
Tuna Festival @ Izakaya Sanpei
マグロが梱包された箱から取り出され姿を現すと、「おーー!!」という歓声が沸いた。
新鮮さを裏付ける、金属を思わせるような輝きを放つマグロは日本から取り寄せられた本マグロ。本マグロは言わずと知れたマグロの中のマグロ。大トロはこのマグロからしか取れないそうである。重さ約150ポンドというから成人男性の平均体重並み。長さ約150センチの堂々たる大物だ。同レストランの料理人が豪快な包丁さばきで、その解体を行なった。
解体ショー見学と、そのマグロの刺身をその場で頂くという、このTuna Festival の参加者はほとんどが非日本人。見た目、アジア系の人が大半ではあったが、白人の家族もいて、マグロ好きな人が人種を越えて多いことが分かる。
マグロの解体ショーは、日本では宴会や結婚式で近年人気のイベント。オーナーの一人であるキム氏によれば、中西部のレストランとしては初の企画であろうとの話。確かに、シカゴの日系マーケットで行われたという話は耳にしたことがあるが、当地に30年在住の日本人も、「聞いたことがない」と話す。日本では、派手な演出を加えながら包丁捌きを見せるものもあるそうだ。今回は、解体の前にキム氏によって、マグロの種類や部位についての概説、そして解体に合わせて部位による色や味の違いについての解説などが添えられた。
カマ(頭)の切りおとしから始まり、着々と巨大な身に包丁が入り、骨から切り外していく様は見事。じっくりとカメラを構える間も与えず、あれよあれよと切り身に・・。切りおとされたカマや切り外された塊をトレイに乗せて、観客に見せて回るサービスも提供された。
大きな塊だけに部位による色の違いも一目歴然。目の前で見る“マグロの目玉”の大きさに感嘆する声も聞こえた。
「解体」「目玉」などと書き連ねると少々グロテスクではあるが、目に入る工程は、「綺麗」の一言。20分足らずで解体は終了した。
解体された切り身は調理場ですぐさま刺身になり、大トロ、中落ち、赤身、3種の15切れもの盛り合わせが各自にサーブされた。マグロが一番脂の乗る時期とあり、中落ちでさえもトロがかっていて、参加客は「口の中でふわっととろけた」と満足げ。くじ引きによって、希少な部位の刺身や焼き物を味わう機会も贈られた。見て、味わって感激!五感で堪能するひと時となった。魚の大きさに拘わらず言えることだが、尾頭付きの姿を拝んでこその“命を頂く有難さ”が心底から感じられた。
居酒屋三平は、キム氏を含む新オーナーのもと、メニューや盛り方などの工夫に試んでいる。Tuna Festivalはキム氏の念願。「お客さんに喜んでもらいたい」と話す。恒例イベントにしたいが、準備が大変でもあり、目下、年1回のペースで考えているそうである。
店内での次回のマグロ解体ショーは先のことになるようだが、パーティーやイベントでの出張ショーは引き受けるとのこと。問い合わせはお店に。
居酒屋三平
Tel: (734)416-9605