「殿、ご乱心!」と時代劇ならば叫びたくなるような白い物がチラつく程の突然の冷え込みで、家々を訪ね回ってお菓子を集める子供たちの楽しみが半減されたハロウィーンも終わり、サンクスギビングとクリスマスを残すのみとなりました。つい先日まで枯葉が舞い、落ち葉が吹き溜まるのを寂しく眺めていたと思っていたら、あっという間に11月。招きもしない冬が遠慮もせず、ずかずかと土足で入り込んで来たようです。夏前の長期予報では、今年の冬も昨年同様に寒く雪の多い冬になりそうという憂鬱な話がもっぱらでしたが、先日会った友人談によれば、その後予想が修正されて暖冬気味になる由。最近特に寒がりになった私にとっては朗報で、是非そうなって欲しいものです。

さて定番のスポーツの話題ですが、先月号はテニス尽くしでしたので、テニスの嫌いな人、テニスに興味のない人には価値のない記事でしたが、今月号は・・・やはりテニス抜きでは語れません。(笑) 日本の硬式テニスの歴史、やわらかなボールの美談など私自身も再発見、再認識する良い機会でしたが、読者の方からもいくつか好意的なコメントを頂きました。ありがとうございます。U.S.オープンの試合後「突然マッチポイントが来て」の一言がインターネットで飛び交って話題になり、決勝進出の歴史的偉業と共にテニス旋風を巻き起こした錦織選手はその後もマレーシアオープン、ジャパンオープンとATPアジアツアー2週連続優勝と自身初めての快挙を達成。直後の上海オープンでは腰痛と連戦による疲労の蓄積もあって残念ながら良いプレーが出来ず初戦敗退でしたが、3週間ぶりに参戦したマスターズパリ大会では勝ち進み、今年通年で獲得ポイント数ベスト8のエリートプレーヤーによるロンドンのツアー最終戦にアジア人初の出場権も確定しました。本号が各所に配布される頃に丁度始まりますのでとても楽しみです。是非応援しましょう!

さて本題ですが、今回は『何かが違う、一体何が?』です。

「毒食らわば、皿まで」と開き直る訳ではありませんが、一例として今の思考の流れが自然で容易なテニスを取り上げます。あっ、そこのテニスに食傷気味の方、すみませんが、もう少し辛抱して聞いてやって下さい。(笑)

今や活動拠点の米国や日本だけでなくアジア各国や欧州でも人気と話題の錦織選手ですが、彼がまだ小学生の頃に元プロテニス選手で今は熱いスポーツ評論家、コメンテーターとして知られる松岡修造さんが自分のキャンプに呼んでいち早くその天才に気付き、惜しみなくコーチング指導や支援を与え渡米するきっかけとなったのですが、そんな錦織選手も天賦の才能と類まれな抜群のスキルとボール感覚、コートセンスで17歳でプロになったものの、下部ツアーの頃から連日の激しい練習や出場可能な試合を探しての長距離移動、慣れない土地・環境での生活で泣いた事もあるとか。ATPのメインツアーに昇格してから私が知っている限りでもしばしば怪我に泣かされ、それも調子が良い時や上向いた頃に怪我して折角上がって来たランクや積み上げたポイントがまた下がってしまう苦難を度々味わいました。治療の間はもちろん、怪我が治ってもすぐにフルメニューや大きな負荷を掛けた練習は出来ませんし、やっとまともに練習が出来て試合に出れても対戦相手がその間にレベルアップし力を付けているので、そうそう簡単には勝たせてくれません。これは錦織選手に限った事ではなく、ナダルやマレー、ジョコビッチのような選手でも大小の怪我に悩まされています。

そのような経過や推移を見ると常に健康で勝ち続ける事、トップレベルを維持する事の難しさをひしひしと感じると同時に、同じ17歳でプロになってから20年以上も活躍し続けてメジャー大会を含む数々の栄冠に輝き、40歳にならんとする今もトップレベルをキープしているフェデラー選手の尋常でない凄さ、偉大さが一際光ります。

