
College for Creative Studies(通称CCS)では、今年も“Automotive Cultural Immersion Workshop”が開講された。このワークショップは、日本の自動車企業の若手カーデザイナーを対象とした3週間の夏期特別強化特訓クラスで、CCS学舎に隣接する学生寮に滞在し、カーデザインの醍醐味を学ぶようにプランされた体験型ワークショップで、今年で4回目の開講となる。
参加者は、トヨタ自動車(株)、ヤマハ発動機(株)、(株)テクノアートリサーチ、スバル/富士重工業(株), 日野自動車、いすゞ自動車(株)、マツダ(株)、日産自動車(株)、アイシン精機(株)、(株)豊田自動織機, トヨタ車体(株)の11社からの13名に加えて中国のInterior Motivesの受賞者4名の合計17名の受講となった。
教鞭は、同大学のトランスポーテーション・デザイン学科の伊藤邦久教授とブライアン・ベイカー准教授がとった。
CCSは美術学校として創立100年以上の歴史がある中、トランスポーテーション・デザインに関しては、他のデザイン学校と比べるとかなり特化している。理由は土地柄、自動車産業の発展が大きく関与していることに他ならないが、車のデザインにおける徹底した教育理念とプロフェッショナルスキルの習得には業界からの定評がある。この“Automotive Cultural Immersion Workshop”は、日本の自動車企業から、若手デザイナーの特訓を依頼されたことがきっかけで、「CCS流の教育を自動車文化発祥の聖地にて学ぶ」という信条を基に考案されたもので、講義は教室内のクラスワークだけでなく、アメリカの自動車文化を体感するリサーチトリップがともにあることに大きな意味を占める。リサーチトリップとは、自動車が誕生したデトロイト界隈をはじめアメリカ中西部にある自動車に関する博物館やイベントに参加し、自動車のデザインの歴史、アメリカ人の車に対する思い、などを見て知って体験する野外活動で、リサーチトリップで習得したことは自分のデザインコンセプトに活かすことが課題付けられている。
訪れた箇所は以下の通り、ミシガン州をはじめ5州にわたり10カ所を超える。
今年の課題は「American Style Hot-Rod with Japanese Components for 2030」
(自分の会社の特性を込めた2030年のアメリカ流のホットロッド)で、自社の看板を背負ってのデザイン構築は、各社の好調な北米での販売を思えば、北米のマーケットを考えて車一台をデザインできる絶好の機会であった。リサーチトリップの感想は「アメリカの大型トラックやトレーラーは、想像以上に大きくてビックリした。実際に高速道路を走行しているのを間近にみてダイナミックさを体で感じた。」
「アメリカ人の車好きがここまで深く広いことに感心した。」 「空がどこまでも広がっていて、本当に広いなー、と実感した。」
「車のデザインに、実はこんなに飛行機の影響があったとことを知った。エアーショウとカーショウ両方を訪れて本当にそれが随所に発見できた。」など、見て知って体感した文化や歴史、人々の趣味趣向は、大きな感動や衝撃となったようで、各自が収めたカメラやビデオそしてスケッチブックの描写は膨大なものになった。
学舎に戻って、いわゆるCCS流の講義および実技指導(Design Methodology, Design Concepts, Ideation Sketching, Rendering, Packaging, Model Making)がほどこされた。伊藤教授いわく、「コンピューターに頼りすぎたデザインに日本の自動車会社からも嘆きを聞く昨今、小さなイラスト画のようなものを描いて、後はコンピューターの技術に任せて拡大、適当な傾斜を入れて、3Dまで出来上がってしまうのは効率的かもしれないが、それではきちんとした根拠有るデザインにはならない。やはりカーデザイナー足るや、自分で描いて自分で立体を理解してクリエイトするべき。」と、描くことや立体を表現することの大切さをデモンストレートしながら講じた。リサーチトリップで受けた刺激を持って自らのデザインに向き合うために、何十何百にのぼるアイディアスケッチを描き、随時Hands-onの指導がはいり、参加者たちの試行錯誤の作業が続く。極限に追い込まれた苦悩の末に出来上がるプロセスがあってこそ、自信のあるデザインは生み出されるようで、誰もが夜を徹して自分の作品に没頭した最後の一週間であった。
