歴史的邸宅フリーア・ハウスにて 個展 Hiroko Lancour at the Charles Lang Freer House 5

IMG_4701IMG_471411月4日のデトロイト美術館の日本ギャラリー公開に合わせ、グランド・オープニングの協賛行事の一つとして、日本とゆかりのあるチャールズ・ラング・フリーアの歴史的邸宅・通称フリーア・ハウスにて、日本(福岡市)で生まれ育ちメトロ・デトロイト地区で美術活動をしている弘子Lancourさんの1日限定の個展が開かれた。 フリーアハウスでオリジナル作品展が催されたのはフリーアの死後98年ぶりのこと。多くの人が訪れ成功裏に終了した。

弘子Lancourさんは当地でIT関係の仕事に長年携わった後、Wayne State Universityの大学院で美術を学び、これまでに多数の展示会への出展や個展開催を行ってきた。情報科学技術の職に就いてきたことが芸術表現に影響しており、整然としたプロセス志向の作風に表れている。日本とアメリカ、秩序と混沌、故意と偶然といった、物事を二項対立的にとらえ、対比させながら主題の本質を探る姿勢を持っている。今回の個展では、幾何学模様の紙の刺し子、植物の青写真、書画、パステル画など様々な材料と手法による作品30点ほどが、邸宅内の3つのスペースに展示された。

IMG_4707弘子さんは、10数年前にフリーアハウスを初めて訪れた時、一見シンプルでありながら細部まで周到に配慮された空間の広がりや気品ある雰囲気に日本的なものを感じ、これを建てた人物に時空を超えた

IMG_4727精神的なつながりを感じたという。フリーアが、明治時代に日本を5回も訪れたほどの知日派で、日本の美術的伝統を西洋に伝えた重要な美術コレクターであることは後に知った。フリーアをより深く知り、興味が広がり、そして共感が増幅し、やがて自身の作品制作過程においても共鳴し始めたと語る。

フリーアがこの邸宅に保管していたコレクションは、ワシントンD.C.のスミソニアンの一角に彼が設立したフリーア美術館に、死後、遺言によって収蔵された。フリーアハウスに現在も『孔雀の間』と呼ばれる部屋があり、かつてロンドンにあったものをフリーアが部屋ごと買い取ってデトロイトに持ってきた収集品の一つであったが、これが丸ごとワシントンDCに移されている。この、抜け殻といえる空間に、弘子さんは『根こそぎ』という植物の青写真シリーズを展示。根こそぎにされた草たちの遺影が白く残る。孔雀の間の流転、そして作者自身の日本からアメリカへの“根”の移転。「根こそぎ」感がただようスペースになった。

IMG_4732フリーア・ハウスはデトロイト美術館より1ブロックという至近距離にあるが、通常は一般公開されておらず、この度の催しは邸内を見学できる稀な機会ともなった。日本的な要素も多い邸宅と美術作品を鑑賞した参観者から、多くの称賛や喜びの声が寄せられた。

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