デトロイトりんご会補習校 現地校教育関係者向け オープン・ハウス 1

img_5552デトロイトりんご会補習授業校の恒例行事であるオープンハウスが、10月22日(土)に開催された。このオープンハウスは、児童生徒が平日に通う現地のアメリカの学校の教職員や教育委員など教育関係者を招待して行われ、授業参観及び交流と、日本文化紹介を通じ日本の児童生徒への理解と関心を高めてもらい、ひいては現地校での彼らへの指導に役立つ情報を提供することを目的としている。先生方は現地校での行事も多い多忙な時期にもかかわらず、昨年を上回る100名近い参加者が訪れた。

img_5555参加者は受付で校内地図などの参考資料を受け取った後、2校時目にあたる授業を自由に参観した。現地校の学級担任やESL(ELL)の先生方は、担当の子ども達が所属する学級を探して訪れ、学習する姿や掲示物に温かいまなざしを向けていた。授業内容や教材について同校父母会の案内担当者に熱心に質問する参加者も多く見られ、日本の指導法への関心の高さも窺えた。いくつもの教室を回っている人も少なくなかった。

img_5593このオープンハウスを毎年のように訪れているというESL教師は、既に日本の学校や文化についてかなりの知識を得ているが、児童生徒との絆を強くする絶好の機会と認識しているとのこと。今回が初参加という低学年の担任教師は「アメージング!」と発し、オープンハウスのオーガナイズの良さを称賛、また、「行儀よく座っていて感心」「指示や周囲の言葉が分からない気持ちが察せられた」と感想を寄せた。幼稚園部では一緒に作業する訪問者も多く、園児から「嬉しい」との声がにこにこ顔とともに聞かれた。「自分が何者であるかというアイデンティティーを日本語学校で培っていると思う。とても貴重な場だと思う」と同校存在の意義を語る教師もいた。

img_5592参観後には全大会が行われ、まず、宮本正彦校長による歓迎の辞と感謝の言葉や、同校の学習内容の概略説明がなされた。「友人と会うことを楽しみにしている子もいる一方で、苦労している家族もいる。現地校の教育関係者と手を携えて子どもたちの輝かしい将来を守りたい」といった旨などが英語で伝えられた。

その後、この夏、当周辺地区よりETJ (Educators To Japan:現地校教育関係者日本派遣プログラム)で日本を2週間訪問し研修してきた米国人教育関係者からの報告プレゼンテーションが行われた。在デトロイト総領事ご夫妻も来賓として参加し、興味深く報告に耳を傾けていた。

img_5569報告に先立ち、JBSD(デトロイト日本商工会)のETJ担当者より同プログラムの経緯や概要について説明がなされた。同プログラムは駐在員子弟を受け入れている現地校の先生方への感謝と日本文化理解を図る目的で1975年にロサンゼルスで始まり、以後、参加地域が増加。デトロイト地区では1992年に当地から3名を送り出して以来、JBSDがスポンサーとなって継続してきており、ほぼ毎年数人の参加者を送り出している。今年度は5名の参加者が世界各地からの参加者共に、ホームステイ及び学校や多数の文化施設を見学する機会を得た。

img_5572この日は、うち4名が報告にたち、視察やホームステイでの具体的なエピソード、日本の美しさ、見学した学校と当地との違いなどを、異文化の中に放り込まれた新鮮な驚きを交えつつ紹介し、いかに充実した日々であったかが伝えられた。例えば「寿司がどこにでもあると思っていたが回転ずしをやっと見つけた」など、メディアを通して知り得ていた内容とは異なることもあったと話し、実体験の大切さを述べた。「思いもよらない大歓迎を受けた」と表したほど、各訪問先で温かい歓迎を受け、参加者の誰もが好印象を得て帰還しており、賛美と感動の言葉に溢れた報告であった。地下鉄の路線図が難しく困ったが誰かしら助けてくれたとエピソードを話しつつ、写真入りのメニュー自動販売機が大いに救いであったことを例に、(当地の)学校内に図や写真を取り入れる工夫が役立つであろうとの提言も添えられた。学校環境について、日本では教室内のテクノロジーがもっと進んでいるかと思っていたが、教材の提示に利用されているのみで、あとは黒板とチョークで授業が進められていることに触れ、意外であったと同時に、テクノロジーの必要性に疑問を持ち、リレーションシップの大切さについて考えさせられたとのコメントもあった。

質疑応答では、「ここで自分たち教師にできる手助けは何か」との問いかけに対し、「きずなをしっかりすること」「大切な教え子であり、クラスの一員であるということ、そして、心配しているということを伝えることが大切」との応答。日本語で挨拶することなど、具体的な案も挙げた。参加者誰もがこの体験を生かしてより良い指導をしてゆきたいとの抱負を語った。

img_5559閉会にあたり、同校理事長を務める中條喜之氏より、来訪者への感謝と「ETJ参加者が素晴らしい経験が出来たと聞け嬉しい」との言葉、そして現地校と補習校、両方が子どもたちにとって居心地の良いところでありたいと願いが伝えられた。

全体会場となった体育館には同校の活動や日本文化を紹介する多くの品々が展示され現地の先生方も高い関心を寄せて観ていた。ETJ参加者だけでなく、報告の傍聴者全体へも、日本の学校や文化への理解がより深まり、今後の児童生徒指導及び相互理解の関係と絆が、実り豊かに進展してゆくことであろう。