<!--:en-->Michigan 2015 Japanese Language Speech Contest<!--:--><!--:ja-->ミシガン2015日本語スピーチ・コンテスト<!--:--> 1

  ミシガン州内の高校と大学の日本語学習者を対象とした日本語スピーチコンテストが在デトロイト日本国総領事館の主催で3月28日(土)に行なわれた。このコンテストは毎年、デトロイト日本商工会、ミシガン南西オンタリオ日米協会、ミシガン日本語教師会、国際交流基金など多くの団体の支援や協力、そしてノバイ市、デルタ航空の協賛を得て実施されている。今年は高校部門5名と大学部門10名が事前の選考を経て本大会に出場し、学習の成果を披露した。

  審査員の一人として参加した片山総領事は開会にあたり、ミシガン州における日本語学習の状況として、56のK-12(キンダーからハイスクール)、そして17の大学に日本語クラスが設置されており、計6,100名以上が学校や大学で学んでいることを伝えた。参加者らがコンテストのために多くの時間を費やしたことであろうと、その努力とチャレンジ意欲を称え、日米間の良好な関係を構築するための重要な役割を果たすであろうと、期待の言葉を寄せた。

  当大会への応募条件は、日本に長期滞在していないこと。よって、日本渡航の無経験者か、あるいは短期の滞在を経験した出場者たちであるにも拘らず、滑らかな話し方をする参加者が年々増えている。インターネット環境が整う昨今、幼少期から日本語のアニメを原語で視聴してきたなど、耳で学んできた生徒が少なくない。特に、高校生のスピーチ内容や会話レベルが高くなっている。

  本コンテストでは規定時間内に、暗記したスピーチの発表を課せられる。語彙の豊富さと正しい使い方、話題の展開やまとまりといった作文の要素に加えて、発表の際の話し方などが総合的に評価される。片山総領事をはじめ、JBSD文化部会、JSDウィメンズクラブ、日米協会の代表、そしてコミュニティーの代表として和田氏が審査員を務めた。

   高校の部で第1位に輝いたカングさんは、嫌われている気がして不安だったかつての自分について率直に語った。クラスメートの言葉によって気持ちが変化し自信がついたという彼女のスピーチは、“言葉”が人を変え、人と人を繋ぐことを再認識させる内容であり、得られた自信と心の安定さを表すかのように、明瞭で堂々たる話し方であった。スピーチ後の審査員による質問の意味も理解し、分かり易い言葉で返答できていたが、日本滞在経験は全く無いとのこと。

   大学の部の第1位となったラトカウスキさんは、日本で経験したカプセルホテルにもう二度と泊まりたくない、その理由を解析紹介した。トイレとシャワーがある分、ビジネスホテルの方がマシで、カプセルホテルは音が漏れる上、マナーの悪さが問題だと指摘。旅行好きで、日本各地を巡ったという彼がカプセルホテルをテーマに選んだ理由が「話すのは楽しい」と答えただけあって、始終楽し気に語り続けた。スピーチ後に話を伺ったところ、日本では京都、大阪、神戸といった都市の他、自殺の名所である青木ケ原樹海にも「死体を見つけられれば…」との関心を抱いて訪れたいうこと。将来は日本語を使って仕事をし、日本と行き来したいと話す。大学では日本語の他に言語学と数学を学んでいるそうだが、チャレンジ精神の旺盛さ、コミュニケーション力の高さに、日米の懸け橋としての稀有な活躍を期待したい。

  スピーチ内容の多くが、日本での経験により広がった視野や気づき、あるいは日本語学習を通じて得た思いを題材としている。言語だけではなく、日本の習慣や価値観も学ぶ若者たちの新鮮な観点や感想を垣間見ることができるこのイベントは、聴く人々にとっても得るところが大きい。

  以下に、全参加者のスピーチ内容の要約と各部門の優勝者の原稿全文を紹介させていただく。

原稿要約

プログラム順に氏名、題名、学校名「 」内は原文引用。*一部平仮名を漢字に変換。

高校(ハイスクール)部門

KRISTINE BASSETT (特別賞) 
Troy Athens High School 
せいとからならったこと

『八才の子ども達に神様について教えてから私は辛抱強くなりました。』先生(私)が若いので子どもがうるさくなり、話を聞き流すようになった。先輩のアドバイスで、神様は子ども達を愛していることを教えていることが大事だと分かった。『私は先生ですから導くだけです。』

