~帰国生入試でも国内生の入試でも重要度が高まるTOEFL

米日教育交流協議会・代表  丹羽 筆人

国際社会のグローバル化が進み、日本の学校でもその動きに対応する取り組みが行われています。文部科学省が指定するスーパーグローバルハイスクールやグローバル大学はその一つです。また、国際的な教育プログラムの国際バカロレア(IB)を導入する学校も増加しています。このような学校は、米国で培った英語力や国際理解の体験を、帰国後も活かすための進学先の選択肢となるでしょう。

一方、入学試験においても、グローバル入試やIB入試が増加しています。また、2020年から大学入試センター試験に代わる大学入学共通テストの英語で外部テストを利用する動きと相まって、帰国生入試ではTOEFLのスコアの重要度がますます高まっています。この動きは国内生の高校入試にも波及しそうです。2020年度からの小学校の英語必修化の影響で、中学入試にも英語重視の傾向が表れています。これらは、英語圏で学んだ帰国生にとっては有利ともいえそうです。

スーパーグローバスハイスクールとグローバル大学

グローバル化を推進している高校として、文部科学省が指定するスーパーグローバルハイスクール(SGH)があります。語学力だけでなく、社会の課題に対する関心や教養、コミュニケーション能力、問題解決能力などを身につけたグローバルリーダーの育成を目指しています。指定校は研究開発学校となり、現行教育課程に依らない独自の課程を編成し、実施できます。また、グローバルリーダー育成に向けた教育の開発・実践に取り組む「SGHアソシエイト」として選定された学校もあります。

一方、日本国外の大学との連携などを通じて、徹底した国際化を進めて、世界レベルの教育研究を行う「グローバル大学」があります。指定校は37校で、大学教育のグローバル化を進めて、日本の大学の国際競争力の向上を図り、グローバルな舞台で活躍できる人材の育成を目的にしています。また、グローバル大学は次の2種類の型に分かれます。1つは「トップ型」です。世界大学ランキングのトップ100を狙う実力がある、世界レベルの研究を行う大学で、計13校あります。もう1つは計24校ある

「グローバル化牽引型」です。これまでの実績を基に新たな取り組みに挑戦する大学になります。SGH指定校とアソシエイト校やグローバル大学の詳細は、文部科学省のウェブサイト(www.mext.go.jp)にて確認することが可能です。

増加している国際バカロレア認定校

国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)は、IB機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラムです。1968年に国際的な視野を持った人材を育成するために設置され、認定校に対する共通のカリキュラムの作成や世界共通のIB試験、IB資格の授与などを実施しています。欧米ではIB認定校が目立ちますが、日本でもIB認定校が増加しています。

また、IB資格は世界の多くの国々で大学入学資格として幅広く受け入れられていますし、米国の難関大学ではIBの履修を推奨し選抜において考慮するケースも目立ちます。日本ではIB資格のある18歳以上の者は、日本の大学への入学資格が認められており、IB資格やIB試験のスコアなどを活用した入試を実施する大学も続々と登場しています。

IBの認定校は世界140以上の国・地域の4,846校です。日本の公教育の学校の中での認定校でIB資格が取得可能な学校は、仙台育英学園高校、茗渓学園高校、ぐんま国際アカデミー、筑波大学附属坂戸高校、玉川学園中学部・高等部、東京学芸大学附属国際中等教育学校、東京都立国際高校、山梨学院大学付属高校、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢、法政大学女子高校、加藤学園暁秀高校、名古屋国際高校、立命館宇治高校、英数学館高校、AICJ高校、リンデンホールスクール中高学部、沖縄尚学高校で、その他16校のインターナショナルスクールでもIB資格が取得できます。(2017年6月1日現在、文部科学省調べ)

グローバル入試やIB入試実施校が続々登場

大学入試では「グローバル入試」が増加しています。「AO(アドミッション・オフィス)入試」は、従来の教科学力試験の結果を重視する入試とは異なり、高校の成績や課外活動を重視し、小論文や面接で選考する入試方式ですが、「グローバル入試」は、さらに英語力も重視する入試方式です。

出願資格として、TOEFLやTOEIC、IELITS、英検などの英語検定の一定のスコアや合格級が求められたり、これらのスコアや合格級が合否判定に利用されたりします。つまり、英語力の4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)の高い受験生を選抜し、国際社会で活躍できるグローバルな人材に育成しようという

