お茶の世界と各国の文化の多要さと深さを伝えた デトロイト美術館 インターナショナル・コーヒー&ティー・フェスティバル 1

379A5748 昨年11月末から今年の3月上旬まで、デトロイト美術館(以下DIA)にて、Bitter|Sweet: Coffee, Tea & Chocolate特別展が開催されている。コーヒーやお茶などの香りや味を味わうほか、触ったり聞いたりするなど、芸術を見ることに加えて五感にも絡めた初めての企画である。

IMG_5606 この特別展の展示以外の目玉ともいえる“インターナショナル・コーヒー&ティー・フェスティバル”が同美術館にて1月21日と22日に開催された。このイベントは、アジアならびに古代中東やイスラム世界の視覚的および物的文化の理解と鑑賞を促進することに尽力しているFriends of Asian Art and CulturesというDIAのサポートグループが主催し、DIAと連携して計画や準備にあたり、アラブ、インド、中国、そして日本の四カ国のボランティアの人々がコーヒーとお茶の文化をテーマに自国の文化をステージ、ブース、ハンズオンアクティビティで紹介した。

IMG_5624  館内3カ所(Great Hall、Rivera Court、Student Lunch Room)が会場に充てられ、エントランスの目の前に広がるGreat Hallには各国のブースが設けられ、正午から4時間にわたって、お茶の試飲、茶道具を中心とする展示や実演などが提供された。

アラブのブースにはテントが張られ、市場の露店が出現したかのよう。テントの中ではドラムの演奏や、カップ・リーディングも行なわれ、エキゾチックな雰囲気に溢れていた。インドブースでは手工芸品や絵画そして庶民の服から婚礼衣装、さらにボリウッドダンスの衣装が展示され、会場に鮮やかな彩りを与えていた。中国ブースでは掛け軸や人形などの展示の他、このイベントのために台湾から訪米した専門家が本国から持参した中国茶を本格的な手法で淹れていた。給湯ポットでのジャスミン茶と緑豆のお菓子の提供も行なった。

IMG_0261 日本のブースでは豪華絢爛な打掛の着物が堂々たる存在感を放ち、茶器の他に風呂敷、そして書道具や書の作品が並んだ。これらの書道に関する品々はノバイ市在住の書家である藤井京子さんの所持品。着物姿の藤井さんによって、身の丈以上の書の実演が両日、数回ずつ行なわれた。着物を纏って筆を運ぶ姿を眺めるのは日本人にとっても希少な経験となった。本イベントのテーマに合わせて、お茶に関係のある歌や言葉を選んだとのこと。『和敬静寂』や『一期一会』など漢字と仮名、計9点を書き上げたが、書体は異なり、趣もそれぞれ。藤井さんは「同じものは決して無い。その場の雰囲気や気持ちによって、どのように配置するか筆を運ぶかをイメージする」と語る。「文化を紹介することで伝統が繋がっていく」と考えて当地で活動しているが、今回の実演では多くの見学者からの称賛が寄せられたそうで、「出来上がった書ではなく、目の前で創りだされる作品を見て喜んで頂けた」と嬉しそうに話した。藤井さんの作品や活動については、以下ホームページで。

https:kyoko-shodo.amebaownd.com

IMG_5621  煎茶の試飲と和菓子は大人気を博し、長蛇の列が絶えることがなかった。日本文化の紹介は、主催したFriends of Asian Art and Cultures(FAAC)のBoard memberでCo-Chair of Membershipを務める稲葉美恵子氏のアレンジにより、JSDウィメンズクラブ(以下‘JSD’略)が中心となって、在デトロイト日本国総領事館およびデトロイト日本商工会が協力して行われた。在デトロイト総領事館の領事夫人や職員も着物姿で給茶や説明にあたった。また、融通性に富んだ優れものとして再認識されている風呂敷の包み方や、茶席に欠かせない日本の伝統文化である生け花の展示もあり関心を集めていた。

