College for Creative Studies Automotive Culture Immersion Workshop 2015 2

SONY DSC

日本のカーデザイナー対象にデトロイトの美術大学CCSで4週間の強化特訓クラス

College for Creative Studies (通称CCS) では、“Automotive Cultural Immersion Workshop”が開講された。このワークショップは、日本の自動車関係企業の若手カーデザイナーを対象とした4週間の夏期特別強化特訓クラスで、CCS学舎に隣接する学生寮に滞在し、アメリカの文化や歴史を実際に感じならカーデザインの醍醐味を学ぶようにプランされた体験型ワークショップ。今年で五回目の開講となる。

SONY DSC受講者は、トヨタ自動車(株)、ヤマハ発動機(株)、三菱自動車、スバル/富士重工業(株)、日野自動車、いすゞ自動車(株)、マツダ(株)、日産自動車(株)、本田技研(株)、本田技研二輪(株)、トヨタ車体(株)、

DSC00910デンソー(株)の11社からの14名に加えて、中国のInterior Motivesの受賞者1名の合計15名の受講となった。

教鞭は、同大学のトランスポーテーション・デザイン学科の伊藤邦久教授とブライアン・ベイカー准教授がとった。

SONY DSC CCSは美術学校として創立100年余りの歴史がある中、トランスポーテーション・デザインに関しては、車のデザインにおける徹底した教育理念とプロフェッショナルスキルの習得に定評があり高い就職率を得ている。この“Automotive Cultural Immersion Workshop”は、日本の自動車企業から、若手デザイナーの特訓を依頼されたことにより、「CCS流の教育を自動車文化発祥の聖地にて学ぶ」という信条を基に考案されたものである。講義は教室内のクラスワークだけでなく、アメリカの自動車文化を体感するリサーチトリップがともにあることに大きな意味を占める。リサーチトリップとは、自動車が誕生したデトロイト界隈をはじめアメリカ中西部にある自動車に関する博物館やイベントに参加し、自動車のデザインの歴史、アメリカ人の車に対する思い、などを見て知って体験する野外活動で、リサーチトリップで習得したことは自分のデザインコンセプトに活かすことが課題とされている。旅行中はホテルの会議室を借りて、赴く土地やイベントに関して歴史を紐解く講義や、描写のデモンストレーションなどが行われ、受講生たちにとっては、旅行中の体験や思いついたアイディアがその場で裏付けられることとなり、理解はよく浸透した様子であった。

SONY DSC訪れた箇所は、ミシガン州をはじめ10 カ所を超える。

  • Tiger’s Baseball Game at Comerica Park (MI)
  • Henry Ford Museum (MI)
  • Harley Davidson Museum ( WI)
  • Oshkosh EAA Air Show ( WI)
  • Indianapolis Museum of Art – Special Exhibition “Dream Cars” (IN)
  • Indianapolis Motor Speedway Museum (IN)
  • Crown Royal 400 AT THE BRICKYARD (IN)
  • Nationals Corvette Museum (KY )
  • Turkey Run State Park (IN)
  • Pontiac Illinois Auto Museum (IL)
  • NMRA Street Legal Drag Racing
  • Route 66 Raceway (IL)
  • Gilmore Car Museum (MI)
  • GM Heritage Center (MI)
  • Woodward Dream Cruise (MI)

SONY DSC両教授によれば、「コンピュータを使ったデザインは簡単で効率的ではあるが、まずは自分で描いて自分で立体を理解して表現できることが一番大事な基本」と昨今のあるまじき「コンピュータを使ってデザインできるけど、自分の力だけでは描けない/表現できないデザイナーが増えている現状」に警鐘を鳴らし、CCS流の講義および実技指導(Design Methodology, Design Concepts, Ideation Sketching, Rendering, Packaging, Model Making)にあたった。旅行から学舎にもどってからも、随時実技的なHands-onの指導やデザイン構築の支援があり、受講者たちの試行錯誤の作業が続いた。極限に追い込まれて苦悩の末にたどり着いたものは自分の自信のこもったデザインになってくる。誰もが夜を徹して自分の作品に没頭した日々をこなした。

SONY DSCファイナルプレゼンテーションは、地元の自動車関係者の招待客を前に英語でのプレゼンテーションが課せられた。はじめての英語のプレゼンとなった受講者がほとんどだったが、要所を得たポイントの掲げ方や英語の指導もリハーサルを通して行われた。プレゼンにこぎ着けた各々の立体モデルには、各社の会社のロゴマークをつけるなど、自社の看板を背負った責任感もデザインに込めた発表となった。プレゼンテーションが終わると招待客も一同着席し、ワークショップ期間中の4週間のハイライトのビデオが披露された。授業風景、リサーチトリップ、寮での生活、自分のデザインと向き合う苦闘の様子、などが見てよくわかるストーリーになっていた。最後にはCCSの副学長より修了証の授与があり、2015年度の“Automotive Cultural Immersion Workshop”は幕を閉じた。

SONY DSC受講生からは、「憧れていた名車や最新の航空機、最先端技術を駆使した軍事機などを目の前で見たり触れたりできて、信じられない感覚を得た。」「写真やインターネットでは感じられないことをたくさん体験できた。日本とは全く違うアメリカの文化、人々の考え方、車に対する愛情に驚愕した。」「アメリカ人が思いをあまりにも素直に大胆に表現するのに驚いた。日本だと何をするにも周りに気を遣い遠慮がちになるが、自分ももっと表現を出してもよいのかな、これからは自分を出してみたいと思う。」「アメリカと日本は空も太陽も道の広さも全く違う、だから車の見え方もこんなに違う、と見て感じた。」「アメリカのあちこちで見かける自社の車をみて嬉しかったのと同時に、カーデザイナーとしての責任感を覚えた。」

DSC00861「他の会社の同業者(デザイナー)と共に学ぶことができて、初めて他にも描き方やデザインの考え方があると大きな発見となった。」「勤務7年が経ち、煮詰まった感があったが、今回のワークショップで、自分の殻を破ることができた。」「ライバル会社の同業者と親しくなることなど、普通は日本ではありえないこと。今回の4週間の共同生活で一生の友情が築けた。」「会社にいると、自分だけのデザインを追求できるはずもないが、このワークショップでは自分のデザインに始めから最後まで没頭し向き合うことができた。デザイナーとして大変貴重な修練の機会となった。」「会社ではコンピュータを使ったデザインばかりしていたが、自分の体を使ってデザインを表現することの大切さを思い知った。」「リサーチトリップ後の製作期間は短期間でプレゼンまで仕上げなくてはいけないのは辛かったが、大きな達成感があってこれからの自信となる。」と、この4週間は価値ある貴重な時間になったようだった。

DSC00831 (1)このワークションプを通してデザイナーとしても人としても大きな成長を遂げた彼らが、その大きな経験を今後のデザイン発想力の糧として、日本自動車企業の活力となってくれることを願いたい。

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