また、覚えていらっしゃる方もお見えと思いますが、3年前の2011年ジョコビッチ選手がシーズン開幕の大会優勝から始まりメジャー初戦の全豪オープン優勝、更に全仏オープン前哨戦のマドリードオープン決勝ではクレーで初めてナダル選手を破って優勝したのを含めて開幕から全仏オープンの準決勝で敗れるまで何と連続43試合無敗という神懸り的な連勝記録(史上3位)を達成した事がありました。3位といっても近年の競合レベルの高さと観客を呼べる有力選手には出場義務のある大会数が多く過酷なツアー日程を考えると実質的には1位相当ですね。何とその初黒星の相手が誰あろう、フェデラー選手でしたが、それまでのジョコビッチ選手のプレー振りは自信に満ち溢れ、出れば勝つ、相手が誰であろうと打ち負かす破竹の勢いで同年の4大大会で3勝し年間獲得賞金の新記録を樹立。それ以前の10年間王座を守ったフェデラー選手同様、本当に憎たらしい位強かったですね。

錦織選手がアジアツアーで2週連続優勝といっても試合数で言えば10試合足らずですから、43試合連勝というのがどれだけ大変な記録かですね。フェデラー選手の打ち立てた数々の記録も挙げれば切りがないので割愛しますが、他の選手達と何が違うのでしょうね?「何かが違う、一体何が?」と思いますよね。

私が思うに、それはセルフ・コントロール(自己管理、自己統制)能力だと思います。天性の運動能力・体力、テニスのスキル、反射神経、動体視力、ラケットさばき、バランス感覚、コートセンスなど色々な要素はありますが、ある程度のレベル以上になると、やはり何と言っても物心両面での自己管理・統制が最も大きいのではないかと思います。有名選手になればなる程オンコートだけでなく、オフコートでも注目を浴びます。大きな大会で優勝したり、何度か格上の選手を破って金星を上げたりするとファンやメディア、時にはパパラッチに追い掛けられてプライバシーを侵害されることもあります。そこで人気に舞い上がって羽目を外して暴飲・暴食したり、有名人気取りで不摂生な生活や振る舞いをしたり、自制心を失って不穏当または不適切な発言をしたり、怒りをぶちまけて暴力を振るったりするようでは、とてもオンコートでの好調は長続きしません。

今シーズン年頭の全豪オープンでメジャー大会初優勝したワウリンカ選手が突然それまでにないレベルの注目を浴び始め、メディアのインタビューや各種イベント出演依頼などで多忙を極め生活環境と日常の行動リズムがすっかり変わってしまい、肉体的にも精神的にも一時かなりまいって、同じスイスの英雄であるフェデラー選手や他の一流選手達は何年もの間一体どうやって対応しているのか想像出来なかったそうです。異次元の世界に踏み込んでしまった感じで、周りの景色がそれまでと全く違うとまで言ってましたね。そういう中で一流選手達は度を越した非礼なファンや嫌なメディア相手でも節度と品位を持って対応し、問題なくやり過ごしている点が一流とその他の違いと認め、自分自身もそれに近づけるように努力しているようです。

テニスの4大大会で優勝してもその後パッとせずいつの間にか消えて行ったプレーヤーは生涯一度だけあるいは一時的な栄光に終わったという事で『ワンタイム・チャーム』(一度切りの魅惑)とあだ名され、長からず皆の記憶から消えて行きます。これはテニスに限らず野球やゴルフ、フットボール、バスケットボールなど他のスポーツでも同じですね。日本の高校野球で人気のあった選手がドラフト1位でプロ入りしたものの、数年泣かず飛ばずで1軍入りしないまま退団とか、有名ゴルファーやフットボール選手が麻薬、異性問題、家庭内暴力、金銭問題などの不祥事、違法行為で逮捕、裁判、留置、契約解除、除名・退団とか色々ありますが、それらも根の問題は自己管理・統制に失敗したためです。にわか人気に舞い上がり、増長して自信過剰、節操がなくなって我がままし放題、転落、自滅のパターンです。湧き上がる過度の欲求、欲望を抑え切れず、自分を見失ってしまうのでしょうね。体調管理はもちろんですが、心の管理も重要です。錦織選手にはその点もしっかりわきまえながら成長を続けて欲しいものです。

私もそうですが、皆さんも何事によらず『ワンタイム・チャーム』で終わらぬように要注意ですね。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

