
新年明けまして おめでとうございます。
当地で迎える正月も3回目となり、年々イルミネーションの輝きと訪れる人々で賑わいを増すダウンタウンデトロイトの移りゆく景色を眺め、月日の流れを実感しています。私もすっかり当地での生活に慣れましたが、地元の文化施設を訪れたり、長年当地に暮らす方々のお話を伺う度に、まだまだ日本とミシガンの関係について知らないことも多いものだと気付かされます。
昨年は、ミシガン大学創立200周年及び全米最初の学際的な日本研究所であるミシガン大学日本研究センターが70周年という節目を迎えたほか、デトロイト日本商工会(JBSD)の貢献によるデトロイト美術館内日本ギャラリーの開設とJapan Cultural Days開催、さらにオークランド郡のイニシアティブによるノバイ市桜ガーデン建設のキックオフなど、新たな日米交流プロジェクトが幕を開け、喜ばしいニュースには事欠かない記念すべき年となりました。年頭に当たって、2018年はどんな「節目」に当たるのか、この機会に調べてみたことをふまえて、列挙してみたいと思います。
先ずは何と言っても、ミシガン・滋賀姉妹州県提携50周年に当たる今年、州内では数々の交流行事が予定されています。両知事による会談、幅広い年齢層の市民から構成される友好親善使節団の相互派遣、そしてミシガン州立大学連合日本センター(JCMU)を基盤とする若者交流を通して深められた両州県の絆は、次の50年も一層強固に、多層的に発展していくことが期待されます。滋賀県・ミシガン州関係以外にもミシガンでは今年55周年を迎えるカラマズー・沼津(静岡)やワイアンドット・小牧(愛知)、40周年のポンティアック・草津(滋賀)、25周年のモンロー・防府(山口)やクリントンタウンシップ・野州(滋賀)など、多くの姉妹都市交流が行われており、当館としてもこれら草の根交流の支援を積極的に行っていきたいと考えています。
JBSDとデトロイトりんご会補習授業校は、1973年にそれぞれの前身であるデトロイト日本人会及びデトロイト日本語補習教室を発足させてから今年で45周年を迎えます。我々館員を含め駐在コミュニティに属する方にとっては特に、これら組織のお陰で日本から遠く離れたミシガンでも安心して家族と共に生活を送ることが出来ていると言っても過言ではないでしょう。こういったネットワーク無しに、日本と異なる環境下で生活を立ち上げていく苦労は想像に難くありません。この45年間、日系企業が地元に根付きながら地域に貢献し、地元市民の信頼を得て受け入れられ、現在の良好な日米関係があることを改めて実感するとともに、日本人コミュニティの皆様の日頃からのご尽力に敬意を表します。
今からちょうど30年前の1988年、オハイオ州メアリズビルで生産されたホンダ・アコードクーペが、日本メーカーが現地生産した車として初めて日本に「逆輸入」されたそうです。日米貿易についてはここ数十年で大きく環境が変化してきましたが、トランプ大統領就任以来、TPP離脱、NAFTA再交渉、税制改革など、引き続き自動車業界に携わる方々は高い関心を持って政権運営の行方を見守っていらっしゃることと思います。グローバル化が進み、北朝鮮による脅威が高まる中、日米経済関係・日米同盟が今後も重要性を増していくことは明らかです。両首脳がしっかりとした信頼関係を維持構築することもさることながら、日米関係の更なる発展のためには、草の根レベルでの交流が今後ますます重要性を増していくことでしょう。
最後に、在デトロイト総領事館は2018年1月1日を以って開設25周年を迎えました。引き続き皆様のお力添えを頂きながら、良好な日米関係の維持・発展に館員一同尽くしてまいる所存です。また、領事出張サービス、旅券や戸籍等の各種証明関係事務の更なる充実・向上に努めるとともに、安全に関する情報についてはタイムリーに発信し皆様が安心して生活できるように安全対策に万全を期してまいりますので、お気付きの点等ございましたら、遠慮なくご連絡、ご指摘下さい。
末筆ながら、本年が皆様にとりまして幸多き一年となるよう、お祈り申し上げます。本年もどうぞ宜しくお願い致します。
新年あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては、初春をつつがなく、お迎えになられたこととお喜び申し上げます。
