今年も既に半ばが過ぎ、後半に入りました。学校の夏休みと独立記念日の連休を使ってご家族や友達連れで旅行に出掛けられた方もいらっしゃると思います。今年のミシガンは例年より気温の振れ幅が大きく、急に暑い日が続いたり、突然寒い日が襲ったりで、毎日天気予報を確認してこまめに着る物をやりくりせねばなりませんでしたが、7月は安定した夏らしい気候に収まるといいです。暑さが苦手な方にはお気の毒ですが、一般的には夏は夏らしく暑い方が良さそうです。

スポーツでは、先月末PK戦の激闘の末にチリの連覇で幕を閉じたサッカーの北中南米大会コパアメリカに続いて欧州大会ユーロ2016が予選グループステージを終えて目下決勝トーナメント進行中。開催国フランス代表は逆転勝ちでベストエイト進出を決め、組合せの綾で準決勝進出の可能性も出て来ました。初出場で堂々決勝トーナメントに進出したウェールズ代表の今後の戦い振りや優勝経験のあるドイツ、スペイン、イタリアの強豪国同士の対戦が大いに楽しみです。プロ野球では、日本のパリーグでソフトバンク・ホークスの独走は容易に予想出来ましたが、セリーグで広島東洋カープがセパ交流戦を境に先月一気に抜け出して独走状態になって来ました。昨年MLBから復帰した黒田投手と今年逆にMLBに移籍した前田投手の両輪を抱えて優勝が期待されながら叶わなかった夢が今年は実現するかもしれません。MLBではイチロー選手が日米合算でプロ野球通算安打数世界一を達成!!メジャー記録を破られたピート・ローズ選手が過去の栄光にしがみ付き、前々からケチをつけたり、負け惜しみたっぷりなコメントを述べていますが、度量が小さいというか負けっぷりが悪いというか人格者でないことは明白です。地元デトロイト・タイガースは勝率5割レベルを行ったり来たりで今一つ波に乗れません。打線がガンガンとホームランや得点を量産したかと思えば、音なしで完封されたり、得点以上に先発・中継ぎ投手陣がポカスカ打ち込まれて敗戦とか、強いのか弱いのか良く分かりません。歴代監督の考えや性格もあってか、昔から良く言えば豪快・豪放磊落な、悪く言えば大雑把な攻撃で、「ここで必ず1点を取る」、「1点差で勝つ」というような緻密な野球が出来ません。日本の高校野球ならお馴染みの四球に盗塁や犠打を交えてノーヒットで点を取る形がほとんどなく、そこがプレイオフに出て勝ち進みワールドチャンピオンになるチームとの小さくて大きな差だと思います。テニスは芝のウィンブルドン大会が始まりました。前哨戦で左脇腹を痛めた日本のエース錦織選手の体調が気掛かりですが、他の男女選手を含めて日本選手にエールを送りましょう。

さて、今回のテーマは『深まる混迷と不透明感』です。

皆さんご存知の如く、先月中旬ディズニーワールドのあるフロリダ州オーランドのナイトクラブでまたまた悲惨な銃乱射事件がありました。犯人はISISに傾倒する米国生まれの男性で単独犯による銃乱射事件としては米国史上最悪の49人もの尊い命が奪われました。それ以前に犯人が2度もFBIのテロ監視網に引っ掛かりインタビューされていたにも拘わらず、未然に防止出来ずにこの惨事に至ってしまったのは誠に残念です。事件の直後から近隣の病院に収容された怪我人の緊急輸血に必要な献血ボランティアに凄い人数の人達が押し寄せたという心温まるニュースの一方で、銃規制強化を懸念した人達が駆け込みで銃の購入に走り、売り上げが急増したという嬉しくないニュースもありました。同様の現象は銃乱射事件が起こる度に見られるものですが、「総論賛成、各論反対」のような感じで「他の人が銃を持つのは反対だけど、自分が持つ権利は確保したい」という米国での銃規制に関する典型的な相反する2面性を示しています。6月の最終週末直前には米国議会下院で少数派の民主党議員有志が議会が夏休みに入る前に銃規制強化の最新法案を是が非でも即刻通過させるべきと主張して、議会史上前例のない座り込みをして頑張りましたが、先に上院で否決されていた法案は結局採決されず徒労に終わりました。同じ様な悲劇が何度も繰り返され、その度に「二度と繰り返してはならない。直ちに銃規制を強化しなければならない」というコメントが大統領初め州知事、市長、警察関係者から聞かれますが、人種問題と同様に米国における銃規制問題の難しさ、複雑さ、根の深さを改めて感じます。

