KDDI America主催 ITセミナー レポート

05_KDDI_DSC_0019文&写真:KDDI America

4月14日に、Livonia市の Hyatt Place LivoniaでKDDIデトロイト支店主催の、通信とITのセミナーが開催されました。“自動車業界向けITセミナー”というタイトルで、「コネクティッドカーの脅威やそれに対する車載セキュリティ」や「どこでも繋がる技術M2M・IoT」といった、自動車業界に関連する通信やITに関する話題が提供されました。パートナー企業のカルソフトシステムズからは、専門とするERPに関する導入事例とトレンド、グローバルビジョンテクノロジーからは、最新のインターネットベースPDM(Product Data Management)・PDL(Product Lifecycle Management)管理システムに関するトピックが紹介されました。KDDIデトロイト支店としては始めてのセミナー開催の試みということでしたが、会場となったホテルの会議室には多くの参加者が集まりました。

「コネクティッドカーの脅威や、それに対する車載セキュリティ」by KDDI研究所 窪田歩氏

最近注目度が高まっているコネクテッドカーに関しては、KDDI研究所(最新の通信技術を研究・開発する機関)からセキュリティを専門とする窪田歩氏が日本からスカイプを通じ、次の3つのテーマに沿ってセキュリティ対策やKDDI研究所の技術について紹介しました。①何故KDDI研究所が自動車セキュリティに取り組んでいるのか ②クルマのハッキング事例分析 ③KDDI研究所の車載システムセキュリティ技術。③の車載システムセキュリティ技術では、制御系のセキュリティ対策に焦点を当て、要素技術面での研究試作の紹介のほか、セキュリティ対策技術の要である鍵管理方式の例示やMaster Secret漏洩時の対応について説明されました。

「製造業向け、最新ERPの機能と導入事例」by Calsoft Systems 広部誠氏

ソフトウェアの専門会社Calsoft System社の広部誠氏より「製造業企業様向け 最新ERP

(Enterprise Resorce Planning)の機能と導入事例のご紹介」と題して、Calsoft社が提供するMicrosoft社の基幹業務システム“Microsoft Dynamics AX”の紹介が行われました。ERPは一般的には「システムの標準機能に業務を合わせていく」という発想のシステムですが、Calsoft社は、製造業にERPをうまく適応させるには、生産管理標準機能、オープン性、操作性、情報可視性などを企業ごとにしっかり何が必要であるかを吟味し、カスタマイズも含めて提案することが鍵と考えています。講師を務めた広部氏は日本・米国で製造業へのERPシステム導入を10年以上経験があり、現在製造業で課題とされている、システム同士の連携(会計、生産、販売など)や情報のリアルタイム化(いつ入荷した材料が今どの生産工程にあるのか可視化できる、等)の必要性を説明されました。

「最新のオンラインPDM/PLMシステム」by Global Vision Technology Scott A. Pokriefka氏

同じく今回の協賛企業であるGlobal Vision Technology社は、CAD大手Dassault Systems社のScott A. Pokriefka氏を招き、Dassault社が提供するオンライン設計管理システム

“3D EXPERIENCE for the Enterprise / Collaborating with CATIA V5”を紹介しました。設計した製品をオンラインで管理することで、エンジニアやセールスが世界のどこにいても、どの端末からデータにアクセスしてもリアルタイムの情報がわかるようになります。客先から要求された仕様の変更に対しても、素早く対応できるため、よりスピーディーに他社との競争に臨めるようになることがメリットです。Pokriefka氏はデモ映像にカーシートのデザインを例に説明しました。唯一の英語でのプレゼンテーションではありましたが、ゆっくりとしたペースで平易な表現を使い、日本人参加者にも理解しやすかったようでした。

「IoT/M2Mの取り組みと将来展望」by KDDI America 山口明彦氏

人と人がインターネットでつながるようになって久しいですが、最近では物と物がつながる”IoT/M2M”というマーケットが著しく成長しています。KDDI日本でもIoT/M2M技術を駆使した商材が開発・販売され、電力業界、トラック、産業機器の分野でも応用されています。物との通信を行うことによって、遠隔から情報解析することが出来ます。例えば家庭用水道メーターであれば、いつどれだけの水が使われているかを家庭別にデータ化され、どうすれば無駄が省けるようになるかを解析することが出来るようになります。KDDIではミサワホームグループと共同開発した、GAINET(被災度判定系)というシステムがあり、家屋が地震によりどれだけのダメージを受けたのかを瞬時に把握し、建物と地盤の状態から避難すべき常態かを知らせることが出来るシステムです。様々な分野に応用されているM2M技術ですが、日本国内での需要は横ばいなのに対し、海外では10年間で4倍(2010年―2020年比較予測)に成長する市場と目されています。

「セキュリティと運用」by KDDI America 森政志氏

最後にKDDIのセキュリティを専門とする森政志氏から、「デトロイトに住んでいるといっても、皆さんは危険とされている地域を事前情報により避け、安全な郊外の町を選んで住んでいる。サイバーセキュリティへの意識は、実際に私たちの暮らしのセキュリティ意識と変らない、変るべきではない」というユニークな切り口で、企業レベルでのサーバーセキュリティへの意識改革を促しました。よくどのようにセキュリティを強化するのが適切かわからない、十分な運用体制をとっているかわからない、といった相談をよく受けるそうで、下記のようなセルフチェック項目を提案しています。

<簡単チェック> セキュリティ運用、きちんとできていますか?

・アカウント管理

→不要なアカウントの削除ができているか?(退職者アカウント、不要アカウント)

・パッチ管理

→セキュリティパッチ(OS, MS Office, Adobe, Java 等)は最新のものが

適用されているか?

・ウイルス対策

→ウイルス定義ファイルは最新のものが利用されているか?

・外部記憶媒体の管理

→USBメモリは本当に使えないか?

・未許可端末の制御

→社外からの持ち込みPCが社内NWに繋げないか、利用できないか?

即答できなければ・・・

運用はできていない可能性

証明できなければ・・・

対策に不備がある可能性 ※棚卸し記録、作業ログ、管理ツールの利用等


 

KDDIアメリカデトロイトオフィスは、中西部における数少ない日系ICT(Information & Communication Technology)技術サービスのプロバイダーで、米国、カナダ、メキシコでIT通信インフラ構築や、EDI、ERP、データセンターなど各種ITサービスを提供しています。今後もデトロイト地域を中心に、これまで培った通信・ITに関わる様々な情報を提供する機会を模索していく予定です。

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