<!--:en-->挑む~NASCARドライバー 尾形明紀~ 最終回:挑み続ける<!--:--><!--:ja-->挑む~NASCARドライバー 尾形明紀~ 最終回:挑み続ける<!--:-->

2014年11月。尾形の姿はアリゾナ州フェニックスにあった。NASCARのトップカテゴリーであるNational シリーズのひとつ、Camping World Truck Seriesに出場するためだ。NASCARから認められ昇格、このフェニックスでデビューとなったのだ。元F1ドライバーなど世界屈指のドライバーも戦っていたシリーズである。尾形はついにここまで来た。

アメリカでNASCARに挑戦し始めて11年。NASCARというものに出逢ってからは22年が過ぎたことになる。それまで様々な困難を乗り越え、ついにNationalシリーズまで来た。筆者はその過程について半年間取材を続けるなかで、“夢”を実現する、つまり夢を“現実のプラン”に変えて実行していくことの厳しさと、それに打ち克つために必要なことを学んできたように思う。

レースというものは非常に資金がかかるものであり、個人では限界がある。裕福な家庭に育ったドライバーも多いなかで、尾形はごく一般の家庭の出である。

そんな彼がNASCAR Nationalシリーズまで上がってきたという“偉業”は、意思と努力で夢を実現できるということを証明している。彼は言う。「可能性は誰にでもある」。

その可能性を現実に変えるにあたって尾形が何よりも大切にしてきたもの。それはまずなによりも“努力”し続けること。そして“つながり”“信頼”ではないだろうか。

「いろんな人が協力してくれたからここに居られる。そのことを忘れてはいけない。」

彼が言うその言葉は重みが違う。

プロレーサーとして協力や賛同を得るには相当な神経と体力を使う。さらに、そうして得た“つながり”“信頼”を維持するには、それに見合うだけの至誠を尽くし続けなければならない。それをここまで続けることで、彼は今日を迎えることができている。

総じてみれば、尾形は平地に安住せず、切り立った崖を登り続けているかのようにすら思える。そしてその生き様は、Nationalシリーズドライバーとなった今でも、そしてこれからもおそらく変わらない。むしろもっと厳しいものになるかもしれない。ただひとつ言えるのは、彼の強い意思はどんな困難にもひるむことはない、ということ。そしてそれに向かって突き進むことが彼をさらに強くする。それゆえに、普段 人に接するときには“優しさ”“気さくさ”しか表に出ず、日々の困難さを想像させない。そこに多くの人々が惹かれる。“挑む”人生そのものが、彼をここまで磨いてきたのだ。

「まだ道半ば。」

そう、これからも「NASCARドライバー尾形明紀」は歩み続けるのだ。