早春から一気に夏のような暑さに見舞われたミシガンのメモリアルデー週末も過ぎて6月となりました。スプリンクラーや家の外回りの水栓を開けて芝生の水撒きや花壇、鉢植えに水遣りする光景を見掛ける機会も増えて芝生も緑の絨毯に変わり、ゴルフ好きの方々には待ちに待ったシーズン到来。好きを通り越してキの字のつく方(ゴルフキチガイ=今では差別用語?)はミシガンでも2~3ヶ月前に密かにシーズンインしているかもしれません。私が趣味としているテニスもインドアからアウトドアのコートに移りました。ミシガンのアウトドアテニスは気候的に日本の高原テニスのような感じでとても気持ちがいいです。皆さんも花粉アレルギーがなければ、屋外での活動を十分お楽しみ下さい。

政治面では大統領予備選がいよいよ最終盤を向かえ、果たしてどういう結末となるか?また、今月23日には英国のEU離脱可否を問う国民投票実施予定。英国離脱でEU圏のみならず政治・経済両面で政界規模の激震が走るか、あるいは先のEU改革案を受けて残留となるか?予断を許しません。

スポーツの世界では英国サッカープレミアリーグでレスターシティが遂に奇跡の初優勝!移籍加入一年目でこの快挙を手にした日本代表の岡崎選手他チームのメンバー、スタッフ、ファンの皆さん、心からおめでとうございます!!また、米国バスケットボールNBAとアイスホッケーNHLのプレイオフがそれぞれ決勝を残すのみとなり、地元チームが含まれていないのは残念ですが、最高レベルの好試合となることを期待しましょう。プロ野球MLBでは右肘じん帯の再建手術から回復したテキサス・レンジャーズのダルビッシュ投手が先月最終週末に満を持して前回から約1年10ヶ月ぶりとなる今シーズン初登板、見事初勝利を飾りました。通算安打数の記録が掛るイチロー選手や他の日本人選手達と一緒にまだまだ長い残りのシーズンを怪我なく無事に乗り切って欲しいです。プロテニスではメジャー大会の一つであるフレンチオープンが現在進行中。日本人選手で勝ち残っているのは錦織選手だけになってしまいましたが、今年は是非決勝まで駒を進め、男子テニスで不動のナンバーワンに居座るジョコビッチ選手を見事打ち負かして欲しいものです。

さて、今回のテーマは『自信と過信の境目』です。

皆さんも日頃「自信は無いより有った方がいい」と感じていらっしゃると思います。自信が無いと自分も回りも元気が出ず、何事も上手く行かなかったり、肝心な場面で失敗したりします。「自信を持て」と言われても経験や実績がないと「はい、そうします」と簡単には行きません。にわとりと卵の関係かもしれませんが、小さな事、簡単な事から始めて、失敗もしながら経験・実績を積んで、成功体験を重ねると自信がつき、逆に自信がつくと次も上手く行き、もう少し大きな事、難しい事、複雑な事にもチャレンジする気持ちになり、どんどん成長して行けます。程良い自信はプラスの効果をもたらします。上述のレスターシティーはその好例かもしれません。

では、自信が度を過ぎて自信過剰や過信になったらどうでしょう?自信と過信の境目はどの辺りでしょうか?

人材紹介をビジネスの一つとしている私個人の経験ですが、クライアント(お客様)となる雇用者側企業と被雇用者側の候補者それぞれに見られたケースをご紹介します。

雇用者側のケースは、かなり規模が大きく知名度も高い企業や近年成長著しく業績も好調な企業です。そのような企業が自信とプライドを持って求人採用に臨むのは極自然とも言えますが、それらの企業の求人案件に直接・間接的に応募した複数の候補者の方から「候補者の扱いが悪い」とか「応募に対する対応が悪い」という評判を耳にすることがあります。

最近特に多いのが「応募しても返事がない」、「面接してもらえるのか否か連絡がない」、「面接してもその結果の連絡、フィードバックがない」など候補者とのコミュニケーション不足です。これは特定の企業や少数の候補者に限った事ではなく、かなり全般的かつ多数の企業や候補者に関して聞く機会が増えています。

企業側にも事情があり、人事部自体が業務過多にも拘わらず人員削減などで人手・工数不足、求人採用以外の人事・労務関連業務も含めて優先事項から処理すると有力候補者への連絡・対応だけで手一杯、他の候補者全員までとても手が回らない、等々。必ずしも担当窓口である人事だけの責任でなく、その上司、管理責任者、引いては経営責任者の運営管理責任かもしれませんが、候補者側から見れば「あの会社は扱い、対応が悪い」とダメ出しされ、優秀・有能な候補者から見放される恐れがあります。候補者同士のネットワークもありますので、直接・間接に会社の悪い評判が広まると、実績・実力のある製品・技術力がありながら長年苦労して築き上げた信用、ブランドの評判を知らない内に落とすことになりかねません。昨今良く聞かれる製品・技術・サービス以外の要素を含めた企業全体のブランディングを疎かにしてはいけません。

厳しい事を言うようですが、「企業は人なり」と言う割には存外人を大事にしていないのではないでしょうか?これは新規採用だけでなく、今現在既に勤務している社員も含めての人の扱いです。忙しさにかまけて、今いる社員(特に人事担当者)の扱いが悪ければ、新たに入って来る人達の扱いが良くなるとは思えません。現社員も自分達が良くしてもらっていなければ、後から入って来るかもしれない候補者の扱いもぞんざいになり得ます。大企業、有名企業であることを鼻に掛けて、「我社なら候補者は掃いて捨てる程応募して来る」と過信したり、「雇ってやる」という態度では決して上手く行きません。企業としての微妙な『自信と過信の境目』があります。

逆に候補者側も少し経験・知識・能力があるからと「働いてやる」と高慢な態度で応募する人は自分自身の利益、昇給・昇進だけを考え追求しがちで、採用しても長く継続勤務して貢献してもらえる人材と思ってもらえず、最終段階までに不採用となるケースが多くなります。また、仮に採用・入社となっても職場や取引先との関係で不協和音を発し、人間関係が上手く行かず、長続き出来ずに退社の羽目となりがちです。

往々にして米国人の候補者には自信過剰気味な人が結構います。「自信と過信は紙一重。似て非なるもの」と説明し、決して過信にならないように注意して面接に望む準備と心構えをさせますが、日本人の候補者の方で実力と実績がありながら、控えめで遠慮がちな方には事例、実績に基づいた自己PRを遠慮せずしっかりする事と面接時の質疑応答のリハーサルをしたり、留意事項をコーチングしたりして、自信を持って面接に望むようにアドバイスしております。日本人の候補者にもサッカー日本代表の本田選手のようなビッグマウス(大口叩き)でやや自信過剰気味の方もいますが、自信過剰は時と場合によっては自己鼓舞やステップアップ、レベルアップのための動機付けとなり、成長・成功に繋がる利点もありますので、一概にNGと言う訳にも行きません。自信過剰が過信となってマイナス面が目立つようではNG。これも自信と過信の微妙な境目ですね。

企業側も候補者側も、過信は思い上がり、自惚れ、傲慢さとなり、油断・怠慢・手抜きを招き、結果としてミス、自滅に繋がります。

何事も『自信と過信の境目』を意識して臨みましょう!!

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。