今年も後半に入りました。先月のミシガンは6月にしては例年より雨の日が多かった気がします。4月に雨の日が多いのは想定内ですが、夏らしくなる筈の6月、それも週末に雨が続くと気分が沈みます。今月はしっかり夏!という天気が続いて欲しいものです。プロバスケットボールとアイスホッケーはプレーオフ優勝決定戦が終わり、ゴールデンステート・ウォリアーズとシカゴ・ブラックホークスがそれぞれチャンピオンになりました。特に前者は前回から40年振りの優勝ということで喜びもひとしおでした。この話は本文でもう少し触れます。

日本のプロ野球ではセ・パ交流戦が終わり、今年もセリーグ球団の弱さが目立ち、一日だけでしたが史上初めてセリーグ全球団が貯金(勝ち試合数が負け試合数を上回る数字)なしという前代未聞の事態が発生。パリーグはAクラスとBクラスがはっきり分かれていますが、セリーグは首位から最下位まで4~5ゲーム差の混戦。まだどの球団にも優勝チャンスがあります。米国では地元タイガースの低迷が続き、貯金を使い果たしそうな状況。本格的な夏の到来と共に是非とも盛り返して欲しいです。サッカーでは女子ワールドカップカナダ大会が決勝トーナメントに入り、なでしこジャパンの連覇なるか?本号が出る頃には結果が判明している筈です。テニスではウィンブルドン大会が始まり、出場が懸念された錦織選手が芝コートでどこまで活躍出来るか?しばらく目が離せません。

前書きはこの位にして、今回のテーマ『続:結果重視かプロセス重視か?』について述べてみます。

先月号の続きですが、前段で触れた今年のNBAファイナル。昨シーズン終了後マイアミ・ヒートから古巣に戻ったスーパースター、レブロン・ジェームズを擁するクリーブランド・キャバリアーズが有利と言う下馬評でしたが、結果はアンダードッグのウォリアーズが4勝2敗で優勝しました。

全ての試合を通しで観る時間はとてもありませんでしたが、今年のファイナルは人によっては「史上ベスト」と言うくらい接戦続きで、どの試合も一進一退でリードが目まぐるしく入れ替わり、最後までどちらが勝つか分からない白熱した内容でした。

ウォリアーズの面々は何年振りかのファイナル進出で初めの2試合は少し硬さが見受けられましたが、第3戦からのびのびとプレーし、ファイナルの緊張や勝敗のプレッシャーよりも「今のこのゲーム、この瞬間を楽しんでプレーする」という感じがしました。一方のキャバリアーズの面々はレブロンを筆頭に「絶対に勝たねばならぬ。優勝するしかない」と勝ちに拘り、プレースタイルが柔軟性を欠いてやや硬い感じがしました。

キャバリアーズ、特に優勝請負人を自負してクリーブランドに復帰したレブロンは気負いと責任感があったと思いますが、勝利・優勝という結果に囚われ過ぎて、それに至るプロセスの重要性が見えなくなっていたのではないでしょうか?確かに彼は毎試合高得点をあげ素晴らしいプレーも数々ありましたが、「オレが点を取る、自分が決める」という意識が強過ぎて、周りを活かすチームプレーが足りなかったように見えました。

一時1勝2敗と後手に回ったウォリアーズがその後レギュラーシーズンと同様にチームプレーに徹し、得点に至るプロセス=攻めのフォーメーションを何通りも用意し、それを着実に実行することに集中したことが結果として勝利に、そして40年振りの優勝という最高の結果に結びついたのと対照的だったと思います。

これは『結果重視』と『プロセス重視』の微妙な差かもしれません。その顕著な表れとして、第5戦に敗れて2勝3敗と後がなくなったレブロンが試合後の記者会見で「我々は勝つ。何故なら私が世界一のベストプレーヤーだから」と傲慢とも取れるコメントをしていましたが、それを受けてウォリアーズのスティーブン・カリーが「彼はベストプレーヤーかもしれないが、ベストプレーヤーだけでは勝てない。勝つのはベストチーム」とコメントしていたのが大変印象的でした。この微妙な意識の差が勝者と敗者の分かれ目となり、結果は正しくカリーの言った通りになりました。

これはビジネスの世界においても同じではないでしょうか?一人の超優秀なエンジニアあるいはスーパーセールスマンの個人の力で一時的または短期的に大きな成果が出ることがあるかもしれませんが、それをより大きく、持続的で全社的な成果に結び付けるには周りの人達を巻き込み、協力しながら各個人の能力や特性を活かすチームプレー、チームワークが必要です。ワンマンプレーに頼っていては、その人に病気・怪我など万一の事があったり、その人が転職してしまったら、事業の継続性が一気に失われてしまいます。因みに、カリー選手は2009年のNBAドラフトでプロ入りする前は規模の小さなダビッドソン・カレッジでプレーし、2008年のNCAAトーナメントで無名の同校をエリート8まで導く旋風を起こし、同シーズンの得点王にも輝いたスーパースターです。そのスーパースターが周りを活かしたチームプレーをしたのですから、鬼に金棒です。

最後に、プロセスを本当に意味のある有効なものにするためには一時的、短期的な結果に一喜一憂せず、持続的、長期的に成果を上げ、成功を収めるために常に見直し、より良いものにして行かなければなりません。「プロセスをきちんと企画・設定・実行すれば結果は自ずとついて来る」訳です。

これを機に皆さんも家庭、職場、学校などご自分の身近な場所で種々のプロセスを見直してみませんか!?

 

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。