プラヤ・デル・カルメンはリビエラ・マヤ地域の中心街にあたるが、リビエラ・マヤの郊外(カンクンとの中間)には、広大な敷地とゆとりのある贅沢な施設を誇るリゾートがいくつもある。公道に面したゲートからビーチまで数キロ四方が敷地というリゾートもある。
ヴィラと呼ばれる一戸建ての別荘風な宿泊施設のところもある。オールインクルーシブのリゾートがほとんどで、レストランやバー数件、スパやフィットネス設備があり、さらに、料理やエクササイズのクラス、ライブパフォーマンスなど充実したプログラムを提供しているところが多い。敷地から一歩も出ずに過ごす滞在者も少なくない。反面、遺跡巡りなどの観光や街の散策に出るにはやや不便ではある。
もう一つ、ファンの話題になり、人を引き寄せているのが、世界中で人気を博している「シルク・デュ・ソレイユ」の常設公演がリビエラ・マヤに誕生したこと。シルク・デュ・ソレイユは、大道芸やサーカス、ダンス、様々なジャンルの音楽が要素のエンターテイメント集団で、ツアー興業の他、ラスベガスを始め、世界に常設公演が10以上あるが、リビエラ・マヤのものは、ディナーショー形式での鑑賞が特徴。テーブル席でコースディナー、あるいは、クラブ風(?)な観客席でシャンパンを味わいながらショーを楽しめる趣向になっている。舞台装飾、演目もユニークで、高評価を得ている。
プラヤ・デル・カルメンは、メキシコのユカタン半島の、カンクンから65キロほど(車で1時間ほど)南に位置するカリブ海に面した街。かつては小さな漁村だったが、コスメル島(Cozmel)とのフェリーサービスが始まり、観光業が栄え、ここ数年は趣向を凝らした宿泊施設が増えたこともあり、通過地としてではなく、この街自体を目指す旅行者が急増。特に欧米の人々や若者に人気の観光地になっている。魅力は、近代的な高層ホテルが並ぶカンクンとは趣が異なり、メキシコらしいテラコッタ壁の建物や北欧の影響を受けた家屋が混在している「ローカルっぽさ」が挙げられる。
カンクンからのツアーでポピュラーなチチェン・イツァ遺跡へのツアーは、数やチョイスは少ないが、プラヤ・デル・カルメン発もある。シカレ海洋公園は街から数マイル。海を臨むトゥルム遺跡も、カンクンからより近く、ゆとりをもって過ごせる。周辺観光の拠点でもある。
フェリー発着所から続く目抜き通りには、アメリカでよく見るブランド店やチェーン店も含めて、小奇麗でお洒落なショップやレストランが軒を連ねている。南国風な雰囲気を醸し出している開放的なレストランやバーに立ち寄ったり、地産の民芸品、石や貝で作られたジュエリーを売るお店を巡ったり、散策を楽しむのにもってこい。マッサージ屋も何件かあり、ホテルのスパのような豪華さは無い代わり、お安め。ホテルやビーチでのんびりし続けるのが苦手な人にお勧めのエリアと言える。カンクンからバスなどで日帰り往復も十分可能だが、夕暮れから夜の雰囲気に趣があるので、滞在をお勧めしたい。
安宿から、ビーチに面したオールインクルーシブ(飲食など込み)の高級リゾートまで、ピンからキリまであるのもこの街の特徴。目抜き通り近くには夜更けまで大音響を放っているクラブやビヤガーデンもあるので、静寂を望む方は、その辺りの宿は避けた方が無難。
街から10キロほどのところに、名高いゴルフ場エル・カマレオン(El Camaleón)がある。グレッグ・ノーマン設計で、PGAツアーも開かれる。メキシコによく見られる地下洞窟(セノーテ)のバンカーもあり、熱帯林、マングローブ群生地帯、海岸など自然を生かした美しいコースが人気。
沖合のコスメル島
コスメル島とプラヤ・デル・カルメンはフェリーで45分で行き来ができる。早朝から夜まで1~2時間おきに運航している。コスメルの海は透明度が30~60mという世界屈指のレベル。そのクリアブルーは世界一美しい海とも言われ、ダイバーの憧れの地。カリブ海クルーズツアーの人気寄港地でもある。島を取り囲む美しいサンゴ礁とトロピカルフィッシュを気軽に楽しめるシュノーケリングのスポットも多く、初心者でも参加可能なツアーが各種ある。巨大なクルーズシップが接岸する人工的な港から目と鼻の近さのところにカラフルな自然が広がっているのにびっくりさせられる。魚の数は驚異的なほど。(右下の写真)
港のショッピングモールにはサンゴや天然石の装飾品やラム酒、雑貨から高級品の店がずらり。クルーズ停船中には、メキシカンダンスやマリアッチのストリートミュージシャンのパフォーマンスを楽しめることもある。
(By N)