師走12月となり、ひつじ年の今年2015年もフィナーレが近付いて来ました。皆さんのサンクスギビングの連休は如何でしたでしょうか?ご家族で小旅行またはホリデー・ショッピング、あるいは定番七面鳥料理を囲んで食べ過ぎ、飲み過ぎ、はたまたカウチポテトでのんびりDVD鑑賞か昼寝の連休でしたでしょうか?今週は通常の生活パターンに戻って、2週間程に迫ったクリスマス休暇に向けて仕事や家事や学業で今年最後の追い込み時期ですね。

先月11月号の原稿締め切りが済んだ直後の10月末日にエジプト東部シナイ半島上空でロシア航空機の墜落事故があり、ほぼ100%爆弾テロの疑いが持たれています。また、11月第2週13日の金曜日にはパリ市内で過激派イスラム集団ISISによる同時複数テロ事件が起き、合わせて罪のない何百人もの人達の尊い命が失われました。更に1週間後の金曜日には西アフリカ、マリの首都バマコ市内の米系高級ホテルで銃撃事件があり30名近くの方が犠牲になりました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共にそのご家族の皆様には心よりお悔やみ申し上げます。

では、本題に入ります。

今回のテーマは『人類は進化し、賢くなっているのか?』です。

冒頭で触れたパリ市内での同時複数テロ事件に関して、フランスではオーランド大統領が非常事態宣言を発し、犯人の国外逃亡阻止および国外から更なるテロリストの侵入防止のために国境封鎖や隣国ベルギーと呼応して200箇所近くのテロ分子のアジトを急襲・強制捜査を続けていますが、未だに実行犯のキーマンは逃走中で捕まっておりません。ひとつだけ不幸中の幸いであったのは、同国内で次のテロ計画の実行寸前に警官隊が踏み込み、未然に防止出来た事でした。

とにかく本当に物騒な世の中になったもので、今や世界中いつ、どこにいても安全とは言えなくなりました。仕事でも観光でも海外に安心して旅行に出掛ける事も難しくなりました。国内に居ても何の予兆もなく突然襲われる恐れもあります。

有史以来数千年の時を経ている現代の人類は有史以前の人類や原始人と比べて本当に進化し、賢くなっているのでしょうか?現代科学や先進技術は人類の平和と安全・健康で豊かな暮らしのために真の意味で貢献しているのでしょうか?環境汚染や自然破壊、大量殺傷の原因や道具になっていないでしょうか?原始人よりある意味残酷・残忍になっていないでしょうか?文明・科学が目まぐるしく進んだ時代の筈なのに世界的に物が豊かになった反面、開発途上国のみならず先進国や中進国でも貧富の差、格差が広がり、心は貧しく殺伐として不公平感・不平等感や焦燥感、絶望感さえ持つ人々が増え続け、先進国で多くの自殺者が出ています。

また、本格的な戦争ではなくとも、国家や地域間、民族・宗教間あるいは特定地域内の紛争、揉め事は今や日常茶飯事となっています。中世から20世紀に掛けて世界の火薬庫と呼ばれたバルカン半島だけでなく、黒海・地中海周辺国を巻き込んでいる中東のアラブ・パレスチナ問題、イランの核開発問題、イラク、アフガニスタン、シリア、北アフリカ諸国での内紛と難民問題、ウクライナ問題に加えて直近ではトルコ国境付近でのロシア爆撃機の撃墜事件に端を発したロシアとトルコ間の軍事的・政治的・経済的関係悪化。また、極東、東アジアに目を向ければ日韓、日中の領土問題と歴史認識問題、日露の北方領土・漁業問題、南シナ海の領土と海洋資源・利権を巡る中国と周辺国間の領土問題、空海の国際航行安全保証問題など枚挙に暇(いとま)がありません。

ロシアとトルコ間の問題は単に2国間だけの問題に留まらず、ロシアと米国更にトルコも加入しているNATO(北大西洋条約機構)との関係にも複雑な影響を及ぼしそうです。去る10月初めから突然シリア空爆を開始したロシアですが、米国がその失脚を促しているアサド政権を支持しており、ISISだけではなく米国が武器提供や軍事訓練で支持している反政府活動グループ(レーベル)も含めて空爆していた節がありましたが、シナイ半島上空での自国航空機の爆破墜落事件を契機にEU諸国と協力してISIS空爆を強化する期待が膨らんだ矢先にトルコによるロシア爆撃機撃墜事件で水を差された形となり、米国、EU諸国の落胆と困惑は火を見るより明らかです。

世間で言うところのKY(空気を読む)能力がトルコ(軍部の一部)になかった訳です。民主主義、個人主義、民族主義の悪い一面が出てしまい、言論・思想の自由と権利の主張というよりも我儘から「俺たちも言いたい、やりたい」、「言わせてもらおう、やらせてもらおう」と言った感じで、それをやったら後どうなるか?周りの国々や人達はどう

思うか?その結果が自分達にどう跳ね返って来るか?まで深く考えずにやってしまったのか、それとも単に日頃の鬱憤(うっぷん)を晴らす意味だけだったかもしれません。自己満足の世界ですね。

いずれにしろ、事件を起こしたトルコの当事者にしても、ISIS始め各国、地域でテロや紛争を起こし、人殺しまでして多くの一般の人々を恐怖と不幸に陥れているその他大勢の輩にしても、とても進化した賢い正気の文明人とは思えません。特にISISは女性の権利や他宗派の信仰を一切認めず、破壊と恐怖による弾圧と世界制覇を目指す狂気の集団で、全く人間とは思えない行動です。

一体いつになったら21世紀の人類が進化した賢い生き物として正気と秩序を取り戻し、皆が安心と安全を感じられる平和な時代が来るのでしょうか?一日でも早くそうなる事を祈りつつ筆を置きます。まだ少し早いですが、皆さん良い新年をお迎え下さい。

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。