
JAPANニュース倶楽部読者の皆様、明けましておめでとうございます。年頭に当たり、皆様のご多幸をお祈り申し上げます。在デトロイト日本国総領事として昨年8月に着任して約4ヶ月間が過ぎましたが、右を振り返ってみますと、ミシガン・オハイオ両州の各地に赴き、様々な分野で活躍されている日系企業および在留邦人の皆様や、地元の日米交流関係者の話を伺う機会に大変恵まれ、非常に充実した日々を過ごさせて頂きました。
9月に東京で開催された第47回日本米国中西部会へ参加した際には、スナイダー・ミシガン州知事と共に滋賀県(ミシガン州の姉妹県)や豊田市(デトロイト市の姉妹都市)を訪問することが出来ました。また、JETプログラム(注)経験者の有志の集まりであるJET同窓会の年次総会が昨年はデトロイトにて開催され、全米各地のJET同窓会支部代表及び教育関係者と交流する機会もありました。その他、ミシガン・オハイオ州の各地で企業・大学訪問、行事参加を通じ、日系企業や在留邦人の皆様が当地でご活躍されている様子を肌で感じることができました。戦後70年という節目の年に、これらを通じて強く感じたのは、今日の良好な日米関係は、長きに亘る人と人との交流によって育まれ、支えられているということです。この場をお借りして、当地における日米相互理解の促進にご尽力頂いた皆様に心から感謝とともに、引き続きのご支援、ご協力をお願い申し上げます。
(注)Japan Exchange and Teaching Programme:外務省などの協力のもと、地方公共団体が諸外国の若者を特別職
の地方公務員として任用し、日本全国の小中高等学校で英語その他の外国語やスポーツなどを教えたり、地方公共団体で国際交流のために働いたりする機会を提供する事業
日本は、ミシガン、オハイオ州にとって最大級または最大の投資国であり、両州への進出日系企業は9百社を越え、その雇用数は約11万人に及びます。このような当地における日本のプレゼンスは、両国関係の基礎であり、誠に誇らしく思います。また、ミシガン州には、滋賀県との姉妹関係があり、これに日本と同州の姉妹都市関係を含めると28件に及び、オハイオ州も埼玉県と姉妹関係を有し、日本と同州の姉妹・友好都市関係を含めると16件の関係があります。こうした地域レベルでの友好交流は日米関係の強化促進の為にきわめて有効であり、今後の草の根交流が大変楽しみです。
さて、今年の主要な米国内の動きとしては、大統領選挙がいよいよ佳境を迎えます。また、日米両国の経済関係にとって重要なTPP協定についても、議会での審議が順調に進むかどうかが注目されます。これらの結果は、日米関係にも大きく影響を与えるものであり、総領事館としてもその動向を注視していきますが、いずれにしても、日米関係がより強固で安定したものになるように、今年も引き続き努力していきたいと考えています。その一つのツールとして、今年30年目を迎える前述のJETプログラムは、1987年の開始以来、全世界より約3万人の若者を日本に送り出しています。こうしたプログラムを通じ、日本をよく知る親日家を増やし、草の根レベルでの関係を育むことは日米両国関係の将来にとって、とても大切なことだと思います。これまで築き上げた日米友好関係の礎をさらに強固にすべく、今後も日本の様々な魅力を発信し、日米の架け橋としての総領事館の役割を館員一同精一杯果たして参ります。
また、総領事館の最重要任務である在留邦人の皆様への良質で迅速な公的サービスの提供についても、引き続き最善を尽くして参ります。各日本人関係団体のご協力を得て実施している領事出張サービスを含め、在外選挙登録、旅券、戸籍・国籍等の各種証明関係など多岐にわたるサービスの更なる充実・向上に努めていきます。また、地元の警察や治安機関との協力体制を密にし、タイムリーに安全に関する情報を発信し、皆様が安心して生活できる様に安全対策の拡充を続けていきます。このような皆様の生活に役立つ情報は、ホームページやメールマガジン、またリニューアルしたFacebookなどを活用して分かり易くお伝えしていきますので、是非ご覧下さい。また、Facebookには「いいね!」を押して頂き、フォローして頂ければ幸いです。当館のサービスについてお気づきの点がございましたら、遠慮なくご連絡、ご指摘下さい。
今後とも、在留邦人の皆様にとっては頼りになる存在であり、また、ミシガン州及びオハイオ州の米国人及び地域の方々に対しては、信頼できるパートナーとなることを目指して、館員一同尽力する所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。末筆ながら、今年一年の皆様のご健勝とご多幸を心より祈念申し上げます。