MONIQUE HAKAM  (3位) 
Groves High School 
おもてなし

日本のレストランでは寒い日は温かく、暑い日は冷たいおしばりを出す。美容員はお客の化粧をするとき、顔を触らない。和食にももてなしがたくさんあり、レストランでは葉っぱを使い、客は季節を楽しむ。

お客さんの満足を大切する。『日本のもてなしは最高です。』

GLORIA KANG  (1位) 
Troy Athens High School 
かべをやぶること

  すべての人はある日人生の中でのりこえることがで出来ないかべに出会います。ふあん。なやみ。こどく。このかべは自分の力だけでかてない。だけど他の人はそのかべをかんたんにやぶることが出来る。

  私は中学一年生の時にとてもしずかな子だった。知ってる人は私のえがおをめったに見なかった。私は時々元気だったけどたいていさびしかった。こわかった。

  「ああこの女の子は私のことがたぶん大きらい・・・」とか「この男の子も私のことがきらい・・・」と思った。

  なやみがたくさんあっていつもふあんだった。でもある日それはぜんぶかわった。ある日かぜで学校を休んだ。つぎの日一人の女の子が私に来てこう言った。

  「ああ〜どこにいたの?かぜひっちゃった?会いたかったよ!友達がいない日はほんとうにつまんない〜〜。。。」

  そのしゅんかん私のせかいがかわった。「友達」。その言葉はいちどもかんがえなかった。「けっきょくみんなは私のことがきらいだから、だれにもは話したくない」と思った。かの女とのかんけいはとてもふつうのかんけいだった。だから私たちはただ知り合いだと思っていた。でもそういうことじゃなかった。学校の始まる時から私は友達をつくった。初めての友達じゃなかったけど、自分でみとめることが初めてだった。大きいふたんが私のかたからもち上げくれたようにかんじた。私はきらわれていなかった。うれしいくてなきたかった。もちろん私はこのきもちを表さなかった。でも自分の中で何かがかわった。私はもっとじしんがあったから人ともっとはなした。心からたくさんわらった。そのふつうの言葉は私にはとても大切な言葉だった。今あっさり言うことが出来ます。「私は今しあわせだ」。

  その友達はあの言葉のじゅうようせいをまだ知らない。ちょっとはずかしい話から私はまだ言いたくないけど、いつか私はかの女にこの話をおしえて上げたい。心から「ありがとう」と言いたい。

HUIYI LIU (2位) 
Troy Athens High School 
カラオケ

日本へ6週間行き、学校や花火大会、メイドカフェ、カラオケに行くなど、色々な事をした。カラオケに行く前は何で好きなんだろう、と思っていたが、行ってみて「しまった、はまってしまった」と思った。歌が下手でも同じレベルの人となら自由に歌える。歌うだけではなく、上手く歌うことで問題をクリアするタイプのカラオケもある。

DAVIS WHITE  (総領事賞) 
Stevenson High School 
日本の京都へ行った事

去年、5位のチームまで日本行をもらえる(ナショナルの)日本語クイズ大会に出たが、10位だった。父が計画して、父と一緒に日本の6つの市に行った。京都が一番。楽しく面白くて美しい。父の友達の案内で、平等院、清水寺、二条城に行った。クジラ肉を食べた。食べたことがなかったがあまり悪くなかった。

大学生部門 

JOSHUA ABRAHAM( 総領事賞) 
Michigan State University 
忘れない夢

子供の時の夢を忘れずに叶えた。日本のマンガを読んで、日本の文化に興味を持ち、「日本語を習って、絶対に日本に行く!」と自分に約束。学校に日本語クラスが無く、習うのは難しくて放ってしまったが、友人の叱咤を受けて学び直した。母の怪我のせいで時間を作れなくなっても、あきらめなかった。去年日本行を叶え、たくさん良い経験をし、多くの日本語を習った。

