毎年分かり切った事とは言え、一年で一番短い月である2月は今年もあっと言う間に過ぎてしまいました。3月に入ったと言うのに、ミシガンのこの寒さは一体何なんでしょうね。テレビのニュース報道によれば、史上2番目に気温が低い2月であったとのこと。ナイアガラの滝が水量の少ないアメリカ側や多いカナダ側でも滝つぼの少し下流辺りが氷結している映像も流れましたが、珍しい光景に結構観光客が喜んでいましたね。五大湖の湖面も85%程結氷し、カナダに向かって航行中の船が立ち往生してしまい、救助船に助け出されたニュースもありました。我家の暖房費も一気に跳ね上がり、直近の請求書を見て一瞬何かの間違いかと思いました。去年に比べて雪が少ないのは幸いですが、ミシガンの身代わり(?)となったボストンを始めとする北東部の都市では過去の降雪記録を破る勢いですね。これ以上大きな被害が出ない事を祈ります。

一方、日本ではプロ野球のキャンプインに続いてオープン戦が始まり、米国では南部の暖かい場所でMLBのトレーニング・キャンプが始まりました。先月号でエールを送った広島東洋カープの黒田投手とマイアミ・マーリンズのイチロー選手もそれぞれ始動し、連日ファンとメディアの注目を集めているようです。特にイチロー選手はこの2~3年やや不振(本人としてはであって並の選手から見れば立派な成績ですが)と不遇に陥っていましたが、新天地のキャンプでは何か吹っ切れた様子で、インタビューのコメントやスナップ写真を見ても明るく弾けた感じです。もうひと月も経たない内にレギュラーシーズン開幕。居座る冬将軍を横目に球春は間違いなく近付いています。二人だけでなく、日本人メジャーリーガー全員を応援したいですね。(トロント・ブルージェイズのムネリンこと川崎選手も変な英語を使う、変な日本人ですが、是非応援してあげて下さい!)

テニス抜きの話でも前書きが長くなってしまいましたが、今回のテーマは『インターネット、SNSの功罪』です。

皆さんも日常的に仕事や私生活でインターネットやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を少なからずお使いになり、その便利さや即時性、臨場感、楽しさ、面白さなどを享受されていらっしゃると思います。遠い所にいる友人、知人と簡単に交信出来たり、特定または不特定多数の人達に同時にまた一瞬にして連絡・通知が出来たり、何か調べたい事、知りたい事を数回のクリックで検索出来たり、広範な知識やプロのような深い専門知識を容易に得られたりと、使い方さえ間違えなければ本当に便利な道具です。これはインターネットとSNSの良い点、『功』に当たりますね。

逆に使い方を間違えると恐ろしい凶器にもなります。これは『罪』に当たる悪い点です。

インターネットやSNSで災害時、緊急時の誤報やデマによる混乱、他人を合理的な論理と事実に基づいて正当に評価、コメントするのではなく、自分の好き嫌いやわがまま、思い込み、勘違いから発信する感情的な批判や誹謗・中傷がその一例です。匿名で自分の正体が相手には分からない事や顔が見えない事をいいことに、深く考えもせずに刹那的で軽薄な表現で相手や当事者はもちろん他の人達が読んでも気分が悪くなるような酷い事を言いたい放題で、怒りや憎しみなどの負の連鎖を撒き散らすものです。

また、皆さんも既にご承知のように、このところテレビやインターネットで連日のようにイスラム教スンニ派過激組織ISIS(通称イスラム国)関連のニュースや記事を報道、掲載していますが、最近西側諸国の10代、20代の若者がインターネットやSNSを介したISISのリクルート案内に誘われて同グループに合流を目指してシリアに向かったとか、向かおうとしていたのを未然に止められたという嫌なニュースが続いてありました。

今のネット時代ならではの出来事ですが、テレビニュースで垣間見たそのリクルート案内は一見まるで豊かな自然に囲まれた保養地か景色の美しい観光地へ誘う旅行案内のような感じでした。それに加えてナレーションやテロップで西側諸国で生活に苦しんでいたり、人生に迷い、希望を失った若者達に「理想の国を一緒に作ろう、世界に広げよう」と甘い言葉で誘いを掛けているのです。ネット社会のネガティブな部分が悪用されているケースですが、民主主義の重要かつ基本的な要諦である言論・思想の自由を守る観点からは、たとえ社会悪であっても簡単に制止や排除が出来ない実情で、今後も同じ様に反ISIS連合諸国から同グループに合流しようとする応募者が出るケースが度々起こるのではないかと危惧するのは私だけではないでしょう。

ハードで直接的な凶器ではなく、ソフトで間接的な手段ですが、冷静な判断能力、自己制御能力がない人達を洗脳、誘導、扇動して結果的に善良で罪のない人達にまでハードで直接的な危害を加える恐ろしい凶器です。狂気の手段でもあります。

明るい『功』の部分と違って、暗い『罪』の部分はテロリストと同様に通常表面に現れ難く、地下に潜伏したり、秘密裏に計画・行動する事が多いため、問題が起こる前に事前に感知して予防策、対応策を取るのが難しい点も極めて厄介です。『功』の部分は削らずに、『罪』の部分をゼロにするのは無理でも何とか最小限まで減らす効果的な方法はないものでしょうか?

その道のプロの英知結集と世界中の善良な人々の団結・協力で是非とも実現したいものです。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。