今年もあと残りわずかとなりましたが、皆様の一年はどのようなものだったでしょうか?一年を振り返ってみると職場、また、プライベートを通して喜怒哀楽の入り交じった様々な出来事があり、それに伴う様々な心の声が聞こえたのではないでしょうか。

目標・目的から外れないように自分をうまく導いてくれる心の声が聞こえたこともあれば、自分のやる気をそいだり、恐怖を高まらせる心の声が聞こえたりすることもあったであろうし、また、不安や頭痛の種となる心の声が付きまとい眠れない夜が続いたこともあったのではないでしょうか。

今年一年を振り返り、そんな心の声にいつも付き合っている自分の心をいたわってあげたことはありましたか?「あ~、疲れた~」と足を休めるのに度々コーヒーブレイクをとりますよね。そんな風に心にも休憩をとってあげることは私達のメンタルヘルスにとりとても大切です。しかし、私達の多くが身体に休憩を与えることはあったけれど、心をいたわってあげることはなかったという一年ではなかったでしょうか。今回は、そんな心にコーヒーブレイクをというテーマでお話しましょう。

私達の心というのは良いことも悪いこともすべて起こったこと、感じたことを記録保管していくコンピューターのハードディスクのようなものです。ゆえに、私達の心の中というのはありとあらゆえる思考がインターネットのポップアップ広告のように、常にふつふつと浮かびあがるのが通常の状態ですが、時として、心の声のボリュームが大きすぎて、耳を塞ぎたくなることがあったり、心の声と会話を続ければ続けるほど、心の中にどんどんイライラ感が募ったり、心が沈んでいくのを感じたことはないでしょうか。

心の声というのは私達の意識下で発生するゆえ、それらの心の声を消し去ってしまう、または、注意を払わないということも無理難題です。なぜなら、心の声というのはやっかいで全く取り合わなければ、その量が倍になって自分に戻ってきてしまう仕組みになっているからです。でも、もしそんな心の声を自分で制御できる方法があれば、心がほっと一息つける時間を作ってあげられるのではないかと思いませんか?近年、アメリカでそんな心の声を制御する方法のひとつとしての〝マインドフルネス″というのがとても効果的だといわれています。

このマインドフルネスとは〝あるがまま″を精髄にし、一期一会、和敬清寂などの観念が織り込まれた日本人に馴染みの深い禅の教えをもとに形成されています。簡単にマインドフルネスとはどのようなものであるのかとまとめると、注意散漫になる私達の心を現在に意識を戻し、その現実、また、それに対する思考や感情をあるがままに受容し、心の安定性を高めてくれるというものです。この一行文を読んだだけではマインドフルネスが何かということはわかりにくいですよね。この文章を順に追ってマインドフルネスとは何か詳しく説明していきましょう。

誰かと会話中に返事を求められ、はっと我に返ることがあったり、仕事場まで無事に着いたけれど、家の車庫から車を出た後の記憶が全くないという経験が皆あるのではないでしょうか。こんな風に私達皆、物思いにふけたり、何かに没頭しすぎてしまい心ここにあらずということがあるものです。私達の多くが心がわさわさ、ざわざわした状態が続き、大切な今に心がないことが多く、大切な今を見逃してしまっていることが多いものです。マインドフルネスはそんな迷子になりがちな私達の心を今に戻し、一瞬一瞬過ぎ去るこの瞬間に心が集中できるよう私達の心をトレーニングしてくれます。

しかし、マインドフルネスは心の声を無視するということではありません。逆にしっかり今自分がどんなことを思い、感じているのかなどそっくりそのまま受け止めてあげるということです。この〝あるがままに受容″とは、心の中に様々な心の声が流れていく様子をそのまま観察するということです。子供の頃、ボーっとしながら青空の中で流れていく雲を見ていたことはありませんか?それと似ている感じです。マインドフルネスとは自分の心の中に起こるすべての心の声をしっかり思いやりを持って聴いてあげるということです。私達誰もが自分の話を誰も聴いてくれなかったら、理解してくれなかったら、とても悲しい気持ちになりますよね。自分の心の声にも同じような思いやりを持つことが必要です。

また一方、私達の心というのは、シンプルに話を〝聴く″ということがとても苦手で、常に物事を「あーだーこーだ」と抑制、分析、評価、批評する傾向にあります。マインドフルネスはそんな心に自分が体験するあらゆることに注意を向けつつも、いっさいの解釈や判断をしないで、注意深く観察するということを教えてくれます。人間の心というのは何事においてもその意味を探し求めたがるものです。特に、つじつまが合わないことや悲惨なことが起こるとどうしても心が不安になってしまい、「あーでもない、こーでもない」と分析、批評を続けてしまうものです。しかし、そんな風に心が心の声に固視した状態を続けてしまうと心がどんどん緊迫し、慢性的な心の健康問題を引き起こしてしまうことにもなりかねません。

残念なことに人生には納得のいかないことや不幸なことが起こるものです。そんな時もその不安な心の声から逃げるのではなく、また、その声に対して、何かをしようというのではなく、あるがままに受けとめ、思いやりを持って自分の心の声に耳を傾けてあげることは私達の心の健康にとりとても大切です。マインドフルネスはつい曇りがちな心の目を今に向け、大きく見開いてくれます。私達の心の安定を保つひとつの方法として、マインドフルネスの心の健康エクササイズに取り組んでみられるのもよいのではないでしょうか。

“Yesterday is history, tomorrow is a mystery, but today is a gift… that’s why they call it the present”というEleanor Rooseveltの言葉があります。あいにく、人間には過去を変えることもこれから起こりうることを確実に予想する力もありません。私達の人生とは今この瞬間しかありません。私達にできることは今自分に起こっている何事かに対し、どのように対処していくかということではないでしょうか。また、今に意識を向けることにより、明瞭な思考力や決断力も引き出され、常に充実した人生を送れるというものではないでしょうか。「もうすぐ今年も終わりか~」と思うといろいろな意味で心に焦りを感じる時期です。そんな時は、意識的に心を今に戻してあげてみてはいかがでしょうか。

寒気がいよいよ厳しく、年の瀬も押し迫ってまいりましたが、皆様にとり、心静かなピースフルな年末年始でありますように。今年一年、お付き合いいただき、ありがとうございました。

こあきバイヤーズドルフ

Lifescape Counseling LLC のオーナー、メンタルヘルスカウンセラー、クロスカルチャーコンサルタント。日本語にて様々な心のケアサービスを提供。

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