『諦めないで』『夢が叶ったら幸せになれるはずです。』

DANNY BENSALEM 
Michigan State University 
命の意味:大学生の心の中

『命は本当に不思議ですね。何度考えても完璧な意味を見つけれません。』どうすればよいのか、行きたい方向は分かるけど正しいか分からない。答えは人によって違う。自分で判断しなければならない。ワンパターンで目的が無い生き方に不満を感じ、人生を変えようと思った。目標を持って生活をしてこの世界に役立つことをしたいと思うようになった。

SARAH BENSON 
Oakland University 
仙台市 ラブ

仙台市はきれいで面白い。人が元気。愛情深い。ピープル・トー・ピープルの代表として仙台市に行き、日本の高校にも行った。セレモニーで歓迎を受け、英語のスピーチを楽しんでもらえ嬉しかった。『私の一番好きな街は仙台市です。仙台市は私のラブそのものですから!』

TYLER HOWE 
Michigan State University 
日本の音楽の影響

日本語を選んで勉強している理由。好きな音楽を聴くと、悪いことを忘れ嬉しくなった。ある日、一番好きなミュージシャンを見つけた。「ヌジャベス」と呼ばれている日本人の瀬葉淳。それを通して「shing02」という日本語と英語で歌うラッパーに興味を持った。英語の歌の内容が時に社会問題なので、考えが変化した。日本語は分からなかったので、勉強することに。

『音楽を通して、彼が僕の生活に大きな影響をあたえました。』

LAI PAK KUEN (2位) 
University of Michigan 
アニメが好きな私がヒッキーにならなかった理由

ミシガン大学でアニメクラブの部長をしている。“ヒッキー”と呼ばれる“ひきこもり”とアニメの関係について、ヒッキーは家で一人でアニメを見ているという偏見があるが、アニメ見てもヒッキーにならなかった私がいる。原因はアニメでは無く家族との関係性にある。自分が興味をもったドラえもんを両親は禁止にせず一緒に見るなど、興味と時間を共有してくれた。また、小さな努力が大切なことも家庭教師を通して知った。努力は達成感と満足感に繋がる。専門家によれば、人と関わる経験と、自分のアイデンティティに対する自信がヒッキーの課題だということだ。社会に貢献できると分かれば自分の存在意義を感じられるはず。アニメクラブはヒッキーの解決になっている。

VEGEESHA LIYANA GUNAWA (特別賞) 
Kalamazoo College 
あの日であった警察官は僕の名前を知らない

スリランカ生まれで、カナダの高校、アメリカの大学に行き、早稲田大学に留学。日本での留学中、13回も警官の職務質問を受けた。最初は面白かったが、面倒になった。職務質問をさた理由を尋ねると、外国人による犯罪が多いからだと言われたが、人種差別を隠す言い訳にしか聞こえなかった。様々な国の人に出会ううち、世界が狭くなってきたと感じる。人との出会いを大切にすることが大事。警官が外国人を誤解するのは出会う機会が少ないからという可能性がある。ノーベル平和賞受賞者の言葉「世界平和の前に人々の協力が必要。協力の前に人々の出会いが必要。」を引用。平和は世界の人々の交流を基盤として実現する。交流とは単なる関わり合いではなく、精神的なつながり育てること。

MANAL NIZAM 
Wayne State University 
一番の名作

平家物語について。源氏が平家を激戦で倒した後、平家物語を坊様が歌い始め、今、人々は物語を読んだり能楽を見たりできる。私は、日本の歴史の授業で英訳を読むだけにした。

『仏教の原理があるし、強い武士がいるし、平家物語は世界の物語の中で一番の名作です。』諸行無常について説明している。陸から遠い船の上の扇子に矢を貫通した武士がいる。日本語の平家物語と古典文学を読もうと思っている。

KATIE PENVOSE  (3位) 
Michigan State University 
コミュニケーションの大切さ

日本へ行く前の私は、日本語の授業で日本語を話すチャンスがあってもあまり利用しなかった。すぐに英語を使っていた。去年東京の日本語学校に留学した。クラスメートで英語を話せる人が少なく、先生たちも英語が話せないので日本語を使わなけばならず、“間違っても正確でなくも言う”というモットーを作った。コミュニケーションが大切。間違いを恐れていたら、いつまでも上手に話せない。『外国語の勉強は文法や単語を覚えるのみならず、コミュニケーションも大切にすることだと思う』

