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  『おかあさんといっしょ』の第15代 ‘歌のお姉さん’

   デイライト・セービング・タイムに変わった3月8日、寒さが緩み明るい陽射しに恵まれた午後、森みゆきさんによるコンサートがノバイミドルスクールにおいて催された。

   みゆきさんはNHK子供番組『おかあさんといっしょ』の第15代‘歌のお姉さん’として1983年にデビュー。結婚を機に1999年よりミシガン州に在住し、日本とアメリカで、音楽活動のほか、豊かな経験や見聞をもとに、講演や執筆など幅広く活躍を続けている。2007年、ライフワークの一つとして「日本の歌を通して美しい日本語や日本文化を習得し、チームワークの貴さを学べるように」と、ユースを対象としたミュージックパフォーマンスグループ‘Dream Singers(以下D.S.)’を発足した。毎年メンバーを募集し、自ら指導にあたっている。技術習得だけでなく、パフォーマーとしての意識、仲間との協調を大切にしている。D.S.は、コミュニティーイベント、インターナショナル子供フェスティバルなどに参加し、国際交流、文化紹介の担い手としても活躍。今年のメンバーは8期生にあたる。

   D.S.の活動のなかでも大きなゴールである年に一度の“Miyuki Mori Concert with Dream Singers” は今年で7回目を迎えた。今回の“ひなまつりコンサート”は、「ともだちっていいね」がテーマ。友達の大切さを感じる曲を中心にしたプログラムが組まれ、ほのぼの感があふれるコンサートとなった。

   過去にも共演してきた音楽友達として、邦楽グループ『雅』、そしてピアノ伴奏に加藤乃扶子さん、デュエットパートナーとして近藤まりなさんを迎え、温かさと豊かさを添えた。

  舞台は、みゆきさんのソロによる日本の名曲「浜辺の歌」のしっとりとした歌声で開幕。「ザ・日本、という感じで始まりましたので、品よく・・・こんにちは!」とのユーモアを交えた挨拶に観客が応え、一体感のあるコンサートがスタートした。『雅』のお二方の琴の音とD.S.の愛らしい声が加わった「うれしいひな祭り」が流れ、会場は懐かしい日本の雰囲気に包まれた。

   『おかあさんと一緒』で培った温かいトークと参加型の演目など、ライブならではの演出がみゆきさんのコンサートの特色だが、さっそく観客を「うれしいひな祭り」の一番の歌詞で童謡「うさぎとかめ」「線路は続くよどこまでも」の替え歌を歌ったり、隣の人と握手する動きをつける遊びに誘いこんだ。

   アメリカで大ヒットしたフォークソング「Puff the Magic Dragon」には優雅な琴の伴奏がつき、日本語と英語の歌詞両方で優しく歌い上げた。和洋合わさった趣ある演奏に、幼い子供も夢見るように聴き入っていた。

  一変して、チェックのスカートに白いブラウスとネクタイという制服っぽい衣装が初々しさを放つD.S.が「歌えバンバン」をボディパーカッションを加えて元気はつらつと歌唱。間を空けずに、みゆきさんのソロ、D.S.のユニットなど、形態を変えて日本の童謡やポピュラーな歌謡曲が続いた。

   「縦の糸(あなた)と横の糸(私)が織りなす布が、いつか誰かを温め得るかもしれない」との共感的な歌詞の「糸(中島みゆき作)」の演奏は、みゆきさんのピアノの弾き語りと、みゆきさんと幼いころから既知の仲で、音楽スクールに通いつつ歌唱活動をしている近藤まりなさんとのデュエットで届けられた。二人が織りなしたハーモニーは、多くの人の心を温めたことであろう。

  D.S.のメンバーは英語と日本語で曲紹介やソロもこなし、異文化の中でたくましく自己表現の力を伸ばしていることが窺えた。年少のメンバーが手を取り合って歌った「たいせつなともだち」では、

「二人だと心が温かい。君と一緒ならもっと勇気をもてる」との歌詞と、ひたむきで愛くるしい姿が、聴く人の涙を誘った。

  後半はD.S.メンバーの一人による切れの良い和太鼓演奏でスタート。ハッピ姿のD.S.による「南中ソーラン節」の元気いっぱいな踊りで会場は祭りムードに盛り上がった。

  「サウンドオブミュージック」のモデルとなった実在のトラップファミリーとの、みゆきさん自身の交流話のあと、恒例となった「ドレミのうた」の即席替え歌づくりに観客と共にチャレンジした。

   そしてまた穏やかなムードに一転。みゆきさんが愛娘とD.S.の子供たちを見ていて「こんな風に育ってくれたら嬉しいなという気持ちを歌にしたい」との思いで作詞作曲した「さくらの子」を熱唱。終盤は、東日本大震災の復興ソング「花は咲く」の他、「いじめや孤独感に負けないで、自分自身を信じて生き、自分の人生を好きになって」という思いが込められた「LOVE YOUR LIFE(森みゆき作詞作曲)」など、人生応援ソングが続いた。

   プログラムの最後。「アメリカにいればこそ、より友達の大切さを感じる。親族がそばにいないので友達が家族のように思えるのでは・・」との、みゆきさんの心からの声を前置きに、みゆきさん作詞作曲による「See you again Smile again…」で穏やかな空気が漂うなか、再会を祈る思いを余韻に残して幕が閉じた。

「ともだちっていいね」

みゆきさんよりメッセージ

  このアメリカに駐在や永住という形で過ごしている日本人の子供たちにとって「ともだち」という存在は、言葉の面はもちろん、様々な精神面での影響を大きく受けるに違いないと感じます。今時の子供たち同士の接し方を見ていると、子供自身が本来持っている本質的ものは何も昔と変わらないのかもしれませんが、社会的環境が大きく変化したために、ケンカしたり仲直りしたりという場面も素朴さ(素直さ)が乏しくなり、言いたいこともうまく言えない子、相手の気持ちを考えずに自分の主張だけを強く言ってしまう子、頭では理解していても行動に出せない子、様々な問題を抱えている子が多くなっているように感じます。何か物がないと遊ぶアイディアも出にくい様子や、目と目を見ながら会話することもうまく出来ない子供も見かけます。

  子供たちは子供たち同士、いつの間にか仲良く遊んでいることも多いのですが、友達との接し方、友達がいてくれるおかげでという気持ちがあれば、思いやりや協調性も自然に身についてくるのではないでしょうか。私たち大人は、子供たちの様子を見守りながら友達の尊さを教えてあげたいとも思います。そのためには、まず私達大人が友達の存在を大切に想う気持ちや姿を見せてあげることも重要かもしれませんね。