平成28年1月
在デトロイト日本国総領事館
総領事 和田充広
あけましておめでとうございます。
皆様におかれましては、2016年の初春をつつがなく、お迎えになられたことお喜び申し上げます。さて、世界にある補習授業校の数は205校、その内、北米には8 8 校が設立され、約1 3 5 0 0 人の子ども達が学んでいますが、本校は、外務省や文部科学省、海外子女教育振興財団の援助を受けられる世界で第3位の大規模な補習校です。現在、900人を超える幼稚園児から高校生までが学んでいます。また、本校の設置目的については、「日本語による日本の学習指導要領に基づいた教育課程を補習する機会を与えると共に、将来、日本と国際社会をリードできる人材を育成する教育を提供する」としています。このことから、絶えず、日本国内における新しい教育の方向を探りつつ、本校の教育活動と連動させていく必要があると考えています。
現在の学習指導要領では、キーワードとして、子ども達の「生きる力」をよりいっそう育むことを目指し、その「生きる力」を知・徳・体のバランスのとれた力と定義しています。また、文部科学省は、これからの教育の方向として、次の学習指導要領改訂を2020年(平成32年) 頃を目途に作業を進めていますが、現在、新聞やニュースなどで見聞きする「21世紀型スキル」という言葉がキーワードとしてクローズアップしてくるのではないかと推測しています。この「21世紀型スキル」という言葉は、簡単に言いますと、グローバル社会を生き抜くために必要とされる能力を指します。
2009年(平成21年)1月に、マイクロソフトやインテル、米通信機器大手のシスコシステムズ、それとメルボルン大学が世界の教育学者や教育政策決定者らに呼びかけて、ATC21s(Assessment and Teaching of 21sCentury Skills) プロジェクトを立ち上げ「2 1 世紀に必要とされるスキルは何か」「その評価システムの研究を始める」と発表しましたが、この「21世紀型スキル」を提唱したA T C 2 1 s は、例えば、批判的思考力、問題解決能力、コミュニケーション能力、コラボレーション(チームワーク)能力、自律的に学習する力など4つのカテゴリー、10のスキルとして定義しています。
これからの時代は、「一時的に詰め込んでその後忘れてしまうような知識の習得」ではなく、「後から必要に応じて活用できる知識の獲得」が重要になってくる。変化に合わせて、様々な場面で必要になった時に学びなおす、学び続ける力が大切である。決まった答えを教員が教えるのでなく、子ども達が答えを見つけたり、同時に問題点を発見したり、グルーブ同士でコミュニケーションしながら解法を共有し、知を再構成していくプロセスが問われると考えられます。学習指導要領改訂に深くかかわる国立教育政策研究所が「資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究」《平成26~28年度》プロジェクトをしていますが、このプロジェクトの柱も上記と同じ方向です。
本校は、2013年度に設置目的の下、幼稚園部、小学部、中高等部の各学部における「めざす子ども像」を新たに示し、この「めざす子ども像」の具現化のため、毎週土曜日の授業の質を高めるべく校内研究(今年度は、授業における教材・場面・指導過程の工夫)を続けています。片や、イースタンミシガン大学の協力のもと、国際人財(人材は財産という意)育成共同プロジェクトを立ち上げ、先の校内研究の実践も含み、日本国内から現役教員講師の招聘も実現し、これらの動きを見据えて教育活動を展開しています。
最後になりますが、子ども達それぞれの進路と当地での学習環境を整えるためには、それを支える講師の確保とご家庭での協力が必要なことは言うまでもありません。講師募集は随時しておりますし、採用内定者研修や新任研修も充実しています。子ども達の笑顔と接してみたいと思われる方は、是非、ご一報ください。
スクラップ・アンド・ビルドの思考をしながら、さらに「デトロイトりんご会補習授業校で勉強できてよかった」と子ども達や保護者・関係者の皆様が、夢や誇りがもてる学校づくりに運営組織の皆様と共に全教職員で取り組んでまいりたいと思います。今後とも、邦人の皆様の温かいご支援・ご協力をお願いします。