JAMES RUTKOWSKI (1位) 
Eastern Michigan University 
カプセルホテル

  「宇宙船のカプセルみたいです!」とあるテレビ番組が言っていました。しかし、それは大きな嘘です。カプセルホテルは、宇宙船からほど遠いものでした。逆に、犬小屋みたいだと思いました。私は二回カプセルホテルに泊まりましたが、二度と泊まりたくありません。今日は、それがなぜかということについてお話したいと思います。

  カプセルホテルの特徴は安さのはずです。 お金があまりないので、私にとっては、料金は重要なポイントでした。料金は二千六百円。ビジネスホテルに比べると、カプセルホテルのほうが安いのですが、 ビジネスホテルの部屋は自分のトイレとシャワーがついています。私にとって、他の人と一緒にお風呂に入ることは考えられません。家族とでもいやです。だから、ビジネスホテルのトイレつき料金はカプセルホテルより「まだ、まし。」ということになります。

  カプセルホテルはまだまだ悪い点があります。まずは狭さです。私は旅行する時、いつもバックパックで移動します。バックパックに服、コンピューター、おみやげなどを入れると、大きくて、重くなります。ホテルにロッカーがあって、持っている物を入れられますが、私のバックパックは大き過ぎたので、 バックパックと一緒にカプセルの中で寝ました。

  もう一つの悪い点はテレビです。泊まり客はヘッドホンを使ったらいいのですが、ヘッドホンを使わなかったら、他のカプセルにテレビの音が漏れてしまいます。私の場合も例外ではなく、隣のおじさんは夜遅くまで、女性の怪しげな声のする番組をずっと見ていました。

  他には、上と下のカプセルがあって、下のカプセルはまだいいのですが、上のカプセルはちょっと背が高すぎて入りにくいです。私の下のカプセルの人は、はずかしげもなく、おならをブリブリとしていたのを今でも鮮明に覚えています。

  いうまでもなく、悪い点はまだまだあります。でも、色々な問題はそこで働いている従業員のせいではなくて、そこに泊まっているお客さんのマナーの悪さからくるものなのだと思います。

  わたしは、いつしか「迷惑なお客さんって、どんな人なんだろう?」と考え始めるようになりました。ある調査によると、終電を逃すと10%の人はホテルに泊まるそうです。カプセルホテルは予約せずに泊まれるので、便利なのでしょう。では、なぜ終電を逃すのでしょうか?インターネットで調べてみると、カプセルホテルに泊まった人のうち、「飲み過ぎた」「タクシーで帰るには遅すぎる」という理由が多かったです。だから、カプセルホテルに泊まる人が酔っている可能性はかなり高いのです。それに、珍しい場合ですが、カプセルホテルに住んでいる人もいます。

  また、普通は、カプセルホテルは男性客だけです。なぜかというと、カプセルは鍵がかけられないからです。最近、女性もカプセルホテルに泊まれますが、別のフロアになっています。

  さて、文句ばかり言っていると、カプセルホテルで働いている人達に失礼だと思いますので、良いことも少し述べたいと思います。カプセルホテルは、交通のアクセスがいい場所に建てられているため、例えば、地方から就活でやってくるお金のない学生にとっては、絶好の宿泊施設です。また、施設によっては、大浴場やサウナなどもついていて、ビジネスホテル顔負けの所もあるようです。私はそれには興味はありませんが、日本のサラリーマンにとっては、魅力なのだと思います。

  さて、私のカプセルホテルの経験はあまりよくないものでしたが、その経験について話すのは、どんなことよりも楽しいものです。ただ、納豆を食べるのと同じように、経験は一回で十分だと思います。 ですから、皆さんも、是非「一回だけ」お試し下さい。

  どうもご清聴ありがとうございました。

DEV SOMGHAL
Oakland University 
私が日本語を勉強したい理由

去年の秋、最初の日本語クラスを取った。難しかったが、難しいからこそ日本語を学ぶのが好き。漢字や文法は私には簡単。難しい部分は話すこと。挑戦することが好きなので、良い会話をした時、達成感を感じる。私の目的はいつか日本に行って日本人と話せるようになること。

