
デトロイト再興のシンボル Ren Cenと「ビジネスの交差点」のブリューワリー
文&写真 by ヤマトノオロチ
ミシガン州に住んでいると手続きなどでデトロイト・ダウンタウンの日本国総領事館をおとづれたことがある人が多いだろう。総領事館はルネサンス・センターにある。このデトロイトリバー沿いにそびえるゼネラル・モーターズのヘッドクォーターのビルが公式にオープニングセレモニーを行ってから今年の4月15日で40周年になる。今世紀に入ってからのリノベーションで作られた吹き抜けのWinter Gardenから見るデトロイト・リバー越しのカナダ、ガラス張りの回廊に感動した人も多いはず。リバー沿いにのびるウォーターフロントのプロムナードと夏の噴水で戯れる家族連れでもにぎわうRen Cen(ルネサンス・センター)はデトロイトの再興の希望のシンボルとなっている。今回はRen Cenにあるブリューワリーを紹介する。
総領事館と同じタワー100の1階にGranite Cityがオープンしたのは昨年2016年2月。実はTroyに1号店、Northvilleに2号店が既にオープンしており、ここは3号店目になる。ミシガン州にはクラフトビールが250件ほどあり、ミシガンが地元の人が経営や醸造を行っている。このGranite Cityも独自のビールを作っているブリューワリーだが、チェーン店形式。名前が示すとおりGranite Cityとはミネソタ州のSt. Cloudの別名。1880年代にはグラナイト(大理石)の切り出しで栄華を極めた。その労働者ののどを潤すためにビールは欠かせなかった。ブリューワリーGranite Cityは1999年に会社が設立され、14州に36店を展開する一大チェーン。どのチェーン店も輸送された独自の麦芽汁を使い、各地ごとに醸造するというユニークな製法をとっている。
Ren Cenのブリューワリーは場所柄を反映して「ビジネスの交差点」の印象が強い。バーのカウンターで好きなビール4種類を組み合わせてフライト(サンプラー、$4.99)も楽しむことができる。この日は、ちょうど隣りに居合わせた人とも会話が弾んだ。プライベートジェットのパイロット、商談でRen Cen内のホテルにとまっている人など、経済の繁栄と衰退の波にもまれながらもこのダウンタウンのシンボル的タワーがビジネスの中心地であることをよく示している。ブリューワリーを訪れるときはもっぱらそこの特徴的なブリューを楽しむことが多いが、ここではビールは、立ち変わり次のビジネスの場所へと移動する人たちの交差点での潤滑油、というサブ的な働きをしているように思えた。16,000SqFt.のレストラン内はバーのカウンター席の数は少なく、ブースも多くは4人席だ。
マイルドでシンプルさが好みならThe Northern (Lager)。やはりホップの風味を楽しみたいのならBatch 1000 (Double IPA)だが、ビールが出されてから時間が経つと甘さが増してしまったので要注意。The Bennie (German Bock)は色も味も重厚でチョコレートの風味がする。
食事のメニューは、サンドイッチ、フラットブレッド、パスタなど、もちろん豊富。レタスがいっぱいに敷かれたプレートにシーザーサラダのプラスとしてグリル・サーモンがあったのが目を引いた。また、Ponzu Salmonというメインの一皿もあり、おもしろそう。
用事でしかこのRen Cen界隈を訪れないかもしれないが、新たな発見と楽しみが持てそうなエリアだ。
Granite City Food & Brewery
100 Renaissance Ctr., Suite 1101,
Detroit, MI 48243
http://www.gcfb.com/