ファイナルプレゼンテーションは、地元の自動車関係者の招待客を前に英語でのプレゼンテーションが課せられた。はじめての英語のプレゼンとなった参加者がほとんどだったが、要所を得たポイントの掲げ方や英語の指導もリハーサルを通して行われた。プレゼンにこぎ着けた各々の立体モデルには、各社の会社のロゴマークがつけられて、課題どおり自社の特性をデザインに込めた思いの発表となった。
プレゼンテーションが終わると招待客も一同着席し、ワークショップ期間中の3週間のハイライトのビデオが披露された。これはワークショップ参加者から集められた9万枚に及ぶ写真をCCSのエンターテイメント学科3年生が編集制作したもので、授業風景、リサーチトリップ、寮での生活、自分のデザインと向き合う苦闘の様子、などが見てよくわかるストーリーになっていた。最後にはCCSの学長より修了証の授与があり、2014年度の”Automotive Cultural Immersion Workshop”は幕を閉じることになった。
参加者からは、「日本とは全く違うアメリカの文化、人々の考え方、車に対する思いを感じることができた。」「カーデザイナーとして大切なことを改めて考える機会となった」「これまで知らなかったテクニックを教えてもらって、これからの自分のデザインに活かすことができる。」「他の会社の同業者(カーデザイナー)と親しくなることは普通ではありえないこと。今回の3週間の共同生活で一生の友情が築けた。」と、それぞれのこの三週間は有意義なものになった様子が伺えた。
今後、ワークショップに参加した各社から素晴らしいデザインが生まれ、日本自動車企業のデザインの活力となってくれることを願いたい。
College for Creative Studies(通称CCS)では、今年も“Automotive Cultural Immersion Workshop”が開講された。このワークショップは、日本の自動車企業の若手カーデザイナーを対象とした3週間の夏期特別強化特訓クラスで、CCS学舎に隣接する学生寮に滞在し、カーデザインの醍醐味を学ぶようにプランされた体験型ワークショップで、今年で4回目の開講となる。
参加者は、トヨタ自動車(株)、ヤマハ発動機(株)、(株)テクノアートリサーチ、スバル/富士重工業(株), 日野自動車、いすゞ自動車(株)、マツダ(株)、日産自動車(株)、アイシン精機(株)、(株)豊田自動織機, トヨタ車体(株)の11社からの13名に加えて中国のInterior Motivesの受賞者4名の合計17名の受講となった。
教鞭は、同大学のトランスポーテーション・デザイン学科の伊藤邦久教授とブライアン・ベイカー准教授がとった。
CCSは美術学校として創立100年以上の歴史がある中、トランスポーテーション・デザインに関しては、他のデザイン学校と比べるとかなり特化している。理由は土地柄、自動車産業の発展が大きく関与していることに他ならないが、車のデザインにおける徹底した教育理念とプロフェッショナルスキルの習得には業界からの定評がある。この“Automotive Cultural Immersion Workshop”は、日本の自動車企業から、若手デザイナーの特訓を依頼されたことがきっかけで、「CCS流の教育を自動車文化発祥の聖地にて学ぶ」という信条を基に考案されたもので、講義は教室内のクラスワークだけでなく、アメリカの自動車文化を体感するリサーチトリップがともにあることに大きな意味を占める。リサーチトリップとは、自動車が誕生したデトロイト界隈をはじめアメリカ中西部にある自動車に関する博物館やイベントに参加し、自動車のデザインの歴史、アメリカ人の車に対する思い、などを見て知って体験する野外活動で、リサーチトリップで習得したことは自分のデザインコンセプトに活かすことが課題付けられている。
