<!--:en-->アメリカ教育事情Ⅲ<!--:--><!--:ja-->アメリカ教育事情Ⅲ<!--:--> 2

by Veronica Ichikawa, PhD

  今まで2回に亘り、米国の教育事情を御紹介してきました。今月は、その中でも日本人に縁の深い、ユニークな学校、クロンララ・スクール(Clonlara School)についてのレポートをお送りします。

1.クロンララ校の教育理念

  クロンララ校は1969年、フリー・スクールやオータナティヴ教育等の理念を基本にミシガン州アナーバーで創立されました。当初は民家の一角を借りた保育園に過ぎなかったのですが、現在はキャンパス・プログラム(通学生用プログラム)とホームスクーリング・プログラムに、1000人を超える生徒が登録をしています。ホームスクーリング(Home‐ Based Education, HBED)の生徒はヨーロッパ、アジア等、文字通り世界中に分布しており、スペイン、ドイツ、ハンガリーには、いわば分校ともいえる事務局があって、各々の言語で学習が出来るよう、各国の教員が配置されています。

  ホームスクール、キャンパス校、共に、生徒達が各々の興味や情熱のおもむくまま、自由に教材や学習方法(on‐line、個人教授、近隣のコミュニティー・カレッジ等で単位を取る等々)を選択することが奨励されています。ミシガン州認定の私立校ゆえ、卒業の為に取得すべき学科や単位数は定められていますが、その枠内での自由が無限に用意されているという学校です。

2.生徒の多様性

  幼稚園(Kindergarten)から12年生まで、現在70人近くがキャンパスに通学しています。校長の御子息もクロンララの卒業生で、彼の唯一の興味は「ガラス工芸」。(筆者は浅学の身なので)日本語で何と呼称するのか分かりませんが、ストロー状の筒から息を吹き込んで花瓶やら置物などを製作するその過程に心を奪われて、他の教科は全く興味なし・・・という状況であったので、クロンララに転校させたのだそうです。彼のカリキュラムといえば、①英語…ガラス工芸関係の文献を読んでまとめる、詩を書く ②社会…ガラス工芸の歴史や発祥地の地理を学ぶ ③サイエンス…ガラスや金属の熱の伝導について学ぶ ④自由選択科目…ひたすら製作に励む 等という具合で、少なくとも半日はガラス工芸に没頭する高校生活を送りました。

  気になるのは卒業後の動向ですが、美術系の大学にアプリケーションを提出した際は、その意欲と知識を買われ、すんなり入学を許可されたばかりか、飛び級を許可されて、二年生として入学したのだそうです。

学問系では中学生でありながら、大学の教科書を使って日がな一日、数学の問題を解いている生徒がいたり、自分の知っているヴォキャブラリーを集めてスペイン語の辞書を編纂する生徒が居たり・・等々、その多様性には驚かされます。

  ホームスクール生に至っては、多様性は更に広がっており、いわゆるプロフェッショナル・チルドレンとして、俳優やモデル、スケート、バイオリン、バレエなどをなりわいとする生徒たちが多く在籍しています。その対極には、ADHD(注意欠如・多動性障害)、LD(学習障害)、高機能自閉症、不登校、ウツ等で従来の学校制度にうまく適応出来ないため、クロンララを選択した生徒のグループがあります。新学期が始まり、一、二カ月すると様々な問題が顕在化してくるので、毎年11月から1月ごろはクロンララへの転校生が急増するのだそうです。

3. 日本人にとってのクロンララ

  以上に述べたような多様性、自由度ゆえに、筆者はこれまで何人か、不適応に苦しむ日本人の生徒をクロンララに御紹介してきました。御両親や一般の方々からの御質問も多いので、主なケースを整理してみました。

①ケース1:10年生女子(A子)

  中学3年生(9年生)で渡米。頑張り屋で、語学のハンディキャップにもめげず、現地校でも好成績を維持。教師からは“Excellent student”の評価を得ている。このまま現地の高校を卒業し、帰国子女枠で日本のトップ国立大を受験する予定でいたが、急に帰国が決まり計画が頓挫してしまった。アメリカに一人残って高校を卒業したいと思っているが叶わず、家で泣き暮らしている。勉強にも身が入らなくなって、親との葛藤が絶えない状況である。