意図があるのです。

また、「活動記録報告書」の提出を求める大学もあります。例えば、早稲田大の「活動記録報告書」には、生徒会・地域活動・ボランティア活動等、学芸・弁論:スポーツ等の大会・コンクール・展覧会等、技術および能力に関する資格や科目の秀でた成績について、「その活動を通じて学んだこと」および「それを今後の勉学と将来にどう活かしたいか」を、それぞれ300字以上400字以内で記入して提出します。また、「活動記録報告書」に記入した活動内容に関して、その活動実績を客観的に証明するため、学校長または活動内容をよく知る者(各種団体長など)の証明を受けた「活動内容証明書」の提出も必要です。

「グローバル入試」では「AO入試」と同様に小論文または論文、面接または口頭試問を課す大学が目立ちます。例えば、首都大学東京は、『小論文は課題に対する考察力、論理性、表現力などを評価する。面接は受験生本人のこれまでの活動内容、国際社会及び専攻を希望する分野に関する知識、関心及び考え方について問い、意欲、コミュニケーション能力、柔軟性、適性を評価する。』と募集要項で記しています。

なお、グローバル入試は、東北大、亜細亜大、昭和女子大、東京理科大、関西学院大などでも実施されています。また、高校や中学入試でも、英語重視型のグローバル入試を実施する学校が増加しています。

一方、IBを活用する入試も増えています。東北、筑波、東京、東京外国語、東京芸術、お茶の水女子、金沢、名古屋、京都、大阪、岡山、広島、長崎、鹿児島、国際教養、横浜市立、大阪市立、慶應義塾、工学院、国際基督教、順天堂、上智、玉川、東洋、法政、立教、早稲田、日本獣医生命科学、中京、愛知以下、関西学院、立命館、立命館アジア太平洋の33大学が実施しています。(2017年8月現在、文部科学省調べ)

ますます高まる入試におけるTOEFLのスコアの重要度

2020年から大学入試センター試験に代わる大学入学共通テストの英語の試験は、外部テストの成績を利用することが検討されています。これには、高校生に英語の4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)を修得させようという目的があります。

帰国生大学入試では、北海道大、横浜市立大、大阪府立大、青山学院大、上智大、明治大、関西学院大などで、TOEFLのスコアを出願基準として利用しています。また、東京大、京都大、大阪大、学習院大、慶應義塾大、国際基督教大、法政大、立教大、早稲田大などでもTOEFLのスコア提出が求められています。さらに、TOEFLのスコア提出は求めないが、英語の試験をTOEFL形式で出題する大学も目立ちます。このように、帰国生大学入試においては、すでにTOEFLが重要なのです。

帰国生高校入試では、鎌倉学園高、国際基督教大学高、早稲田大本庄高、同志社国際高、立命館宇治高などが、TOEFLのスコアを出願条件や選考の基準として利用します。また、帰国生中学入試でも、TOEFLのスコアを選考に利用する学校もあります。

このように、帰国生入試では、すでにTOEFLのスコアアップを図ることが重要です。大学入試では80以上、ただし東大文類は110以上、早慶大は100以上が必要です。一方、高校入試では72以上、中学入試では42以上あると推薦入試出願の要件を満たします。

しかし、TOEFLのスコアが高いだけでは合格できません。大学では、文系学部は小論文、理系学部は数学と理科、高校では、国語、数学、英語や作文、中学では国語、算数、作文などの日本語での学力試験が課されます。また、ほとんどの学校で日本語での面接もあります。つまり、多くの学校が日本国内の受験生とほぼ同様の学力を求めているのです。

執筆者のプロフィール

河合塾で十数年間にわたり、大学入試データ分析、大学情報の収集・提供、大学入試情報誌「栄冠めざして」などの編集に携わるとともに、大学受験科クラス担任として多くの塾生を大学合格に導いた。また、全国の高等学校での進学講演も多数行った。一方、米国・英国大学進学や海外サマーセミナーなどの国際教育事業も担当。米国移住後は、CA、NJ、NY、MI州の補習校・学習塾講師を務め、2006年に「米日教育交流協議会(UJEEC)」を設立し、日本での日本語・日本文化体験学習プログラム「サマー・キャンプ in ぎふ」など、国際的な交流活動を実践。また、帰国生入試や帰国後の学校選びのアドバイスも行っており、北米各地で進学講演も行っている。河合塾海外帰国生コース北米事務所アドバイザー、名古屋国際中学校・高等学校アドミッションオフィサー北米地域担当、名古屋商科大学アドミッションオフィサー北米地域担当、デトロイトりんご会補習授業校講師(教務主任兼進路指導担当)

◆米日教育交流協議会(UJEEC)

Website:www.ujeec.org