
MilfordはKensington Metro Parkの北に位置する町。I-96とM59のいずれのハイウエイからも訪れることができることから、ハイウェイ近辺からだけではなくAnn ArborやDearbornからも足を伸ばす人も多いという。町の面積は約6平方キロメートルと小さいが、Kensington Metro Park をはじめ6つの大きな公園に隣接し、清閑な魅力を残している。
Huron Riverがこの町を横切る。1879年にエジソンが白熱電灯を実用化させるが、1892年にはMilfordでは電灯が灯っている。日本での最初の電灯は1878年なので、いかにMilfordでは水力をいかし早い時期に電力を得ていたかがわかる。さらに自動車王のHenry Fordはこの豊富な水量を生かすため水力発電所をMilfordに作った。工場で働きつつ農業に従事する労働者のために作ったという。訪れた日はちょうどブリューワリーの正面にあるCentral ParkでコミュニティーのBBQパーティーが開かれていて、家族連れがたくさん見えた。湖のほうを見ると、豊かな水量と静かさのもと日没を迎えようとしていた。
River’s Edge Brewing Companyは2014年にこの地域出身の3つの家族が協力して作った、コミュニティーに根ざしたブリューワリー。「縁があってこの場所にブリューレストランをオープンできてよかったよ。もちろん自慢は窓からのHuron Riverの景色」と、オーナーの一人のRyanは言う。店から公園や池が見える側は大きな窓を配している。1950年代には電気会社だったこの建物はインダストリアル・スタイルだが、天井は建材がむき出しではない。黒のパネルで雑音を吸収するシステムを採用している。なるほど、天井の高い割には音が響いていない、と感じた。
ブリュー・パーソンのKimは、この業界に20年も従事している。Big Buck, Dragonmeadといえばビールのおいしさでは有名なブリューワリー。そこで修業し、これもまた有名なBastoneでブリューマスターになった。Belgianスタイルが得意だ。
一方、River’s Edge B.C.では常に2つほどのCask Conditionのビールも出している。共同オーナーのMikeがイギリス系だからだ。Cask Conditionとは、自然に炭酸化させたビールのことで、貯蔵庫の温度のままお客さんに出される。キンキンに冷えたビールに慣れている人には、ちょっと眠いような口当たりだが、伝統的なこの味を好む人もいる。
キッチンに目を向けると、サンドイッチやソーセージが主体。Bratwurstソーセージをホットドックのパンにはさんだものを注文した。あっさりしておいしく、一緒にはさんであるコールスローのスパイスがよく引き立っている。また、ミシガンの地図が印刷されているGreat Lakes Potato Chip Co.のポテトチップの味もよかった。食事全体の量も手ごろで、油がごってり使われていないナチュラルな味が、日本人にはいいだろう。
家族むけにボードゲームなども置いてあり、開放感あるホールを食事だけでなく飽きることなく楽しめる。ブリューワリーはアートセンターにもつながっているので、覗いてみることも可能。
River’s Edge Brewing Company
125 S Main St #400, Milford, MI 48381
http://riversedgebrew.com/
Tel: (248) 685-1625