 「殿、ご乱心!」と時代劇ならば叫びたくなるような白い物がチラつく程の突然の冷え込みで、家々を訪ね回ってお菓子を集める子供たちの楽しみが半減されたハロウィーンも終わり、サンクスギビングとクリスマスを残すのみとなりました。つい先日まで枯葉が舞い、落ち葉が吹き溜まるのを寂しく眺めていたと思っていたら、あっという間に11月。招きもしない冬が遠慮もせず、ずかずかと土足で入り込んで来たようです。夏前の長期予報では、今年の冬も昨年同様に寒く雪の多い冬になりそうという憂鬱な話がもっぱらでしたが、先日会った友人談によれば、その後予想が修正されて暖冬気味になる由。最近特に寒がりになった私にとっては朗報で、是非そうなって欲しいものです。

さて定番のスポーツの話題ですが、先月号はテニス尽くしでしたので、テニスの嫌いな人、テニスに興味のない人には価値のない記事でしたが、今月号は・・・やはりテニス抜きでは語れません。(笑) 日本の硬式テニスの歴史、やわらかなボールの美談など私自身も再発見、再認識する良い機会でしたが、読者の方からもいくつか好意的なコメントを頂きました。ありがとうございます。U.S.オープンの試合後「突然マッチポイントが来て」の一言がインターネットで飛び交って話題になり、決勝進出の歴史的偉業と共にテニス旋風を巻き起こした錦織選手はその後もマレーシアオープン、ジャパンオープンとATPアジアツアー2週連続優勝と自身初めての快挙を達成。直後の上海オープンでは腰痛と連戦による疲労の蓄積もあって残念ながら良いプレーが出来ず初戦敗退でしたが、3週間ぶりに参戦したマスターズパリ大会では勝ち進み、今年通年で獲得ポイント数ベスト8のエリートプレーヤーによるロンドンのツアー最終戦にアジア人初の出場権も確定しました。本号が各所に配布される頃に丁度始まりますのでとても楽しみです。是非応援しましょう!

さて本題ですが、今回は『何かが違う、一体何が?』です。

「毒食らわば、皿まで」と開き直る訳ではありませんが、一例として今の思考の流れが自然で容易なテニスを取り上げます。あっ、そこのテニスに食傷気味の方、すみませんが、もう少し辛抱して聞いてやって下さい。(笑)

今や活動拠点の米国や日本だけでなくアジア各国や欧州でも人気と話題の錦織選手ですが、彼がまだ小学生の頃に元プロテニス選手で今は熱いスポーツ評論家、コメンテーターとして知られる松岡修造さんが自分のキャンプに呼んでいち早くその天才に気付き、惜しみなくコーチング指導や支援を与え渡米するきっかけとなったのですが、そんな錦織選手も天賦の才能と類まれな抜群のスキルとボール感覚、コートセンスで17歳でプロになったものの、下部ツアーの頃から連日の激しい練習や出場可能な試合を探しての長距離移動、慣れない土地・環境での生活で泣いた事もあるとか。ATPのメインツアーに昇格してから私が知っている限りでもしばしば怪我に泣かされ、それも調子が良い時や上向いた頃に怪我して折角上がって来たランクや積み上げたポイントがまた下がってしまう苦難を度々味わいました。治療の間はもちろん、怪我が治ってもすぐにフルメニューや大きな負荷を掛けた練習は出来ませんし、やっとまともに練習が出来て試合に出れても対戦相手がその間にレベルアップし力を付けているので、そうそう簡単には勝たせてくれません。これは錦織選手に限った事ではなく、ナダルやマレー、ジョコビッチのような選手でも大小の怪我に悩まされています。

そのような経過や推移を見ると常に健康で勝ち続ける事、トップレベルを維持する事の難しさをひしひしと感じると同時に、同じ17歳でプロになってから20年以上も活躍し続けてメジャー大会を含む数々の栄冠に輝き、40歳にならんとする今もトップレベルをキープしているフェデラー選手の尋常でない凄さ、偉大さが一際光ります。

また、覚えていらっしゃる方もお見えと思いますが、3年前の2011年ジョコビッチ選手がシーズン開幕の大会優勝から始まりメジャー初戦の全豪オープン優勝、更に全仏オープン前哨戦のマドリードオープン決勝ではクレーで初めてナダル選手を破って優勝したのを含めて開幕から全仏オープンの準決勝で敗れるまで何と連続43試合無敗という神懸り的な連勝記録(史上3位)を達成した事がありました。3位といっても近年の競合レベルの高さと観客を呼べる有力選手には出場義務のある大会数が多く過酷なツアー日程を考えると実質的には1位相当ですね。何とその初黒星の相手が誰あろう、フェデラー選手でしたが、それまでのジョコビッチ選手のプレー振りは自信に満ち溢れ、出れば勝つ、相手が誰であろうと打ち負かす破竹の勢いで同年の4大大会で3勝し年間獲得賞金の新記録を樹立。それ以前の10年間王座を守ったフェデラー選手同様、本当に憎たらしい位強かったですね。

