自動車産業で働いたあと、自宅でのビール作りをビジネスへと発展させた。インディアナのブリューワリー「Danny Boy Beer Works」のライセンス名で缶入りも発売している。War Waterでは16種類がラインアップしていた。ブリューワリーのコンセプトは「みんなに飲みやすく、そして伝統の作り方を踏襲する」。Lefty MIPA(ABV. 6.1%)はいわゆる3Csと呼ばれる人気のあるホップで作られており、ミシガン産のホップ。War’n Sun(ABV. 4.6%)はシトラスの風味で、飲んでいくたびにスムーズに感じるさわやかなIPA。
ブリューワリー内にオープンしているAnchor Point Bistro(https://theanchorpointbistro.com/)から季節ごとのメニューがリリースされ、食事もできる。健康的、ディープフライは使用せず、新鮮なものを、というのがモットー。Muenster Cheese Logsを試してみた。素朴な味がした。
St. Clairはデトロイトから約50マイル。St. Clair湖が美しい。オーナーお勧めのイベントはSt. Clair Beer and Wine Festival (6月9日、http://stclairbeerandwinefest.com/)。ミシガン州内外の40のブリューワリーとワイナリーが出店予定。また、ファミリー向けイベントには7月27-29日のSt. Clair Riverfest (http://www.stclairriverfest.com)だ。毎年5万人が訪れ、バンド演奏、パワーボートレースも観られる。これは入場無料。
のどかで心が静まるようなWar Water BreweryからのSt. Clair湖のカナダのながめは絶品。ボートレースはこのブリューワリーのある広場の前を通る。湖沿いにはボードウォークもあり、淡水湖のボードウォークとしては世界最長を自負する。ブリューワリー前の広場から湖を眺めてみた。まるで南のリゾートにいるようなすがすがしさだった。
201 N. Riverside, St. Clair, MI 48079
Tel: 810-289-3921
www.warwaterbrewery.com