➡ クロンララのホーム・スクーリング・プログラムに登録して帰国。日本の高校に在籍しながら、米国の高校卒業資格を得ることが出来た。ホーム・スクーリングの学習内容は本人に任されているので、日本の高校での単位(数学、国語、英語、etc.)をそのままクロンララに移行。二重に勉強する負担はなかった。アメリカから教科書を取り寄せて、大好きな世界史だけは英語で読み、自由研究として立派なレポートを提出した。外国高校卒業者の資格を使っていくつかの日本の大学を受験。試しにアメリカの大学にも応募してみたところ、アイビー・リーグに合格。東大よりも、米国の一流大学で学びたいという気持ちが芽生えてきたので、現在は留学生として渡米。御両親もとても喜んでいられるとのこと。

②ケース2.11年生男子(B君)

  中学2年生(8年生)で渡米。日本にいた頃から学習意欲に欠け、成績は常に低空飛行を続けていた。既に3年以上アメリカに滞在しているがESLを終了できず、日常会話もおぼつかない。学校ではお客さん状態で、欠席が多い。あと一年で帰国予定だが、高校の成績は体育も含めて大半がDであり、両親はパニック状態。本人はすっかり諦めムードに陥っていて本腰が上がらない。ウツ気味ではあるが、ウツ病と診断がつく程の症状は呈していない。

➡ クロンララのキャンパス・プログラムを御紹介したが、御両親が難色を示した。アナーバーへの送り迎えが難しい、私立校の授業料を払うゆとりが無い、地元の公立高校を卒業すべきである、等々の意向が呈示されたので、在籍している現地校とクロンララのホームスクーリングとの二重登録(Dural enrollment)となった。現地校で落とした科目(数学、英語、化学、歴史、体育etc.)をクロンララで取り、現地校に再び移行して単位を認めてもらうという作戦である。現地校側と交渉成立。夏休みも、ひたすら単位取得に励んでもらった。クロンララでは各教科に費やす時間数を全て換算してくれるので、家庭教師や補習校での時間が有効に生かされた。化学や歴史は学習漫画を読んで要旨をまとめてパス。数学は家庭教師に全任したが、数学史の漫画も読んでもらい、時間数をかせいだ。(ちなみにこれらの教材は大半が日本語である。筆者が指導者として登録し採点を行なったが、本人の意欲の上昇とがんばりぶりにエールを送る意味で評価は勿論Aである)。単位数があまりに不足していたため、6月の卒業には残念ながら間に合わなかったが、12月には無事卒業を果たした。関西にある私立大学に入学を果たし(帰国子女枠)クラブ活動に熱中、面白おかしくやっていたが、将来は「教師になりたい」と思い始め、再び学習意欲に燃えている由。

追記:1)クロンララに対する筆者の懸念は、いわゆる情緒障害(EI, Emotionally Impaired)の生徒をほぼ無条件に受け入れる一方で、特殊教育(special education)専門の教師が常駐していないことにあった。公立校であれば、スピーチ専門、療育専門のチームが教育にあたるので、筆者がこれまでクロンララに御紹介してきたのは、Special Educationに相当する生徒ではなく、主に適応障害と思われる子供達である。しかし、この点に配慮して、現在は、公立校のspecial educationのチームとタイアップしている由。

2)クロンララは現在、外国人向けにESLの特別プログラムを準備している。このプログラムは地元の英語学校から教師を招へいし、一年間インテンシヴに、一対一で一般教科(数学、社会、サイエンスetc.)を習得させる目的で作られた。これらの単位はそのままクロンララの卒業単位として認められるが、他校に転校した場合でも「ESL」ではなく一般教科として認定される点が魅力といえる。外国人留学生も広く募集しており、地元アナーバーの家庭にホームステイして一年間、英語及び一般教科の勉強をすることが出来る。 (ウェブ:www.clonlara.org)

まとめ

読者には、ケース①よりも②のサクセス・ストーリーに注目して頂きたいと思います。B君はお父様が非常に真面目なエリートでいらしたので、「(クロンララの)こんないい加減な教育で世の中は通らない」「楽してAを取るなんぞ、けしからん」と

一時は大変な御立腹であったと聞いています。しかしB君は知能には何ら問題がなく、むしろ高知能の領域に属しているのですが、言語性の学習障害(verbally processing learning disability)を持っていたため、教師の話を聞いてノートを取り、暗記し、筆記試験でout putを出すという作業が著しく困難でした。こればB君の怠け癖が「原因」ではなく、やる気のなさは、「努力しても出来ない」という厳然たる事実に対する「結果」だったと思います。心理学ではこれを“learned helplessness (獲得された無力感) ”と呼んでいます。