本校は1973年に当地在住の日本人駐在員の方々が集まり、子供たちのために自主的に開設したのが始まりで、本年度で創立44周年を迎えました。創立から約44年間、多くの園児、児童生徒が本校で学び、確実に力をつけ成長をすることができました。こうした学習環境の充実の背景にはデトロイト日本商工会、在デトロイト日本国総領事館のご支援をはじめ、非営利団体である「りんご会」の多大なるご支援と各関係機関による多くのボランティア活動の力が基盤となっています。
さて、日本の国際的諸活動の発展に伴い、海外進出している日系企業数は過去最多となり、海外在留邦人も約134万人となりました。その内、義務教育段階の子供たちは平成29年度に8万人を超え、その数は今後も増加傾向にあります。そうした子供たちの多くは日本人学校または補習授業校に通い日本の学習指導要領に基づいた教育を受けています。
現在、日本では小学校は平成32年度、中学校は平成33年度より完全実施される新学習指導要領の準備を計画的に進めています。学習指導要領は時代の変化や児童生徒の実態、社会の要請を踏まえ、10年ごとに改訂されます。そして、これから必要とされる資質や能力を明確にしながら、学校現場では授業実践を通して児童・生徒の育成を図っていきます。また、改定に伴い教科書検定、教科書採択が行われます。現在、使用している教科書においても今後、内容等が変更されることとなります。
学校は社会の準備段階であると同時に、学校そのものが、子供たちや教職員、保護者、地域の人々などから構成される一つの社会です。そうした環境で身についた子供たちの学力こそ、今後の社会の中で発揮されることに大きな期待があります。少し先を想定して、小・中学校では2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックから、その後の10年後の2030年頃を見通した社会で発揮できる子供たちの学力に期待し、その育成をする必要があります。
昨今、日本の人口変動による社会的な変化が予想され、経済界をはじめ多方面から現実的な2030年の日本の姿が述べられています。文部科学省でも新学習指導要領の実施に向けて、教育課程企画特別部会を設定し、論点整理が行われました。そのまとめの中に次のような資料が記されています。
『日本の2030年には、少子高齢化が更に進行し、65歳以上の割合は総人口の3割に達する一方、生産年齢人口は総人口の約58%にまで減少すると見込まれている。そして、同年には、世界のGDPに占める日本の割合も低下し、日本の国際的な存在感の低下も懸念される。グローバル化や情報化が進展する社会の中では、多様な主体が速いスピードで相互に影響し合い、一つの出来事が広範囲かつ複雑に伝播し、先を見通すことがますます難しくなってくると予想される。子供たちが将来就くことになる職業の在り方についても、技術革新等の影響により大きく変化することになると予測されている。子供たちの65%は将来、今は存在していない職業に就くとの予測や、今後10年~20年程度で、半数近くの仕事が自動化される可能性が高いなどの予測がある。また、2045年には人工知能が人類を越える「シンギュラリティ」に到達するという指摘もある。このような中で、グローバル化、情報化、技術革新等といった変化は、どのようなキャリアを選択するかにかかわらず、全ての子供たちの生き方に影響するものであるという認識に立った検討が必要である。』
そうした時代の変化に対応するために、子供たちに「基礎的な知識及び技能」「これらを活用して課題を解決するための必要な思考力、判断力、表現力」および「主体的に学習する態度」の、いわゆる学力の三要素から構成される「確かな学力」をバランスよく育むことが学校の大切な役割です。
本校の教育は日本の教育内容の一部を、年間42日間の授業日(土曜日)を通して補習を行っています。そして、児童・生徒が帰国後、日本の教育環境にスムーズに適応できるようにすることと同時に「米国において平日の現地校と週末の補習校の両方で勉強を続け、努力する子供たちこそ、より国際社会で活躍できる」という目的に向かって園児・児童・生徒の育成に努めています。
本校の園児、児童生徒数の合計は965人(12月10日現在)、常勤職員と臨時職員を合わせると約100人の世界4番目の大規模な補習授業校です。今年も本校教職員が一丸となって、本校の教育目標とめざす園児、児童生徒像の具現化に向けて、着実な授業実践を積み上げ、子供たちの成長を共に喜び合える「チームJSD」として取り組んで参ります。