平成28年度 デトロイトりんご会補習授業校卒園・卒業証書授与式 10

IMG_19043月18日 (土) 、デトロイトりんご会補習授業校で第19回卒園式・第44回卒業証書授与式が挙行された。今年度の卒園・卒業生は、幼稚園部92名、小学部68名、中学部23名、高等部7名を数えた。

日本ではお彼岸に入り、暦の上では春になってひと月以上たつが、当地ではまだまだ冬。午前中には花びらの大きさもあろうかという牡丹雪が舞った。

午前中の卒園式では、体も心も一回り大きく成長した園児たちが、この時ばかりは緊張感をはらんだ大人びた面持ちで式に臨んだ。宮本正彦校長は、卒園を寿ぐとともに、小学校生活へ向けての贐の言葉を伝えた。

IMG_1889午後に行われた小・中・高、合同の卒業証書授与式は、中・高等部が借用しているノバイ高校の講堂を会場に予定していたが、悪天候による停電に見舞われ、急遽、小学部・幼稚園部が借用しているノバイメドウズ校の体育館での実施に変更するというハプニングがあったものの、落ち着いた雰囲気のなかで滞りなく挙行された。来賓として在デトロイト日本国総領事館を代表して大平領事、デトロイト日本商工会事務局長、さらにノバイ学校区の教育長をはじめ同学区の教育関係者、また、イースタンミシガン大学の桶谷教授が臨席。りんご会理事長ならびに運営委員長、父母会執行部長、小学部高学年以上の在校生、卒業生の保護者が出席し、盛大に催された。

IMG_1884開会の辞の後、列席者一同による日本国歌の斉唱、生徒によるアメリカ合衆国国歌独唱、そして児童生徒による校歌の斉唱が行なわれた。続いて、卒業生一人ひとりが学校長の手渡す卒業証書を恭しく受け取り、その間、在校生による生演奏のBGMが流れ、厳粛ながらも穏やかな雰囲気に包まれた。

宮本校長の式辞では、努力によって卒業を迎えた児童生徒たちを称えたほか、孔子の論語より『己の欲せざる所は人に施す勿れ』の故事成語を引用し、自分がされて嫌なことは他人にしてはいけないと語り、出会いと別れの多い同校の卒業生へ向けて、出会いを大事にするよう、また、「出会いが根底から君たちを変えるものであることも心にとめて4月からの新しい生活に活かしてください」と願いを伝えた。

IMG_1920大平領事による和田総領事祝辞の代読では、日本に居る同学年の生徒が出来ない貴重な経験をしていることを評し、世界はますます相互に関わりを深めていくであろうなか、日本文化の理解を奨励すると同時に、「グローバル人材として活躍することでしょう」と期待を寄せた言葉を卒業生に贈った。

マシューズ教育長からのスピーチ(英語)では、かつて日本を訪問した際のホームステイ先の人とのコミュニケーションは容易でなかったが楽しく過ごし、かけがえのない友人になった話を交え、自身、様々な所で学び経験を深めたが、

「皆さんは既に地球を半周した地で学んだ」と経験の幅を指摘。ノバイでの経験が人生に豊かさを与え、ここで培ったことが活きるようにとエールを届けた。

IMG_2003りんご会の中條理事長は「ハードな日々を過ごしてきました。今日までやり遂げただけでも十分」と苦労をねぎらい、「それを自信に新しい生活の糧にしてください」など応援の言葉を児童生徒に伝えたほか、理事として先生と事務の方々の献身的な姿を目の当たりにしてきたと言及し感謝を述べた。

在校生の「送ることば(中高等部では送辞)」では、上級生との思い出や、上級生を見習って励み続けたいといった抱負などが語られた。それに応じた卒業生による「お礼のことば(中高等部では答辞)」では、保護者や先生方へのお礼や後輩への激励のメッセージとともに、当地での苦労と喜び、友や先生との思い出などが紹介された。

IMG_1980小学部のお礼のことばの中では、2年生の3学期から通っているが、現地校では日本人が少なかったため、補習校で過ごす時間は全てがとても貴重であったこと、「今、降り返っても最初から最後までよく笑っていたことしか思い出せない」と述懐。また、日本の小学校に通っているのと変わらない日本行事の経験ができたことを感謝する言葉を伝えた。同校に来て1年半足らずという生徒による中学部の答辞では、現地校での慣れない環境や英語の授業・宿題に、精神的肉体的にかなり打ちのめされた中で、同校の環境は‘心のオアシス’と言えるものであったと表した。アメリカの文化習慣を理解し受け入れると同時に、日本の良さ、日本人らしさについて考える機会も多くなったと述べ、「異文化を吸収しながら、日本人としての美徳も忘れない、時代に合った成長ができるよう努力していきたい」と語った。最高学年である高等部の答辞では、高校生が模擬店や競技手伝いも行なう運動会を思い出の筆頭に、他の補習校との交流会、生徒会長としての生徒会活動などを列挙し、補習校に通ったからこそできた大切な思い出、経験であり、自分にとってプラスになることばかりであったと述べた。在校生に向けて、

IMG_2013「ここで学んだことは必ずいつか役に立ちます」「必ず救いの手があるはずです」と経験に基づいた声援を届けた。

いずれの言葉にも、苦労を乗り越えて卒業にこぎつけた達成感や自覚が表れていた。

最後に、卒業生と在校生が全員で「旅立ちの日に」を合唱し、感動のうちに閉式となった。

小学生が退席した後、補習校生活が最後になる高等部卒業生7名を送る特別イベントに移り、各自がスピーチに立ち、忘れがたい思い出や補習校の存在意義、そして前途への抱負を熱く語った。仲間との交流が支えとなり、同校での学びや人との繋がりが今後の財産になるであろうことが窺われた。輝かしい旅立ちの日であった。

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