  このまま従来の学校教育の枠内にいればB君はおそらく高校中退、引きこもりの道を辿っていたことだろうと思います。人生の最初でつまづいて足踏みをするよりは、自分にとって負担の少ない手段を選んで、とにもかくにも次の目的地に前進すべきではないか――というのが筆者の意見です。次の中継地点にたどりついたとき、自分の知識や技術の不足に気づけば、そこで補充すればよいだけのことです。意欲さえ失っていなければ、そしてそこで、たぎるほどの情熱と健康さえあれば、敗者復活戦が可能です。筆者はB君が最終ゴールとして教師の道を選んだことに、号泣したいほどの感動を覚えました。やさしいやさしいB君。将来は、苦しんでいる子供達を救い、彼等の人生を変える救世主になるであろうことを信じています。B君、この記事を書くことを許可してくれてありがとう。あなたの幸せを常に祈り応援しています。

<イチカワ ヴェロニカ先生略歴>

お茶の水女子大学卒業後、ミシガン大学で博士号(心理学)を取得。その後、パシフィック・クリニック(L.A.)にてインターンを修了し、UCLAメディカル・センターにて臨床心理学及び行動医学のフェローシップ、及びミシガン大学付属メディカル・センターにて小児神経心理学フェローシップを修了。その後、ポンティアック州立ミシガン大学病院で診察にあたる。現在は各地の介護施設や病院などで精神鑑定及び心理療法の仕事を行っている。同時に、ノバイとアナーバーで専門医として個人開業もしている。

お願い:心理テスト、飲酒運転者の為の法廷指定カウンセリング、心理療法、教育相談など、従来通り行なっておりますが、留守電が聞き取れないことがあります。返答が無い場合は、もう一度おかけになるか、Eメールで御連絡下さい。

Tel:734-484-6911又は734-657-8220

vichikawadillon@comcast.net

by Veronica Ichikawa, PhD

  今まで2回に亘り、米国の教育事情を御紹介してきました。今月は、その中でも日本人に縁の深い、ユニークな学校、クロンララ・スクール(Clonlara School)についてのレポートをお送りします。

1.クロンララ校の教育理念

  クロンララ校は1969年、フリー・スクールやオータナティヴ教育等の理念を基本にミシガン州アナーバーで創立されました。当初は民家の一角を借りた保育園に過ぎなかったのですが、現在はキャンパス・プログラム(通学生用プログラム)とホームスクーリング・プログラムに、1000人を超える生徒が登録をしています。ホームスクーリング(Home‐ Based Education, HBED)の生徒はヨーロッパ、アジア等、文字通り世界中に分布しており、スペイン、ドイツ、ハンガリーには、いわば分校ともいえる事務局があって、各々の言語で学習が出来るよう、各国の教員が配置されています。

  ホームスクール、キャンパス校、共に、生徒達が各々の興味や情熱のおもむくまま、自由に教材や学習方法(on‐line、個人教授、近隣のコミュニティー・カレッジ等で単位を取る等々)を選択することが奨励されています。ミシガン州認定の私立校ゆえ、卒業の為に取得すべき学科や単位数は定められていますが、その枠内での自由が無限に用意されているという学校です。

2.生徒の多様性

  幼稚園(Kindergarten)から12年生まで、現在70人近くがキャンパスに通学しています。校長の御子息もクロンララの卒業生で、彼の唯一の興味は「ガラス工芸」。(筆者は浅学の身なので)日本語で何と呼称するのか分かりませんが、ストロー状の筒から息を吹き込んで花瓶やら置物などを製作するその過程に心を奪われて、他の教科は全く興味なし・・・という状況であったので、クロンララに転校させたのだそうです。彼のカリキュラムといえば、①英語…ガラス工芸関係の文献を読んでまとめる、詩を書く ②社会…ガラス工芸の歴史や発祥地の地理を学ぶ ③サイエンス…ガラスや金属の熱の伝導について学ぶ ④自由選択科目…ひたすら製作に励む 等という具合で、少なくとも半日はガラス工芸に没頭する高校生活を送りました。

  気になるのは卒業後の動向ですが、美術系の大学にアプリケーションを提出した際は、その意欲と知識を買われ、すんなり入学を許可されたばかりか、飛び級を許可されて、二年生として入学したのだそうです。