  ミシガン州内の高校と大学の日本語学習者を対象とした日本語スピーチコンテストが在デトロイト日本国総領事館の主催で3月28日(土)に行なわれた。このコンテストは毎年、デトロイト日本商工会、ミシガン南西オンタリオ日米協会、ミシガン日本語教師会、国際交流基金など多くの団体の支援や協力、そしてノバイ市、デルタ航空の協賛を得て実施されている。今年は高校部門5名と大学部門10名が事前の選考を経て本大会に出場し、学習の成果を披露した。

  審査員の一人として参加した片山総領事は開会にあたり、ミシガン州における日本語学習の状況として、56のK-12(キンダーからハイスクール)、そして17の大学に日本語クラスが設置されており、計6,100名以上が学校や大学で学んでいることを伝えた。参加者らがコンテストのために多くの時間を費やしたことであろうと、その努力とチャレンジ意欲を称え、日米間の良好な関係を構築するための重要な役割を果たすであろうと、期待の言葉を寄せた。

  当大会への応募条件は、日本に長期滞在していないこと。よって、日本渡航の無経験者か、あるいは短期の滞在を経験した出場者たちであるにも拘らず、滑らかな話し方をする参加者が年々増えている。インターネット環境が整う昨今、幼少期から日本語のアニメを原語で視聴してきたなど、耳で学んできた生徒が少なくない。特に、高校生のスピーチ内容や会話レベルが高くなっている。

  本コンテストでは規定時間内に、暗記したスピーチの発表を課せられる。語彙の豊富さと正しい使い方、話題の展開やまとまりといった作文の要素に加えて、発表の際の話し方などが総合的に評価される。片山総領事をはじめ、JBSD文化部会、JSDウィメンズクラブ、日米協会の代表、そしてコミュニティーの代表として和田氏が審査員を務めた。

   高校の部で第1位に輝いたカングさんは、嫌われている気がして不安だったかつての自分について率直に語った。クラスメートの言葉によって気持ちが変化し自信がついたという彼女のスピーチは、“言葉”が人を変え、人と人を繋ぐことを再認識させる内容であり、得られた自信と心の安定さを表すかのように、明瞭で堂々たる話し方であった。スピーチ後の審査員による質問の意味も理解し、分かり易い言葉で返答できていたが、日本滞在経験は全く無いとのこと。

   大学の部の第1位となったラトカウスキさんは、日本で経験したカプセルホテルにもう二度と泊まりたくない、その理由を解析紹介した。トイレとシャワーがある分、ビジネスホテルの方がマシで、カプセルホテルは音が漏れる上、マナーの悪さが問題だと指摘。旅行好きで、日本各地を巡ったという彼がカプセルホテルをテーマに選んだ理由が「話すのは楽しい」と答えただけあって、始終楽し気に語り続けた。スピーチ後に話を伺ったところ、日本では京都、大阪、神戸といった都市の他、自殺の名所である青木ケ原樹海にも「死体を見つけられれば…」との関心を抱いて訪れたいうこと。将来は日本語を使って仕事をし、日本と行き来したいと話す。大学では日本語の他に言語学と数学を学んでいるそうだが、チャレンジ精神の旺盛さ、コミュニケーション力の高さに、日米の懸け橋としての稀有な活躍を期待したい。

  スピーチ内容の多くが、日本での経験により広がった視野や気づき、あるいは日本語学習を通じて得た思いを題材としている。言語だけではなく、日本の習慣や価値観も学ぶ若者たちの新鮮な観点や感想を垣間見ることができるこのイベントは、聴く人々にとっても得るところが大きい。

  以下に、全参加者のスピーチ内容の要約と各部門の優勝者の原稿全文を紹介させていただく。

原稿要約

プログラム順に氏名、題名、学校名「 」内は原文引用。*一部平仮名を漢字に変換。

高校(ハイスクール)部門

KRISTINE BASSETT (特別賞) 
Troy Athens High School 
せいとからならったこと

『八才の子ども達に神様について教えてから私は辛抱強くなりました。』先生(私)が若いので子どもがうるさくなり、話を聞き流すようになった。先輩のアドバイスで、神様は子ども達を愛していることを教えていることが大事だと分かった。『私は先生ですから導くだけです。』

