先月2月2日のグラウンドホッグ・デーには毎年恒例のペンシルバニア州パンクサトーニー市のイベントがTV放送され、今年は天気が曇りでグラウンドホッグのフィル君が自分の影を見なかったため、少し早く春が訪れるとのことです。翌日2月3日は節分でしたが、米国在住の皆さんは豆まきは無理でも、今年の恵方である南南東を向いて恵方巻きを召し上がりましたか?我家では家内が作ってくれたものを頂きました。まだ余りご利益らしき幸運には出会っていませんが、何はともあれ美味しかったので善しとします。今年は閏年で2月が丁度4週間ではなく一日余分がありました。子供の頃、2月29日生まれの人は4年に一度しか誕生日が来ないので、誕生祝が毎年出来ないのは寂しいけれど、4年毎にしか歳を取らなくていいな、などと他愛もない事を思ったりしたものです。

3月に入る直前の週の半ばには、当地で8インチ程の雪が降りました。その前日に

「今年の冬は暖かく、雪が少なくていいですね」と話したばかりなのに一夜で銀世界。まるで冬将軍が「忘れちゃ困る。わしはまだここに居るぞ!」と顔を覗かせたようでした。

日米でプロ野球各球団がキャンプインし、間もなく始まるオープン戦を経てシーズン開幕。広島東洋カープからポスティングでMLBロスアンジェルス・ドジャースに入団した通称マエケンこと前田投手を加えて、今年の日本人選手の活躍は如何に?球春が近付く3月半ば頃には冬将軍に退散して欲しいですね。

さて、今回のテーマは先月号の続きで「続・米国次期大統領予備選に思う」です。

皆さんもご存知のように、先月初めから大統領予備選がスタートしました。この原稿作成時点までの途中経過では、民主党はヒラリー・クリントン女史、共和党ではドナルド・トランプ氏が他の候補者をリードしています。民主党はクリントン女史とバーニー・サンダース氏両候補者の一騎打ちで接戦模様ですが、南部州では過去にオバマ大統領を支持した黒人層の多くがクリントン女史支持に回ってサンダース氏は苦戦を強いられそうです。

共和党は私が前回懸念していたことが残念ながら現実化しつつあります。

第一弾のアイオワ州コーカス(党員集会)こそテッド・クルーズ氏がトランプ氏を抑えて勝利し、米国有権者は冷静さを取り戻したかと思ったのも束の間、続くニュー・ハンプシャー州予備選ではトランプ氏が巻き返して初勝利を挙げ、その後のサウス・カロライナ、ネバダ両州を含めて3連勝。しかもかなりの大差をつけた形となり、勢いが止まる気配がありません。立候補時には有力視されていたジェブ・ブッシュ氏を初め当初17人いた候補者も次々と撤退し、2月末では5人に絞られて来ました。

次はスーパー・チューズデーと呼ばれる3月1日の複数州同時開催の党集会・予備選が大きな節目です。民主党、共和党とも同時開催されるのがマサチューセッツ、バーモント、ヴァージニア、ジョージア、アラバマ、テネシー、アーカンソー、オクラホマ、テキサス、コロラド、ミネソタの11州。この他に共和党のみ開催されるのがノース・ダコタ、ワイオミング、アラスカの3州。民主党のみが米国領サモア。特にテキサス州はクルーズ氏の地元であり、絶対に勝利を譲れないキーポイントになります。ここで万一現在リーダーのトランプ氏や3番手のマーク・ルビオ氏に敗れたり、僅差の勝利では今後開催予定の他州に向けて全く勢いがつきません。この原稿が印刷に回る頃には結果が出ている筈ですが、トランプ氏が複数州で勝利または僅差の2、3番手になれば獲得代表権者数で差が縮まらず、以後の展開上どの他候補者の挽回も確率的にほぼ不可能に近くなります。

また、順位によって代表権者数が按分される比例代表方式オンリーの民主党と違って、州によって比例代表方式と勝者総取り方式を使い分ける共和党では後者方式の適用州では僅差でも勝つことが最重要で2、3番手では意味がありません。

前号でも書きましたが、米国市民でない私には投票権がありませんが、家族全員が長年米国に在住し、公私共に日々米人と交流しながら暮らす中で、どの政党の誰が次期大統領になるか、その大統領が国内・国外でどのような政策を執行するかは他人事ではなく、大いなる関心と懸念を持たざるを得ません。

これも前号で書きましたように、米国と米国民、更には世界中の良識と節度ある国々とその国民のためになるとは思えないトランプ氏だけには絶対に次期大統領になって欲しくない気持ちは今も変わりません。心ある米国有権者も同じ思いだと信じたいですが、現時点までの公開討論会、タウンホール・ミーティングの経過を見る限り、民主党政権の各種政策の欠陥や共和党主流派や現議員メンバーの不甲斐なさと不信感を指摘し、他候補者のアラ探しと誹謗・中傷を繰り返し、国民の政治的・経済的不平・不満を煽るだけで、具体的な政策論のないトランプ氏が万が一でも共和党の指名候補になったりしたら、クリントン女史あるいはサンダース氏のどちらでもいいので民主党の指名候補者に彼の大統領当選を絶対に阻止してもらいたいと思う次第です。

革命や下克上と同様に統治者や施政者、主君を排除し、既存の国家体制や制度・法律を破壊、破棄することは出来ても、その後どのような考えで新たな体制・制度・法律を構築し、実行して行くかの方が遥かに難しい作業です。不平・不満を煽れば少しでも自分に当てはまり、思い当たる人達は同意し、期待して集まります。討論中に政策論の説明・展開は抜きにして相手の発言を遮り、相手の時間を奪い、言いたい事を言わせず、自分の言いたい事だけ言って、相手に言い負けない強面の候補者を英雄扱いして囃し立てる視聴者にも問題がありますが、リアリティーショーの劇場版を生で観ている感覚なのか、トランプ氏がいないくなると『番組』としてつまらなくなるので出続けて欲しいという視聴者願望なのか、全く理解に苦しみます。

共和党候補者で他に抜きん出た人物がいないのも一因ですが、「トランプ氏サポーターよ、目を覚ませ!正気を取り戻せ!」と言いたいです。後は神仏に祈るのみで しょうか?

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。