学問系では中学生でありながら、大学の教科書を使って日がな一日、数学の問題を解いている生徒がいたり、自分の知っているヴォキャブラリーを集めてスペイン語の辞書を編纂する生徒が居たり・・等々、その多様性には驚かされます。

  ホームスクール生に至っては、多様性は更に広がっており、いわゆるプロフェッショナル・チルドレンとして、俳優やモデル、スケート、バイオリン、バレエなどをなりわいとする生徒たちが多く在籍しています。その対極には、ADHD(注意欠如・多動性障害)、LD(学習障害)、高機能自閉症、不登校、ウツ等で従来の学校制度にうまく適応出来ないため、クロンララを選択した生徒のグループがあります。新学期が始まり、一、二カ月すると様々な問題が顕在化してくるので、毎年11月から1月ごろはクロンララへの転校生が急増するのだそうです。

3. 日本人にとってのクロンララ

  以上に述べたような多様性、自由度ゆえに、筆者はこれまで何人か、不適応に苦しむ日本人の生徒をクロンララに御紹介してきました。御両親や一般の方々からの御質問も多いので、主なケースを整理してみました。

①ケース1:10年生女子(A子)

  中学3年生(9年生)で渡米。頑張り屋で、語学のハンディキャップにもめげず、現地校でも好成績を維持。教師からは“Excellent student”の評価を得ている。このまま現地の高校を卒業し、帰国子女枠で日本のトップ国立大を受験する予定でいたが、急に帰国が決まり計画が頓挫してしまった。アメリカに一人残って高校を卒業したいと思っているが叶わず、家で泣き暮らしている。勉強にも身が入らなくなって、親との葛藤が絶えない状況である。

➡ クロンララのホーム・スクーリング・プログラムに登録して帰国。日本の高校に在籍しながら、米国の高校卒業資格を得ることが出来た。ホーム・スクーリングの学習内容は本人に任されているので、日本の高校での単位(数学、国語、英語、etc.)をそのままクロンララに移行。二重に勉強する負担はなかった。アメリカから教科書を取り寄せて、大好きな世界史だけは英語で読み、自由研究として立派なレポートを提出した。外国高校卒業者の資格を使っていくつかの日本の大学を受験。試しにアメリカの大学にも応募してみたところ、アイビー・リーグに合格。東大よりも、米国の一流大学で学びたいという気持ちが芽生えてきたので、現在は留学生として渡米。御両親もとても喜んでいられるとのこと。

②ケース2.11年生男子(B君)

  中学2年生(8年生)で渡米。日本にいた頃から学習意欲に欠け、成績は常に低空飛行を続けていた。既に3年以上アメリカに滞在しているがESLを終了できず、日常会話もおぼつかない。学校ではお客さん状態で、欠席が多い。あと一年で帰国予定だが、高校の成績は体育も含めて大半がDであり、両親はパニック状態。本人はすっかり諦めムードに陥っていて本腰が上がらない。ウツ気味ではあるが、ウツ病と診断がつく程の症状は呈していない。

➡ クロンララのキャンパス・プログラムを御紹介したが、御両親が難色を示した。アナーバーへの送り迎えが難しい、私立校の授業料を払うゆとりが無い、地元の公立高校を卒業すべきである、等々の意向が呈示されたので、在籍している現地校とクロンララのホームスクーリングとの二重登録(Dural enrollment)となった。現地校で落とした科目(数学、英語、化学、歴史、体育etc.)をクロンララで取り、現地校に再び移行して単位を認めてもらうという作戦である。現地校側と交渉成立。夏休みも、ひたすら単位取得に励んでもらった。クロンララでは各教科に費やす時間数を全て換算してくれるので、家庭教師や補習校での時間が有効に生かされた。化学や歴史は学習漫画を読んで要旨をまとめてパス。数学は家庭教師に全任したが、数学史の漫画も読んでもらい、時間数をかせいだ。(ちなみにこれらの教材は大半が日本語である。筆者が指導者として登録し採点を行なったが、本人の意欲の上昇とがんばりぶりにエールを送る意味で評価は勿論Aである)。単位数があまりに不足していたため、6月の卒業には残念ながら間に合わなかったが、12月には無事卒業を果たした。関西にある私立大学に入学を果たし(帰国子女枠)クラブ活動に熱中、面白おかしくやっていたが、将来は「教師になりたい」と思い始め、再び学習意欲に燃えている由。