MONIQUE HAKAM  (3位) 
Groves High School 
おもてなし

日本のレストランでは寒い日は温かく、暑い日は冷たいおしばりを出す。美容員はお客の化粧をするとき、顔を触らない。和食にももてなしがたくさんあり、レストランでは葉っぱを使い、客は季節を楽しむ。

お客さんの満足を大切する。『日本のもてなしは最高です。』

GLORIA KANG  (1位) 
Troy Athens High School 
かべをやぶること

  すべての人はある日人生の中でのりこえることがで出来ないかべに出会います。ふあん。なやみ。こどく。このかべは自分の力だけでかてない。だけど他の人はそのかべをかんたんにやぶることが出来る。

  私は中学一年生の時にとてもしずかな子だった。知ってる人は私のえがおをめったに見なかった。私は時々元気だったけどたいていさびしかった。こわかった。

  「ああこの女の子は私のことがたぶん大きらい・・・」とか「この男の子も私のことがきらい・・・」と思った。

  なやみがたくさんあっていつもふあんだった。でもある日それはぜんぶかわった。ある日かぜで学校を休んだ。つぎの日一人の女の子が私に来てこう言った。

  「ああ〜どこにいたの?かぜひっちゃった?会いたかったよ!友達がいない日はほんとうにつまんない〜〜。。。」

  そのしゅんかん私のせかいがかわった。「友達」。その言葉はいちどもかんがえなかった。「けっきょくみんなは私のことがきらいだから、だれにもは話したくない」と思った。かの女とのかんけいはとてもふつうのかんけいだった。だから私たちはただ知り合いだと思っていた。でもそういうことじゃなかった。学校の始まる時から私は友達をつくった。初めての友達じゃなかったけど、自分でみとめることが初めてだった。大きいふたんが私のかたからもち上げくれたようにかんじた。私はきらわれていなかった。うれしいくてなきたかった。もちろん私はこのきもちを表さなかった。でも自分の中で何かがかわった。私はもっとじしんがあったから人ともっとはなした。心からたくさんわらった。そのふつうの言葉は私にはとても大切な言葉だった。今あっさり言うことが出来ます。「私は今しあわせだ」。

  その友達はあの言葉のじゅうようせいをまだ知らない。ちょっとはずかしい話から私はまだ言いたくないけど、いつか私はかの女にこの話をおしえて上げたい。心から「ありがとう」と言いたい。

HUIYI LIU (2位) 
Troy Athens High School 
カラオケ

日本へ6週間行き、学校や花火大会、メイドカフェ、カラオケに行くなど、色々な事をした。カラオケに行く前は何で好きなんだろう、と思っていたが、行ってみて「しまった、はまってしまった」と思った。歌が下手でも同じレベルの人となら自由に歌える。歌うだけではなく、上手く歌うことで問題をクリアするタイプのカラオケもある。

DAVIS WHITE  (総領事賞) 
Stevenson High School 
日本の京都へ行った事

去年、5位のチームまで日本行をもらえる(ナショナルの)日本語クイズ大会に出たが、10位だった。父が計画して、父と一緒に日本の6つの市に行った。京都が一番。楽しく面白くて美しい。父の友達の案内で、平等院、清水寺、二条城に行った。クジラ肉を食べた。食べたことがなかったがあまり悪くなかった。

大学生部門 

JOSHUA ABRAHAM( 総領事賞) 
Michigan State University 
忘れない夢

子供の時の夢を忘れずに叶えた。日本のマンガを読んで、日本の文化に興味を持ち、「日本語を習って、絶対に日本に行く!」と自分に約束。学校に日本語クラスが無く、習うのは難しくて放ってしまったが、友人の叱咤を受けて学び直した。母の怪我のせいで時間を作れなくなっても、あきらめなかった。去年日本行を叶え、たくさん良い経験をし、多くの日本語を習った。

