オークランド大学(Rochester, Michigan)で学生対象の「漢字と書道のワークショップ」が6月10日(火)に開かれた。その様子をリポートする。
5年前に同大学では日本語が主専攻に加わった。学科の発展促進ため同大学によりJapanese Program Fundが設立され、今回のワークショップもそのひとつとして開催された。
ワークショップは二つの内容で構成。現代言語文学科・柏木明子助教授は漢字の部首を取り上げ、学生たちにレクチャーを行った。漢字の総数は約5万字とも16万字ともいわれ、そのうち日本の学校教育で学習する「常用漢字」は2 , 1 3 6字ある。日本語学習者にとっては数が膨大で、意味や形を一から学習し理解することは容易でなく、漢字は敬遠されがち。柏木助教授は漢字の成り立ちの歴史から説明。次に漢字の部首はシステマティックであり、見た目でどのような意味の漢字なのかわかりやすいことに着目した。膨大な数の漢字も、18世紀初めの清の時代に作られた「康煕字典(こうきじてん)」では241部首に分けられている。その中でも「さんずい、いとへん」などよく知られている6部首を持つ漢字はそれぞれ50字以上ある。それらを覚えれば漢字を識別し意味を理解するのに大きく役立つ、と話していた。また、漢字は筆順にも大まかなルールがあることも説明した。日本語を専攻しているアレックス・マインキーさん(同大学3年生)は「漢字の歴史が好き、おもしろい」と感想を話してくれた。
ワークショップはレクチャーに続いて、日本の伝統文化の紹介に入った。廣川眞子講師が、漢字は仏教の経典の書写や政治の記録に用いられ、書道は現代では芸術、伝統文化、学校教育としても日本で行われていると説明。実際に学生たちは筆を手にとって書道に挑戦した。特に筆にかける筆圧、穂先の向きなどに注意するので、書道は筆と手が連動した芸術であるとも伝えた。学生たちは「平和」の二文字を書き上げた。日本語学習暦6年のアシェリー・ホービーさんは左利き。「書道は難しかったけれど筆を持つのが楽しかった。左手で学ぶことができた。」としっかりとした日本語で話していた。
今回の2時間のワークショップは漢字をわかりやすく解説、「書は人なり」と言われる書道体験も行われ盛りだくさんな企画であった。柏木助教授は「日系企業でアメリカ人が働くときには800字ほどの漢字が識別できるとよい」と話しており、学生たちの笑顔からは漢字への親しみを深めたことが窺えた。キャンパスはサマー・セメスターに入っていたにもかかわらず約30名が参加。同大学では主専攻だけではなく、ビジネス、コンピュータサイエンス、他の外国語とのダブルメージャーや副専攻として日本語を取る学生も多いとのこと。
文:廣川眞子
写真提供:オークランド大学
オークランド大学(Rochester, Michigan)で学生対象の「漢字と書道のワークショップ」が6月10日(火)に開かれた。その様子をリポートする。
5年前に同大学では日本語が主専攻に加わった。学科の発展促進ため同大学によりJapanese Program Fundが設立され、今回のワークショップもそのひとつとして開催された。
ワークショップは二つの内容で構成。現代言語文学科・柏木明子助教授は漢字の部首を取り上げ、学生たちにレクチャーを行った。漢字の総数は約5万字とも16万字ともいわれ、そのうち日本の学校教育で学習する「常用漢字」は2 , 1 3 6字ある。日本語学習者にとっては数が膨大で、意味や形を一から学習し理解することは容易でなく、漢字は敬遠されがち。柏木助教授は漢字の成り立ちの歴史から説明。次に漢字の部首はシステマティックであり、見た目でどのような意味の漢字なのかわかりやすいことに着目した。膨大な数の漢字も、18世紀初めの清の時代に作られた「康煕字典(こうきじてん)」では241部首に分けられている。その中でも「さんずい、いとへん」などよく知られている6部首を持つ漢字はそれぞれ50字以上ある。それらを覚えれば漢字を識別し意味を理解するのに大きく役立つ、と話していた。また、漢字は筆順にも大まかなルールがあることも説明した。日本語を専攻しているアレックス・マインキーさん(同大学3年生)は「漢字の歴史が好き、おもしろい」と感想を話してくれた。
ワークショップはレクチャーに続いて、日本の伝統文化の紹介に入った。廣川眞子講師が、漢字は仏教の経典の書写や政治の記録に用いられ、書道は現代では芸術、伝統文化、学校教育としても日本で行われていると説明。実際に学生たちは筆を手にとって書道に挑戦した。特に筆にかける筆圧、穂先の向きなどに注意するので、書道は筆と手が連動した芸術であるとも伝えた。学生たちは「平和」の二文字を書き上げた。日本語学習暦6年のアシェリー・ホービーさんは左利き。「書道は難しかったけれど筆を持つのが楽しかった。左手で学ぶことができた。」としっかりとした日本語で話していた。
今回の2時間のワークショップは漢字をわかりやすく解説、「書は人なり」と言われる書道体験も行われ盛りだくさんな企画であった。柏木助教授は「日系企業でアメリカ人が働くときには800字ほどの漢字が識別できるとよい」と話しており、学生たちの笑顔からは漢字への親しみを深めたことが窺えた。キャンパスはサマー・セメスターに入っていたにもかかわらず約30名が参加。同大学では主専攻だけではなく、ビジネス、コンピュータサイエンス、他の外国語とのダブルメージャーや副専攻として日本語を取る学生も多いとのこと。
文:廣川眞子
写真提供:オークランド大学