追記:1)クロンララに対する筆者の懸念は、いわゆる情緒障害(EI, Emotionally Impaired)の生徒をほぼ無条件に受け入れる一方で、特殊教育(special education)専門の教師が常駐していないことにあった。公立校であれば、スピーチ専門、療育専門のチームが教育にあたるので、筆者がこれまでクロンララに御紹介してきたのは、Special Educationに相当する生徒ではなく、主に適応障害と思われる子供達である。しかし、この点に配慮して、現在は、公立校のspecial educationのチームとタイアップしている由。

2)クロンララは現在、外国人向けにESLの特別プログラムを準備している。このプログラムは地元の英語学校から教師を招へいし、一年間インテンシヴに、一対一で一般教科(数学、社会、サイエンスetc.)を習得させる目的で作られた。これらの単位はそのままクロンララの卒業単位として認められるが、他校に転校した場合でも「ESL」ではなく一般教科として認定される点が魅力といえる。外国人留学生も広く募集しており、地元アナーバーの家庭にホームステイして一年間、英語及び一般教科の勉強をすることが出来る。 (ウェブ:www.clonlara.org)

まとめ

読者には、ケース①よりも②のサクセス・ストーリーに注目して頂きたいと思います。B君はお父様が非常に真面目なエリートでいらしたので、「(クロンララの)こんないい加減な教育で世の中は通らない」「楽してAを取るなんぞ、けしからん」と

一時は大変な御立腹であったと聞いています。しかしB君は知能には何ら問題がなく、むしろ高知能の領域に属しているのですが、言語性の学習障害(verbally processing learning disability)を持っていたため、教師の話を聞いてノートを取り、暗記し、筆記試験でout putを出すという作業が著しく困難でした。こればB君の怠け癖が「原因」ではなく、やる気のなさは、「努力しても出来ない」という厳然たる事実に対する「結果」だったと思います。心理学ではこれを“learned helplessness (獲得された無力感) ”と呼んでいます。

  このまま従来の学校教育の枠内にいればB君はおそらく高校中退、引きこもりの道を辿っていたことだろうと思います。人生の最初でつまづいて足踏みをするよりは、自分にとって負担の少ない手段を選んで、とにもかくにも次の目的地に前進すべきではないか――というのが筆者の意見です。次の中継地点にたどりついたとき、自分の知識や技術の不足に気づけば、そこで補充すればよいだけのことです。意欲さえ失っていなければ、そしてそこで、たぎるほどの情熱と健康さえあれば、敗者復活戦が可能です。筆者はB君が最終ゴールとして教師の道を選んだことに、号泣したいほどの感動を覚えました。やさしいやさしいB君。将来は、苦しんでいる子供達を救い、彼等の人生を変える救世主になるであろうことを信じています。B君、この記事を書くことを許可してくれてありがとう。あなたの幸せを常に祈り応援しています。

<イチカワ ヴェロニカ先生略歴>

お茶の水女子大学卒業後、ミシガン大学で博士号(心理学)を取得。その後、パシフィック・クリニック(L.A.)にてインターンを修了し、UCLAメディカル・センターにて臨床心理学及び行動医学のフェローシップ、及びミシガン大学付属メディカル・センターにて小児神経心理学フェローシップを修了。その後、ポンティアック州立ミシガン大学病院で診察にあたる。現在は各地の介護施設や病院などで精神鑑定及び心理療法の仕事を行っている。同時に、ノバイとアナーバーで専門医として個人開業もしている。

お願い:心理テスト、飲酒運転者の為の法廷指定カウンセリング、心理療法、教育相談など、従来通り行なっておりますが、留守電が聞き取れないことがあります。返答が無い場合は、もう一度おかけになるか、Eメールで御連絡下さい。

Tel:734-484-6911又は734-657-8220

vichikawadillon@comcast.net

1コメント

  1. はじめまして

    沖縄在住ですです。
    息子11歳は約2年間
    学校🏫に通いたがらず
    家でパソコンでユーチューブやゲームをする生活です。

    元々アメリカに住んで
    キンダーの時はホームスクールでした。

    ですので
    にほんの不登校児というのとは
    違います。

    週末はウェッブクラスに通い
    学校に通う仲良しの子達と
    遊びます。

    ホームスクールは
    思春期の恋愛について
    気にかかります。

    ひとと繋がり
    信頼しあい
    愛し合う

    そうできるホームスクール環境が
    日本でも欲しいです。

返事を書く

コメントを記入してください
お名前を記入してください