『諦めないで』『夢が叶ったら幸せになれるはずです。』

DANNY BENSALEM 
Michigan State University 
命の意味:大学生の心の中

『命は本当に不思議ですね。何度考えても完璧な意味を見つけれません。』どうすればよいのか、行きたい方向は分かるけど正しいか分からない。答えは人によって違う。自分で判断しなければならない。ワンパターンで目的が無い生き方に不満を感じ、人生を変えようと思った。目標を持って生活をしてこの世界に役立つことをしたいと思うようになった。

SARAH BENSON 
Oakland University 
仙台市 ラブ

仙台市はきれいで面白い。人が元気。愛情深い。ピープル・トー・ピープルの代表として仙台市に行き、日本の高校にも行った。セレモニーで歓迎を受け、英語のスピーチを楽しんでもらえ嬉しかった。『私の一番好きな街は仙台市です。仙台市は私のラブそのものですから!』

TYLER HOWE 
Michigan State University 
日本の音楽の影響

日本語を選んで勉強している理由。好きな音楽を聴くと、悪いことを忘れ嬉しくなった。ある日、一番好きなミュージシャンを見つけた。「ヌジャベス」と呼ばれている日本人の瀬葉淳。それを通して「shing02」という日本語と英語で歌うラッパーに興味を持った。英語の歌の内容が時に社会問題なので、考えが変化した。日本語は分からなかったので、勉強することに。

『音楽を通して、彼が僕の生活に大きな影響をあたえました。』

LAI PAK KUEN (2位) 
University of Michigan 
アニメが好きな私がヒッキーにならなかった理由

ミシガン大学でアニメクラブの部長をしている。“ヒッキー”と呼ばれる“ひきこもり”とアニメの関係について、ヒッキーは家で一人でアニメを見ているという偏見があるが、アニメ見てもヒッキーにならなかった私がいる。原因はアニメでは無く家族との関係性にある。自分が興味をもったドラえもんを両親は禁止にせず一緒に見るなど、興味と時間を共有してくれた。また、小さな努力が大切なことも家庭教師を通して知った。努力は達成感と満足感に繋がる。専門家によれば、人と関わる経験と、自分のアイデンティティに対する自信がヒッキーの課題だということだ。社会に貢献できると分かれば自分の存在意義を感じられるはず。アニメクラブはヒッキーの解決になっている。

VEGEESHA LIYANA GUNAWA (特別賞) 
Kalamazoo College 
あの日であった警察官は僕の名前を知らない

スリランカ生まれで、カナダの高校、アメリカの大学に行き、早稲田大学に留学。日本での留学中、13回も警官の職務質問を受けた。最初は面白かったが、面倒になった。職務質問をさた理由を尋ねると、外国人による犯罪が多いからだと言われたが、人種差別を隠す言い訳にしか聞こえなかった。様々な国の人に出会ううち、世界が狭くなってきたと感じる。人との出会いを大切にすることが大事。警官が外国人を誤解するのは出会う機会が少ないからという可能性がある。ノーベル平和賞受賞者の言葉「世界平和の前に人々の協力が必要。協力の前に人々の出会いが必要。」を引用。平和は世界の人々の交流を基盤として実現する。交流とは単なる関わり合いではなく、精神的なつながり育てること。

MANAL NIZAM 
Wayne State University 
一番の名作

平家物語について。源氏が平家を激戦で倒した後、平家物語を坊様が歌い始め、今、人々は物語を読んだり能楽を見たりできる。私は、日本の歴史の授業で英訳を読むだけにした。

『仏教の原理があるし、強い武士がいるし、平家物語は世界の物語の中で一番の名作です。』諸行無常について説明している。陸から遠い船の上の扇子に矢を貫通した武士がいる。日本語の平家物語と古典文学を読もうと思っている。

KATIE PENVOSE  (3位) 
Michigan State University 
コミュニケーションの大切さ

日本へ行く前の私は、日本語の授業で日本語を話すチャンスがあってもあまり利用しなかった。すぐに英語を使っていた。去年東京の日本語学校に留学した。クラスメートで英語を話せる人が少なく、先生たちも英語が話せないので日本語を使わなけばならず、“間違っても正確でなくも言う”というモットーを作った。コミュニケーションが大切。間違いを恐れていたら、いつまでも上手に話せない。『外国語の勉強は文法や単語を覚えるのみならず、コミュニケーションも大切にすることだと思う』

