
日本国外務省は6月29日、平成29年度外務大臣表彰受賞者を発表。当地において25年以上にわたり日本とアメリカの架け橋となってきたJSDウィメンズクラブが受賞団体に名を連ねた。
外務大臣表彰は1983年に開始され、日本と諸外国との友好親善関係の増進に顕著な功績のあった個人および団体について、その功績を称えるとともに、その活動に対する一層の理解と支持を国民各層に依願することを目的に行われている。JSDウィメンズクラブは、日本とアメリカ合衆国との相互理解の促進に尽力し、友好親善に寄与した功績が称えられ、外務大臣表彰を受賞した。
JSDウィメンズクラブ(JSD:Japan Society of Detroitの略)は1991年にJBSD(デトロイト日本商工会)の前身Japan Society of Detoroitの外郭団体として、「デトロイト周辺の日本人及び日本語を話す婦人に助け合いと親睦の場を提供する」、「地域社会に日本を紹介し、地元との交流を深める」という二大趣旨のもとに発足した。2001年1月には非営利団体としてミシガン州政府に正式に登録された。
日本文化紹介の活動のほとんどは、メンバー達によるボランティアで行なわれている。主なものとして、茶の湯や着物の着付けの実演、折り紙や書道のワークショップ、コーラスや邦楽の演奏など。現地の学校をはじめとする各種団体からの依頼を受けて、出張サービスの訪問文化紹介を数多くこなしている。
今や地域の大イベントとして定着した‘JSDウィメンズクラブ・JBSD文化部共催日本祭り’も、20年前にウィメンズクラブの活動として現地校の先生方を招いて日本文化紹介を行なったのが発端。そこで好評を得たため、1999年にはJBSD文化部との協賛企画で一般向けイベントとして‘日本祭り’がスタートした。訪問者数が激増し、以来、協力団体も増え内容も充実し発展してきた。
9月22日(金)、在デトロイト総領事公邸にてJSDウィメンズクラブへの外務大臣表彰式が行なわれた(以下JSD省略)。列席した歴代のウィメンズクラブ会長や現執行部役員を代表して柴田会長代理が和田充広総領事より表彰状を恭しく受け取った。和田総領事からは、日米の架け橋として貢献してきたウィメンズクラブの活動に対して感謝と称賛の言葉が伝えられた。
日米協会の代表は「26年後にその多大な貢献が表彰されて心から嬉しい」と告げ、日本やアジアの文化紹介イベントを多数催してきたデトロイト美術館の代表者は「ウィメンズクラブ抜きでは無しえない盛大なものになった」と賛辞を寄せ、Detroit Country Day Schoolからは「日本文化を実演してくれただけでなく、生徒の質問にとても親切に回答し、興味や意欲を高めてくれた」と感謝を伝えるなど、誰もが、いかに紹介内容が素晴らしく、精神誠意なものであったかが次々に披露された。また、出席の叶わなかった志知初代会長からのメッセージが代読され、日本人/日系人にとって難しい時代に発足し、苦労がありながらも熱意とをもって活動を続けてきたことが知らされた。(下に記載)
柴田会長代理は、ウィメンズクラブのニュースレターの中で、「頂いた表彰状は一枚の紙ではありますが、これまでウィメンズクラブの活動に関わった延べ5千人以上に及ぶ女性たちの熱い思いと26年の小さな積み重ねの結晶だと思うと、その重さをずしりと感じました。」と、思いを記している。
会場には設立当初からのウィメンズクラブのニュースレター(会報誌)、ウィメンズクラブ会員が情報収集し編纂してきた6版にのぼる「ミシガン生活ガイドブック」、
日米協会からの表彰額、さらに活動を報道された時の地元新聞のコピーなどが展示されていた。大型テレビではこれまでの活動の写真がスライドショーとして映し出された。
日本文化は食や漫画などを中心に世界中で認知度を上げている。湾曲して理解されたり、一人歩きをはじめたりしていることも多い。そんな中で、生身の人が直に伝える大切さは計り知れない。活動が廃れることなく続くことを願いたい。会長代行を務めている柴田さんは、状況に合わせて変化はありつつも、ウィメンズクラブは今後も活動を続けていきますと語っている。
~ 志知初代会長からのメッセージ ~
この度私どものウイメンズ・クラブが、地域交流に貢献する海外在住の団体の一つとして2017年度の外務大臣表彰を受けたと伺い、メンバーの一人として心からの喜びと感謝の気持ちをお伝え致したく存じます。
自動車製造の町として知られるデトロイトに日本企業の進出が始まり、いつの間にか米国企業を脅かす勢力となり、当時の米国経済のスランプとあいまって、日本叩きの嵐が吹き荒れるようになった、その頃のことです。色々の事件があり、現地のテレビ局や新聞社が日本の駐在員や家族をインタビューしたいと思って探し、やっと見つけても、会社の緘口令があり、意見がきけないと困っていたことがありました。ここにはジャパンタウンもないし、領事館も無く、日本に関する資料すらどこにあるのやら。一般の人は日本に対する知識など殆ど持っておらず、デマや脅しに乗りやすいため、バッシングはかなり成功していたようでした。
1991年に結成されたこのクラブは、そのような現地の情勢の中で、増えてくる日本駐在員の家族が早くこの土地の生活に適応できるような支援を行うとともに、現地の人々に対して日本の伝統的な文化を紹介して、日本のことを少しでも知ってもらい、また日本人との直接の出会い、接触を経験してもらうという、二つの大きい目標を立てました。
成立以来、26年という時が過ぎようとしておりますが、その間、熱心なボランティアのメンバーが多くの時間と勢力を費やしてご奉仕下さいました。地域の色々な団体、学校、施設、会社などの要請を受け、日本の文化紹介のプログラムをあちらこちらで行って参りましたが、蒔かれた種はしっかりと根づいて日米相互理解の活きた絆として育っているように見えます。会員もほとんどが帰国されましたが、長期滞在のメンバーの中には、会結成の折から現在も続けてご奉仕下さっている方たちもございます。長い間の皆さんの熱意と努力の成果を、今回の表彰という形で評価していただき、私どもも誠に嬉しく存じます。このお励ましに感謝し。さらに将来に向けて、日本と米国の人々をつなぐ架け橋としての活動を続けてまいりたいと存じます。
本日の表彰式を企画してくださいました総領事館の皆様にお礼を申し上げ、またウイメンズクラブの地域交流プログラムの経費を支援していただいている
JAPAN BUSINESS SOCIETY OF DETROITに感謝申し上げます。有難うございました。
志知 朝江