
文&写真 by ヤマトノオロチ
デトロイト発の放射状に伸びる5つの幹線道路のひとつ、Woodward Avenue。 基点はダウンタウンのJ e f f e r s o n Avenueだ。記録上は全長約35キロメートルだが、“終点”はなく、US 24とBL I-75へループ上につながり、またデトロイト方面に戻ってくるをご存知だろうか。ループはPontiacのダウンタウンの外側を包み込んでいる。
Pontiacの地名はこの地を本拠としたネイティブ・アメリカンのOttawa族の勇者にちなむ。そして、かつてPontiacはGMのブランドの一つだった。歴史は1900年台初めにGMが小さな自動車会社を買収したことにさかのぼる。そのPontiacブランドの生産は2009年で終了した。Pontiacブランドの興隆と衰退、そして2009年を最後にメトロ・デトロイトエリア最大イベントの一つArts, Beats, and Eatsもほかの街に移ってしまった。Fillmore13はそんなPontiacを再興させようと2017年3月にオープンしたばかりだ。
店名はオーナーがデトロイト・ダウンタウンのWoodward Avenue沿いにあるFillmore劇場が好きなので名づけられた。コメリカ・パークの一つ隣の西通り、Fox Theater向かいなので、ダウンタウンをご存知の人にはすぐわかる。フルキッチン、ランチサービス、キッズ・フレンドリー、そして店内は自動車産業にちなんだオブジェが壁面を飾っており、ローカルかつソフィスティケート。さりげない自動車のナンバープレートの装飾や、いそがしく回る天井の扇風機、通りに目をやるとこれが廃頽しているダウンタウンなのだろうか、いや、緩やかな時間の流れの中にしっかりと新しい波をもたらしている場所なのではないか、と思えてくる。
「イベント?そうね、Dream Cruiseね。」
毎年8月にPontiacからFerndaleまでのWoodward Avenueを往年の名車が“練り歩く”。2017年は8月18日(金)から20日(日)の開催。クラシックカーのファンは必見。12マイルには子どもも楽しめるバウンスハウスも予定されている。
(公式サイト http://woodwarddreamcruise.com/index.html/ )
ところで、訪れた日のFillmore13のラインナップは17種類。一つ一つのビールごとにイラストが添えられているのも、このダウンタウンのメインストリートSaginawには以前からギャラリーが多く、この建物は元アート・ギャラリーだったせいなのか。
一番人気のあるWar Cry IPAはColumbus, Chinook, Cascadeのメジャーなホップからできている極品。さすが、ミシガンのいくつかのブリューワリーで力をつけてきたブリューマスターだ。
Pontiacのダウンタウンの駐車は自動車のナンバープレート番号を入力し、停めたい時間に合わせて25セント(クォーターコイン)を投入し、期限の時間が書かれたレシートが発行される新システム。15分が25セントぐらいだ。
いつもは静かなPontiacダウンタウン。ひそかに訪れる場所にするのもよし、Dream Cruiseで家族で楽しむのもよし。どちらも今のPontiacだ。
Fillmore 13 Brewery
7 North Saginaw Street, Pontiac, MI 48342
P: 248-977-36972