日曜日にはDIAが誇る広間Rivera Courtで日本のステージが約1時間もたれ、ウィメンズクラブによる茶の湯実演と着物ファッションショーが催された。準備された椅子は開始よりかなり前に満席となり、立ち見の観客でぎゅう詰め状態。入場が制限されるほどの盛況を極めたが、茶の湯実演では、巨大壁画に囲まれたアート空間に落ち着いた雰囲気を生み出し、凛とした美しい立ち振る舞いや点前に惹きこまれたのであろう、観客席にも静寂が満ちた。総領事館の文化担当者アニータさんが、お点前に合わせた所作の意味の他、茶道具や掛け軸など日本文化やその根底にある価値観や美意識についても説明が添えられた。「おしゃべりを楽しむティーパーティーではなく、無言で湯の沸く音に耳を傾け、季節に合わせた掛け軸や花や茶道具を愛で、五感で楽しむのが茶の湯である」といった内容も随時伝えられた。

続いて日本の着物ファッションショー。普段着から留袖、七五三の振袖、さらには婚礼衣装として羽織袴と白無垢などが披露された。その姿を写そうと、たくさんのカメラやスマートフォンが出演者に向けられていた。

前日にはレバノンのラインダンスとベリーダンス、アラブの音楽演奏、中国の古箏の演奏が順次披露され、日本のステージの後にはインドの楽器で古典曲とフォーク、モダンなボリウッドのダンスが続き、賑やかな舞台となった。

階下のStudent Lunchroomでは、各国のハンズオンアクティビティによる紹介が休みなく続いた。日本のテーブルでは書道の体験を提供。書道では、手を添えたり丁寧に説明を加えたりするボランティアの人々と、真剣に筆を運ぶ老若男女の体験者たちの姿があった。

IMG_5616  中国も日本と同様に毛筆と墨を使ったハンズオンであったが、こちらは墨絵。墨の濃淡が作り出す玄妙な味わいに夢中になっている様子が見られた。

全般に各国らしさが盛り沢山かつバランスよく紹介されており、主催したFriends of Asian Art and Culturesメンバーの話し合いや準備が綿密に、そしてよく協調しながらなされたことが窺えた。

IMG_5639 日本の文化紹介を担ったウィメンズクラブ運営委員たちは数か月前から同イベントの準備にあたってきたとのこと。ウィメンズクラブは、ミシガン在住の女性たちが親睦を深める為だけではなく、地元コミュニティーに対して様々な形で日本を紹介し、日本への理解を深めてもらうべく地域交流活動を精力的に行なっている。ホームページ(http://www. jsdwomensclub.org)の中で、「インターネットが発達し、情報は人に頼らなくても無限に入手できるようになりました。しかし、同じインターネットのお陰で、私たち人間にとってとても大切な人と人との繋がりが希薄になっている事も事実です。地域交流は対外的な『人と人』の交流、同好会活動は私たち仲間同士『人と人』の交流です。ウィメンズクラブの基本理念である『人と人との交流の場』に、是非ご参加ください。」と入会を呼びかけている。また、会の活動に欠かせない運営委員を募っている。

Bitter|Sweet:Coffee, Tea & Chocolate 展における今回のイベントは、今秋、先行してオープンを予定している日本ギャラリーと、続く2018年に韓国、中国、インドも含めてのアジアギャラリーのオープンに向けて地域の人々の中でのアジアへの関心を拡げ、かつ新ギャラリーのコレクション充実とそれを支えるFAACの活動をアピールする為であると担当者は語っている。

Bitter|Sweet: Coffee, Tea & Chocolate 展は3 月5 日までの開催。D I A 入館料(Wayne, Oakland, Macomb住人は無料) とは別に特別展の入場料がかかる。詳細はhttp://www.dia.org/calendar/ eventで。同イベントに関連し、2月24日から26日までコラージュを作る無料クラス“Coffee, Tea & Chocolate Drop-In Workshop”も開かれる。

IMG_5759 DIAは「かつて富の象徴であった、その町が可能にした奇跡のコレクション」と言われるほど、古代エジプト美術から現代美術まで65,000点以上の作品を所蔵している全米屈指の美術館である。常設・特別展に加えて、生演奏、館内の由緒あるシアターでのフィルム上映、各種講演やワークショップなど、絶えず様々な企画を催している。要チェック!!

弊紙でも、特に日本ギャラリーのオープンに向けて、今後も情報を紹介していきたい。

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