将来のがんを防ぐために、HPVワクチンを接種しましょう

By Tomohiro Tokuda, 徳田智裕BA
Medical Student, Hamamatsu Medical School
Joanna Rewルー・ジョアンナ
Panel Manager, Dominos Farms Family Medicine
Michael D. Fetters, フェターズ・マイクMD, MPH, MA
Director, Japanese Family Health Program
Dominos Farms Family Medicine 

31歳の主婦、田中華さん(仮名、以下同じ)は、先日突然子宮頸がんと宣告されました。

32歳の会社員、佐藤次郎さんには、咽頭がんが見つかりました。20年前、彼らが11歳・12歳だったころ、彼らのがんの原因、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンはこの世にありませんでした。

続いて、11歳の杉田麻央ちゃん、12歳の加藤快くん。二人は元気な小学生。二人とも、がんの原因になるHPVに対するワクチンを受けることが出来ます。もちろん誰にも、二人が将来HPVによって子宮頸がんや咽頭がんにかかるかどうかは分かりません。でも、華さんや次郎さんには無かったHPVワクチンという選択肢が、麻央ちゃんや快くんにはあります。多くの日本人のみなさんが、HPVワクチンに関する様々な報道をお聞きになっていることでしょう。健康のプロフェッショナルとして、私たちは正確な情報をみなさんにお伝えして、がんを防ぐお手伝いをしたいと思ってこの記事を書きました。

HPVワクチンとは

HPVワクチン(ガーダシル9など)は、がんや尖圭コンジローマ(性器に出来るイボ)などを引き起こすヒトパピローマウイルスの中で、特に発がんリスクが高いタイプのウイルスに対するワクチンです。予防接種として導入されるまでに、効果と安全性が複数の大規模研究と臨床試験で確かめられています。HPVワクチンは9歳から26歳の男女が接種出来ますが、特に11歳か12歳ごろに接種するのが最も効果的とされ、推奨されています。14歳以下なら6か月以上の間を置いて2回接種、15歳以上なら3回接種が必要です。また、男女どちらも接種することが重要です。男女ともにHPVによるがんのリスクがありますし、ウイルスのキャリアになり得るからです。接種率はすこしずつ上昇していますが、特に日本では低いままなのが現状です。

なぜHPVワクチンが必要か――HPVはがんを引き起こす

HPVワクチン接種の最大の目的は、がんの予防です!HPVはとてもありふれたウイルスで、皮膚同士の接触によってうつります。ウイルス自体の治療法は存在せず、一度感染したら一生キャリアとしてウイルスを他人にうつす可能性があります。HPVが主な原因である子宮頚がんは、日本人女性がかかるがんのトップテンに入り、15歳から44歳の女性において2番目に多いがんです。特に30代から40代に多く、毎年約3,000人の日本人女性がこのがんで亡くなり、約30,000人(上皮内がんを含む)が新しく診断されています。一方、HPVは男女両方に口腔がんや咽頭がん、肛門・性器周辺のがんも引き起こします。男性においては陰茎がんの原因にもなります。HPVワクチンを接種することで、がんの原因になるウイルスをもらったりうつしたりする事からあなたを守ることが出来ます。がんを防ぐことが出来るのです。

HPVワクチンで口の中の癌も防げる

HPVはキスやオーラルセックスを通じて口の中に感染すると考えられています。実際に、アメリカではHPVによる口腔・咽頭がんは子宮頸がんよりも多く、大きな問題となっています。性的接触が始まる年齢よりも前にワクチンを接種しておくことによって、男女ともに口の中への感染を防ぐことが出来ます。

HPVワクチンの安全性

2006年に最初のワクチンが発売されて以来、2017年までに世界で2億7千万本以上が使用されています。あわせて数百万人規模の研究が行われてきた結果、HPVワクチンの安全性は高いと世界保健機構(WHO)が結論付けており、ワクチン接種を国のプログラムに導入することを強く推奨しています。

HPVワクチン接種後の症状に関する報道

近年特に日本のメディアで、HPVワクチン接種後にけいれんのような動きをした、計算が出来なくなった、といった事例が繰り返し報道されました。テレビや雑誌でこうした情報を見られた方は、HPVワクチンは怖いものだ、と感じられたかもしれませんし、こうした報道を受けて国内外で多くの副反応研究が慎重に行われました。しかし、結果としてHPVワクチンとこうした症状には因果関係があるとは言えない、ということが示されています。ただし、他の多くのワクチン(みなさんが普通に受けている予防接種)と同じような副反応(注射後の一時的な痛みや腫れ、注射への不安による失神など)はHPVワクチンでも起こりうるので、それらについては医師によく説明を受けてから接種しましょう。

HPVワクチンは世界中で推奨されている

上に述べたようにWHOにより推奨されており、世界65か国で予防接種として導入されています(2016年時点)。アメリカ、オーストラリア、イギリスなどの国々では、ワクチンを接種した世代でのHPV感染率や前がん病変(がんに進展しうる状態)の人の割合が減少した、というデータが示されています。また日本においても、日本産婦人科学会、日本小児科学会をはじめとした多くの学術団体が予防接種としての推奨を強く訴えています。

ワクチンの費用について

HPVワクチンは多くの保険会社でカバーされており、9歳から26歳の男女なら保険の範囲内で接種できます。もしあなたが健康保険に加入していなかったり、保険がHPVをカバーしていない場合でも、小児予防接種(VFC)プログラムによって9歳から18歳のこどもは無料で接種できます。VFCによる接種は、プログラムに加入している医療機関ならどこでも受けられます。また地域の保健所でも、26歳までなら少額または無料で接種出来ます。

どこで正しい情報が得られるか

あなたのプライマリケア医に聞いてみましょう。また、ワクチン情報文書(VIS)はインターネットで閲覧でき、日本語でも見られます。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)およびWHOのウェブサイトでも情報を提供しています。日本産婦人科学会もHPVワクチン推奨に関する声明を発表しています。

よくあるご質問

HPVワクチンって本当に安全なの? 

――はい。HPVワクチンは承認される前に複数の大規模研究と臨床試験で安全性と効果が非常によく検証されています。安全性についてはCDC、アメリカ食品医薬品局(FDA)、WHOなどが継続的に監視しています。

なぜうちの子を11歳か12歳のうちに接種させた方がいいの? 

――・11歳、12歳ごろの接種で免疫が最もよく得られます。

   ・14歳以下なら2回の接種で大丈夫ですが、15歳以上になると3回接種が必要になります。

   ・いま接種することで、お子さんの将来のがんを防ぐことが出来ます。さらに、その次の世代のがんを防ぐ事にもなります。

ワクチンに副作用はないの? 

――他の薬と同じく、ワクチンにも副作用(副反応)はあります。しかし、そのリスクは小さく、効果はずっと大きいと考えられています。HPVワクチンの一般的な副反応は軽く、1日から2日以内におさまるものがほとんどです。ワクチンを打った場所の発赤・痛み・腫れや、吐き気、頭痛、発熱、一時的な筋・関節痛、倦怠感が起こりえます。

より詳しい情報は、ミシガン大学日本家庭健康プログラムまでお気軽にお問い合わせください。

・アナーバー:Domino’s Farm (734)647-6523 

・リボニア健康センター (248)473-4300

返事を書く

コメントを記入してください
お名前を記入してください