錦織選手がアジアツアーで2週連続優勝といっても試合数で言えば10試合足らずですから、43試合連勝というのがどれだけ大変な記録かですね。フェデラー選手の打ち立てた数々の記録も挙げれば切りがないので割愛しますが、他の選手達と何が違うのでしょうね?「何かが違う、一体何が?」と思いますよね。

私が思うに、それはセルフ・コントロール(自己管理、自己統制)能力だと思います。天性の運動能力・体力、テニスのスキル、反射神経、動体視力、ラケットさばき、バランス感覚、コートセンスなど色々な要素はありますが、ある程度のレベル以上になると、やはり何と言っても物心両面での自己管理・統制が最も大きいのではないかと思います。有名選手になればなる程オンコートだけでなく、オフコートでも注目を浴びます。大きな大会で優勝したり、何度か格上の選手を破って金星を上げたりするとファンやメディア、時にはパパラッチに追い掛けられてプライバシーを侵害されることもあります。そこで人気に舞い上がって羽目を外して暴飲・暴食したり、有名人気取りで不摂生な生活や振る舞いをしたり、自制心を失って不穏当または不適切な発言をしたり、怒りをぶちまけて暴力を振るったりするようでは、とてもオンコートでの好調は長続きしません。

今シーズン年頭の全豪オープンでメジャー大会初優勝したワウリンカ選手が突然それまでにないレベルの注目を浴び始め、メディアのインタビューや各種イベント出演依頼などで多忙を極め生活環境と日常の行動リズムがすっかり変わってしまい、肉体的にも精神的にも一時かなりまいって、同じスイスの英雄であるフェデラー選手や他の一流選手達は何年もの間一体どうやって対応しているのか想像出来なかったそうです。異次元の世界に踏み込んでしまった感じで、周りの景色がそれまでと全く違うとまで言ってましたね。そういう中で一流選手達は度を越した非礼なファンや嫌なメディア相手でも節度と品位を持って対応し、問題なくやり過ごしている点が一流とその他の違いと認め、自分自身もそれに近づけるように努力しているようです。

テニスの4大大会で優勝してもその後パッとせずいつの間にか消えて行ったプレーヤーは生涯一度だけあるいは一時的な栄光に終わったという事で『ワンタイム・チャーム』(一度切りの魅惑)とあだ名され、長からず皆の記憶から消えて行きます。これはテニスに限らず野球やゴルフ、フットボール、バスケットボールなど他のスポーツでも同じですね。日本の高校野球で人気のあった選手がドラフト1位でプロ入りしたものの、数年泣かず飛ばずで1軍入りしないまま退団とか、有名ゴルファーやフットボール選手が麻薬、異性問題、家庭内暴力、金銭問題などの不祥事、違法行為で逮捕、裁判、留置、契約解除、除名・退団とか色々ありますが、それらも根の問題は自己管理・統制に失敗したためです。にわか人気に舞い上がり、増長して自信過剰、節操がなくなって我がままし放題、転落、自滅のパターンです。湧き上がる過度の欲求、欲望を抑え切れず、自分を見失ってしまうのでしょうね。体調管理はもちろんですが、心の管理も重要です。錦織選手にはその点もしっかりわきまえながら成長を続けて欲しいものです。

私もそうですが、皆さんも何事によらず『ワンタイム・チャーム』で終わらぬように要注意ですね。

執筆者紹介:小久保陽三

Premia Partners, LLC (プレミア・パートナーズ・エルエルシー) パートナー。主に北米進出の日系企業向け経営・人事関連コンサルタント業務に従事。慶応義塾大学経済学部卒。愛知県の自動車関連部品・工業用品メーカーに入社後、化成品営業、社長室、総合開発室、米国ニューヨークの子会社、経営企画室、製品開発部、海外事業室、デトロイトの北米事業統括会社、中西部の合弁会社、WIN Advisory Group, Inc.勤務を経て現在に至る。外国企業との合弁契約、技術導入・援助契約、海外現地法人設立・立ち上げ・運営、人事問題取扱い経験豊富。06年7月より本紙に寄稿中。JBSD個人会員。

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