
ミシガン大学のJ S A (Japan Student Association:日本学生会)主催による日本文化祭が4月1日(日)に開催された。キャンパス内で行なわれているが、学生に限らず一般公開のうえ入場無料。ミシガン大学の日本研究センターならびにデトロイト日本商工会がスポンサーになっており、その年のメンバーのアイデアで内容とテーマを変えながら恒例で行われている。今年、26回目を数えた。
今年のテーマは「時代」。時代をテーマにしたアクティビティブース4つが設けられた。‘江戸’はお手玉を使った的入れゲーム、‘明治・大正’は東京駅を模したブースでペリー将軍の姿などを絵柄にした福笑い、‘昭和’は折り紙、‘平成’はカルタ。カルタは、クイズ式の絵札取りで、クイズの内容が平成にちなんだものになっていた。
その他、パフォーマンス、焼きそばやタコ焼きなどの食べ物も提供。
ミシガン大学の日本語プログラムによるブース、また、日本語学生が指導にあたって書道体験、同校のアニメ同好会のブース、そして当地の日系アメリカ人リーグ(JACL)による紹介ブースでは押し花を使った栞作り体験もあり、賑わいをみせた。
書道(毛筆)の体験コーナーでは、いろいろなお手本の中から、画数の多い文字に挑戦している人が多く見られた。アジア系の男子学生に声をかけたところ、中国からの留学生で、「本国の日常では毛筆は使わないが、春節の飾りなど毛筆の文字は欠かせない。でも自分は書けない」との話。「良い経験ができた」と喜んでいた。
パフォーマンススペースでは、3つのグループがパフォーマンスを届けた。トップバッター、学生バンド“Ontaku:オンタク” は、音楽とオタクを合わせたグループ名で、管楽器や弦楽器でアニメミュージックを中心に演奏を楽しんでいる。今回は、
2016年夏に公開され大反響をよんだアニメ映画『君の名は』の主題歌『前前前世』(RADWIMPS)を演奏。音楽専攻生はいないというが、レベルの高い軽快なスイングで会場を沸かせた。
続く“Element 1”はミシガン大学唯一のブレイクダンス部。卓越した身体能力による見事な技が観客を魅了した。彼らはダンスを通して友情と信頼関係をを築くことを目的として活動しているとのこと。日本とは直接の関連はないが、アジア系パフォーマンスグループとしてイベントなどで活躍。JSAメンバーとも親交が深い。学生同士の国際交流は将来の良好な国際関係に役立つことだろうと期待を抱かされた。
演奏の間に、『わさび巻きチャレンジ』というわさび巻き早食い競争が行われ、盛り上がった。優勝者にはミシガン大学のギフトショップのギフトカードが贈呈された。
次のパフォーマンスは“Sakura”。日本人女性を含む和楽器の演奏グループで、日本文化の一端を披露できればと、学外から参加。よさこいスタイルの踊り、箏と篠笛の演奏を披露した。ジブリ映画『もののけ姫』の曲名が紹介されると、観客から「おー」と声があがり、学生にもうけていた。
締めはJSAのボードメンバー含める13人による『ソーラン節』の踊り。日本でもポピュラーな演目だが、JSAオリジナルバージョンは交差するなどのバリエーションもあり、大学生らしい創作になっていた。各担当に忙しく動き回わる合間の渾身の生き生きとしたパフォーマンスであった。
JSAは日本人会ではなく、日本語や日本に関心のある学生の同好会で、人種や文化背景の多様な学生が交流や学習のために集まっている。この日本文化祭は彼らの活動の中で、一年を締めくくる集大成ともいえるイベントで、数ヶ月にわたってアイデアを出し合い、準備を進めてきたそうだ。日本文化を紹介し、楽しい時を提供しようとする意識が伝わってくるイベントであった。学生を中心に、老若男女、人種を越えて楽しむ姿があった。