
新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
昨年12月は中頃まで異常な程暖かい日が続き、ミシガンでは珍しく雪のないクリスマスでしたが、その後は年末年始に掛けて帳尻を合わせるかのように平年並みの気温に戻りました。皆さんの年末年始は如何でしたでしょうか?日頃お忙しい方々も多少なりともご家族やご友人とゆっくり、まったりする時間が持てリフレッシュして元気に新年を迎えていらっしゃれば幸いです。12月最後の週に米国中部のミシシッピ川流域の諸州が1993年の大洪水を上回る記録的な洪水に襲われ、特にミズーリ、ミシシッピ両州は堤防を乗り越えて氾濫した水で道路が冠水・寸断され、多くの家屋やビルが浸水という甚大な被害を被りました。本来ならば楽しむべきホリデーシーズンに文字通り「寝耳に水」の災難で、原稿作成時点では復旧のめどが立っていない状況で誠にお気の毒としか申せません。一日でも早く水が引けて交通網が回復し、復旧が進む事を願って止みません。
さて、新年最初のテーマは「ローマは一日にして成らず」です。
今年の干支は『申(さる)』。ひつじ年から干支が変わったばかりなのに「去る(サル)者は追わず」と言う訳には参りません。何かしらご縁がある人達としばらく連絡が取れていなかったり、何となく疎遠になっているようでしたら、しっかり追い掛けてみましょう。簡単なメールかテキストメッセージ、あるいは電話かサプライズ訪問でもいいでしょう。きっと相手も喜ぶと思います。遠方に引っ越したり、日本にご帰国された人は当地での懐かしい想い出がよみがえる筈です。
人と人が出会うご縁を大切にしたいものです。
地球上に住む何億、何十億という数の人間の中から何かしらの理由があって、または偶然にでも人が出会うのは奇跡に近い事です。それが一瞬のすれ違いでなく一緒にひと時を過ごすとか、イベント参加や体験を共有するとかなれば尚更です。日本に居たら出会うことがなかった人に米国だから会えたのかもしれません。そこからビジネスの切欠や取引関係が出来たり、友情・恋愛、家族・グループ交流など新たな人間関係が芽生えることもあります。小さな『友達の輪』がどんどん広がって、点と点(個人同士)の結びつきから線が延びて、交差したり、枝分かれしてやがて面となり、大きく広いネットワークとなる可能性も大いにあります。
ネットワークの構築・拡大・維持には、当然時間が掛かります。正に「ローマは一日にして成らず」です。また、それ相応の努力を続けなければなりません。何も努力せず、「棚からボタ餅」を当てにしていては10年、20年、いや100年経ってもまともなネットワークは望めません。ネットワークと言っても相手から情報をもらうとか、何かをしてもらうばかりの目的では良い関係が続かず、上手く行きません。相手が欲しい情報、聞きたい話題、して欲しい事をたとえ一つでも提供出来なくては成功しません。
大分前の話になりますが、私の当時の同僚が「お客さんに何度連絡してもずっとアポが取れないが、どうしたら会ってもらえるか?」と素朴な質問をされた事があります。その人は普段から余り他人が聞きたがるような話題が少ない人だったので、「電話でも面談でも、いつも仕事の話だけでなく、個人的にその人が興味を持っている話題や趣味に関する情報を普段から集めておき、その時その場に合ったトピックを時々混ぜるようにすれば、こちらの話を聞いてくれるし、また会ってくれるのではないですか?」というようなアドバイスをしました。また、「会社のトップや幹部の人は社内では部下の前で愚痴や弱音は吐けないので、部外者としてそれを聞いてガス抜きをさせてあげる事も大事。もちろん秘密厳守で」と付け加えました。その後彼が上手くアポが取れるようになったかどうかまでは確認出来ませんでしたが、少しは参考になったのではないかと思います。
要は相手が「あの人なら会いたい、話を聞きたい、また会いたい」と思ってもらえるようでないと関係は続かないということです。そのためには、普段の努力が大事です。「ローマは一日にして成らず」、「老婆も一日にして成らず」(家内が大分以前に何処からか間接的に仕入れて来たジョークで、いつか使える機会をうかがって温めていたのですが、言い得て妙なのでここで使わせて頂きました。私のような老爺も同様なので、決して女性蔑視ではありません。ご容赦願います。)
前述のジョークだけが頭に残っては困りますので、要点をまとめますと、「出会いとご縁を大切に、ネットワークは時間が掛かる、不断の努力が必要、相手が聞きたい事、して欲しい事を提供する。」がキーポイントです。
では、今年が皆さんにとって素晴らしい一年でありますようにお祈りして結びと致します。
執筆者紹介:小久保陽三
Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。