喧喧諤諤 ケンケンガクガク
喧喧諤諤

明けましておめでとうございます。 本年も引き続き本紙および本欄をご愛読いただければ幸いです。

皆様、年末年始は如何お過ごしになられたでしょうか? 日本に一時帰国された方、その他の国・地域もしくは米国内を旅行された方、ご自宅 や近場でゆっくりされた方、はたまたお仕事をされていた方など各人各様だと思いま すが、酉年の新年を安全かつ健やかにお迎えになられた事を願います。 当地ミシガンはクリスマス当日に雪が降らず、その後も比較的暖かな日が続いてクリス マス前に積もった雪がほとんど溶け、池の氷も一部溶けて水面が顔を出した途端に アヒル達が何処からともなく飛んで来て戯れていました。彼らは一体どうやって氷が溶 けた池を探り出し、どんな方法とネットワークで仲間に伝えて一緒に飛来するのか? 自然の不思議さを思いながらしばし眺めていました。 昨年はプリンス、デヴィッド・ボウイ他有名歌手・エンタテイナーやムハメッド・アリ、アー ノルド・パーマー、ゴールディー・ハウ他スポーツ界のリジェンドの訃報が相次ぎました が、年末にも映画スター・ウォーズ・シリーズのレイア姫役で有名だったキャリー・フィッ シャーとその母親でハリウッドの古き良き時代から長年活躍していた大女優のデビー・ レイノルズが相前後して亡くなられたニュースがありました。キャリーが若かった頃は 大女優の母を毛嫌いして遠ざかり、一時冷えた母娘関係だったようですが、キャリー 自身も色々な苦難や障害を経験し、乗り越えたり受け入れたり、世間に公表しながら 成長した後は和解・復縁して仲の良い素敵な母娘関係だった様子でしたので、その 娘に先立たれたショックは他人には計り知れない程大きく、まるで後を追うように他界 されたようです。心よりお二人のご冥福をお祈りします。(合掌)

さて、今月のテーマは『新年酉年の米国事情と展望』です。

暗いニュースが多い昨今ですが、少し明るいニュースとしてはサンクスギビングから クリスマス前の昨年末ホリデー商戦は久し振りに盛況で、新大統領就任式を10日余り に控えて昨年末2万ドルにワンタッチした株価は金利上げ後も高値圏で推移。顕著な 住宅価格の上昇、住宅市場の回復、多数の州・都市で最低賃金引き上げを実施済み もしくは実施予定で、経済面では例年より活気があります。

一方政治面では、内外共に相変わらず不安な要素があります。特に大統領選前から 程度の差こそあれ時々ニュースにも取り上げられていたロシアの対米国政府機関、 政党(実害が公表されているのは民主党)・政治グループに対するハッキング行為が 退任間近のオバマ政権から名前・写真付きで正式に公表され、ハッキング被害の報復 として前例のない規模で在米ロシア政府関係者の国外退去および活動拠点2箇所の 閉鎖命令が出されました。ロシア側は非を認めず逆にオバマ政権を非難し、具体的な 内容は明言していないものの在ロシア米国政府関係者の退去命令を含む逆報復行為 に出る可能性が大です。

これまでロシアおよびプーチン大統領に対して比較的穏やかな発言と態度を見せて 来たトランプ次期大統領が正式に新大統領就任・新政権発足後どう動くか(上記の退 去命令他の取り消しも有り得るので、ロシア側もすぐに逆報復に出ずにしばらく様子 見か?)、核兵器や衛星兵器を含む軍拡再開の兆しもあり新たな東西冷戦の始まりと なるか?また、直近の国連決議で即時停止を求められたイスラエルのパレスチナ・ウ ェスト・バンク地区への入植拡大行為を強行継続する動きや米国との関係劣化、イス ラエル、パレスチナ紛争が常に緊張をもたらす中東和平問題、シリア国内紛争・難民 問題、内外で頻発するISIS指示・誘導による直接・間接のテロ行為、中国の南シナ海 進出構想絡みの東アジア安全保障と米中関係、銃乱射・襲撃事件や移民問題、人 種・性的指向による差別問題、暴動化する各種抗議デモなど政治・社会的不安は枚挙 に暇がありません。

荒波の海に漕ぎ出すトランプ新大統領と新政権の船出はそれに続くチャレンジに満ち た波乱万丈の航海が待ち受けているものと思われますが、キャンペーン中から常に 強気な言動を繰り返して来たトランプ新大統領が言行一致の政策立案・実施により 従来支持者層だけでなく不支持層・反対グループをも説得して国民の大多数を取り込 めるか否か?ハードルはかなり高いですが、米国の最高指導者として第33代大統領 ハリー・トルーマンのデスクに置かれていたサイン“Buck stops here.”の精神で 仮に一つ、二つの政策が失敗しても他人に責任をなすり付ける事無く、自分自身の 責任として必要ならば考え直し、やり直してでも国民を納得・満足させられる実効ある 政策を有言実行で完遂して欲しいものです。

では、今回はト リ あえずこの位にして筆を置きます。末尾になりますが、本年が皆様 にとって健康で実り多き一年でありますようにお祈り申し上げます。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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