訪れた箇所は以下の通り、ミシガン州をはじめ5州にわたり10カ所を超える。
今年の課題は「American Style Hot-Rod with Japanese Components for 2030」
(自分の会社の特性を込めた2030年のアメリカ流のホットロッド)で、自社の看板を背負ってのデザイン構築は、各社の好調な北米での販売を思えば、北米のマーケットを考えて車一台をデザインできる絶好の機会であった。リサーチトリップの感想は「アメリカの大型トラックやトレーラーは、想像以上に大きくてビックリした。実際に高速道路を走行しているのを間近にみてダイナミックさを体で感じた。」
「アメリカ人の車好きがここまで深く広いことに感心した。」 「空がどこまでも広がっていて、本当に広いなー、と実感した。」
「車のデザインに、実はこんなに飛行機の影響があったとことを知った。エアーショウとカーショウ両方を訪れて本当にそれが随所に発見できた。」など、見て知って体感した文化や歴史、人々の趣味趣向は、大きな感動や衝撃となったようで、各自が収めたカメラやビデオそしてスケッチブックの描写は膨大なものになった。
学舎に戻って、いわゆるCCS流の講義および実技指導(Design Methodology, Design Concepts, Ideation Sketching, Rendering, Packaging, Model Making)がほどこされた。伊藤教授いわく、「コンピューターに頼りすぎたデザインに日本の自動車会社からも嘆きを聞く昨今、小さなイラスト画のようなものを描いて、後はコンピューターの技術に任せて拡大、適当な傾斜を入れて、3Dまで出来上がってしまうのは効率的かもしれないが、それではきちんとした根拠有るデザインにはならない。やはりカーデザイナー足るや、自分で描いて自分で立体を理解してクリエイトするべき。」と、描くことや立体を表現することの大切さをデモンストレートしながら講じた。リサーチトリップで受けた刺激を持って自らのデザインに向き合うために、何十何百にのぼるアイディアスケッチを描き、随時Hands-onの指導がはいり、参加者たちの試行錯誤の作業が続く。極限に追い込まれた苦悩の末に出来上がるプロセスがあってこそ、自信のあるデザインは生み出されるようで、誰もが夜を徹して自分の作品に没頭した最後の一週間であった。
ファイナルプレゼンテーションは、地元の自動車関係者の招待客を前に英語でのプレゼンテーションが課せられた。はじめての英語のプレゼンとなった参加者がほとんどだったが、要所を得たポイントの掲げ方や英語の指導もリハーサルを通して行われた。プレゼンにこぎ着けた各々の立体モデルには、各社の会社のロゴマークがつけられて、課題どおり自社の特性をデザインに込めた思いの発表となった。
プレゼンテーションが終わると招待客も一同着席し、ワークショップ期間中の3週間のハイライトのビデオが披露された。これはワークショップ参加者から集められた9万枚に及ぶ写真をCCSのエンターテイメント学科3年生が編集制作したもので、授業風景、リサーチトリップ、寮での生活、自分のデザインと向き合う苦闘の様子、などが見てよくわかるストーリーになっていた。最後にはCCSの学長より修了証の授与があり、2014年度の”Automotive Cultural Immersion Workshop”は幕を閉じることになった。
参加者からは、「日本とは全く違うアメリカの文化、人々の考え方、車に対する思いを感じることができた。」「カーデザイナーとして大切なことを改めて考える機会となった」「これまで知らなかったテクニックを教えてもらって、これからの自分のデザインに活かすことができる。」「他の会社の同業者(カーデザイナー)と親しくなることは普通ではありえないこと。今回の3週間の共同生活で一生の友情が築けた。」と、それぞれのこの三週間は有意義なものになった様子が伺えた。
今後、ワークショップに参加した各社から素晴らしいデザインが生まれ、日本自動車企業のデザインの活力となってくれることを願いたい。