別の政治面においては、米国次期大統領予備選は共和党はトランプ候補、民主党はクリントン候補が党指名に必要な代議員数を既に確保した結果、実質的に両候補の予備選勝利が確定し、それぞれ今月7月18日~同21日にオハイオ州クリーブランドおよび7月25日~同28日ペンシルバニア州フィラデルフィアで開催予定の党指名大会で正式指名を待つのみとなって来ました。

但し、共和党内では依然として反トランプ勢力の保守派グループが党大会での指名阻止を目指して活動を続けており、党大会開催予定地のオハイオ州クリーブランドでは先月からトランプ候補支持派と反対派グループ間に不穏な動きがあり、党関係者の中には党内の協調・統一合意が得られず同大会が大混乱に陥るのではないかと危惧する人もおり、現地の市警責任者も警察官やセキュリティー関係者の人数、事前トレーニングが十分に出来ない恐れがあると注意喚起、支援要請の発言をしていることもあり、11月本選での共和党支持確保と大統領選勝利に向けて少なからず不安があります。

民主党もサンダース候補が予備選活動の打ち切り・撤退を未だに明言せず、クリントン候補の正式承認・支援も宣言していないため党内結束が遅々として進まず、クリントン候補の国務長官時代のメール・スキャンダル問題も絡んで有権者間の信頼度が揺らいでいる中、サンダース候補支持層が彼が党指名を受けられない場合には共和党のトランプ候補支持に鞍替えする恐れも指摘されており、こちらも予断を許しません。

また、去る2月に発生した最高裁判事で最も保守的であったスカリア判事の急逝による欠員補充も大統領選挙絡みで大統領による候補者指名、議会による審議インタビュー・承認のプロセスも一向に進んでおらず、米国司法の最高審議決定機関である最高裁が今現在保守派、改革派の判事が同数のため連邦レベルの最重要審議事項が悉く結論が出ないまま保留となり、誰も何も判断・結審出来ない機能不全に陥っております。本来憲法で三権分立が保証されている司法・行政・立法の内司法の独立性が2大政党の政治的駆け引きの影響を大きく受けて危うくなっている状態です。最高裁の判断を仰ぎ、結審待ちの当事者達も白黒の最終決定が出ないまま暫定的な条件付対応処理で日々を過ごす形となり、逆目が出た場合の実害と混乱を考えると混迷と先行きの不透明感は深まるばかりです。

更に、先月23日にはBREXITとニックネームされた英国のEU離脱可否を問う国民投票が実施され、かつて世界を席巻した大英帝国の栄光を忘れられない懐古派の高齢世代が中心となって英国のEU離脱が正式決定し、国民を説得出来なかった責任と先行きを悲観したキャメロン首相が即刻退陣表明したのを皮切りに直後の為替市場で英国ポンドの急落、米国株式市場でダウ・ジョーンズ工業銘柄平均株価が一日で600ドル以上大幅急落するなど、政治・経済・社会面などでEU圏のみならず世界規模の激震と負の連鎖が走る兆しがあります。英国連邦内でも先に国民投票で英国からの独立可否を問うたスコットランドや南北統一を目指す北アイルランドが再度英国からの独立、EUへの個別加入を目指す動きも再燃し、現在の英国連邦の崩壊が現実化する可能性もあり、今後の動向に注視する必要があります。テロ対策、移民・人種差別問題、経済回復刺激策などを含め、こちらも混迷と不透明感に覆われ、一般大衆はトンネルの出口や暗闇の明かりが見えない状態で不安を抱えていますが、米国も英国も有能で良識ある(これが肝要です)次期国家主導者が強力なリーダーシップを発揮して、一日でも早く混迷を抜け出し、先行きの不安を排除して不透明感を拭えるようにタイムリーで有効な施策を取って欲しいと願うばかりです。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。