JAMES RUTKOWSKI (1位) 
Eastern Michigan University 
カプセルホテル

  「宇宙船のカプセルみたいです!」とあるテレビ番組が言っていました。しかし、それは大きな嘘です。カプセルホテルは、宇宙船からほど遠いものでした。逆に、犬小屋みたいだと思いました。私は二回カプセルホテルに泊まりましたが、二度と泊まりたくありません。今日は、それがなぜかということについてお話したいと思います。

  カプセルホテルの特徴は安さのはずです。 お金があまりないので、私にとっては、料金は重要なポイントでした。料金は二千六百円。ビジネスホテルに比べると、カプセルホテルのほうが安いのですが、 ビジネスホテルの部屋は自分のトイレとシャワーがついています。私にとって、他の人と一緒にお風呂に入ることは考えられません。家族とでもいやです。だから、ビジネスホテルのトイレつき料金はカプセルホテルより「まだ、まし。」ということになります。

  カプセルホテルはまだまだ悪い点があります。まずは狭さです。私は旅行する時、いつもバックパックで移動します。バックパックに服、コンピューター、おみやげなどを入れると、大きくて、重くなります。ホテルにロッカーがあって、持っている物を入れられますが、私のバックパックは大き過ぎたので、 バックパックと一緒にカプセルの中で寝ました。

  もう一つの悪い点はテレビです。泊まり客はヘッドホンを使ったらいいのですが、ヘッドホンを使わなかったら、他のカプセルにテレビの音が漏れてしまいます。私の場合も例外ではなく、隣のおじさんは夜遅くまで、女性の怪しげな声のする番組をずっと見ていました。

  他には、上と下のカプセルがあって、下のカプセルはまだいいのですが、上のカプセルはちょっと背が高すぎて入りにくいです。私の下のカプセルの人は、はずかしげもなく、おならをブリブリとしていたのを今でも鮮明に覚えています。

  いうまでもなく、悪い点はまだまだあります。でも、色々な問題はそこで働いている従業員のせいではなくて、そこに泊まっているお客さんのマナーの悪さからくるものなのだと思います。

  わたしは、いつしか「迷惑なお客さんって、どんな人なんだろう?」と考え始めるようになりました。ある調査によると、終電を逃すと10%の人はホテルに泊まるそうです。カプセルホテルは予約せずに泊まれるので、便利なのでしょう。では、なぜ終電を逃すのでしょうか?インターネットで調べてみると、カプセルホテルに泊まった人のうち、「飲み過ぎた」「タクシーで帰るには遅すぎる」という理由が多かったです。だから、カプセルホテルに泊まる人が酔っている可能性はかなり高いのです。それに、珍しい場合ですが、カプセルホテルに住んでいる人もいます。

  また、普通は、カプセルホテルは男性客だけです。なぜかというと、カプセルは鍵がかけられないからです。最近、女性もカプセルホテルに泊まれますが、別のフロアになっています。

  さて、文句ばかり言っていると、カプセルホテルで働いている人達に失礼だと思いますので、良いことも少し述べたいと思います。カプセルホテルは、交通のアクセスがいい場所に建てられているため、例えば、地方から就活でやってくるお金のない学生にとっては、絶好の宿泊施設です。また、施設によっては、大浴場やサウナなどもついていて、ビジネスホテル顔負けの所もあるようです。私はそれには興味はありませんが、日本のサラリーマンにとっては、魅力なのだと思います。

  さて、私のカプセルホテルの経験はあまりよくないものでしたが、その経験について話すのは、どんなことよりも楽しいものです。ただ、納豆を食べるのと同じように、経験は一回で十分だと思います。 ですから、皆さんも、是非「一回だけ」お試し下さい。

  どうもご清聴ありがとうございました。

DEV SOMGHAL
Oakland University 
私が日本語を勉強したい理由

去年の秋、最初の日本語クラスを取った。難しかったが、難しいからこそ日本語を学ぶのが好き。漢字や文法は私には簡単。難しい部分は話すこと。挑戦することが好きなので、良い会話をした時、達成感を感じる。私の目的はいつか日本に行って日本人と話せるようになること。

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