
2月16日(日)、デトロイト剣道道場主催による剣道大会がノバイハイスクールを会場にして開催された。恒例となったこのデトロイト・オープン剣道トーナメントは今年で16回目を迎え、全米各地、カナダ、さらに日本からも参加者が集まり、280余名が一堂に会する盛大な大会となった。北米の他の地区でも剣道トーナメントが開かれるが、全米剣道連盟主催の大会を除くと、デトロイトが最も規模が大きいとのこと。
デトロイト道場は、北米で唯一剣道教士八段を有する田川順照氏を筆頭に、指導者に恵まれて充実していること、加えて、このトーナメントに例年日本から優れた剣士を招いていることが盛況の鍵といえる。今回は中部管区警察学校の師範を務める山崎尚氏(教士八段)が来訪し、トーナメントの前日にはセミナーを行ない、大会当日は田川氏と共に形の実演や模範稽古を披露した。
田川氏は開会式で「本大会は激しく剣の技を競う場であるだけでなく、友好、交流の場でもある。」と伝えた。同道場の保護者を中心とする大会実行委員に対する感謝と、本大会の成功ならびに参加者の健闘を期する言葉を述べた。
片山総領事が来賓として出席し、開会にあたって、16年にわたる当地での大会開催を称え、山崎教士の渡米に対する謝辞を伝えた。ご自身の高校時代の剣道体験も元に、武道は技術のみならず精神の修練を目指す厳しさがあることに触れ、それが近年、武道が中学校で必修になった要因であろうと述べた。
開会式に続いて行われた日本剣道形の演武では、田川、山崎、両剣道教士八段の一分の隙も無い構えが放つ気迫が広い体育館に満ち、誰もが微動だにせず見入っていた。
トーナメントは、ユース部門および成人無段者の個人戦からスタートし、高段者、団体戦まで、6面のコートでおよそ10時間にわたって順次進められ、各コートで熱戦が繰り広げられた。
テキサスから参加していた男性は、遠方から来る価値があると称賛し、「田川先生の人力があるので、人を惹きつけるのだと思う」と話す。所属しているAustin剣道同志会は少人数での活動なので、この大会で大勢の人に会い、対戦できるのが嬉しいとのこと。日本の学生時代に見知った剣士との再会もあったそうだ。
大会に参加する息子のためにミネソタから10時間程のドライブで来訪していた母親は「デトロイト道場や保護者の方々のお蔭で、良い経験をすることができる」と感謝の声。その一方で、同道場の保護者は「大変ではあるが、ここに居ながら日本の高段者の指導を受け、他州の子供と対戦もできて、恵まれている」と話す。
デトロイト道場は開設18年目を迎えるが、初日から通い始めた三矢さんは、一旦は学校や仕事の都合で剣道から離れていたが、同道場に昨秋復帰し、十数年ぶり大会の出場となった。再開した理由を「気を引き締めるため」と語る。田川氏は「戻ってきて嬉しい」と教え子の復帰を喜び、「剣道は生涯剣道。また磨こうという気になればいつでもできる」と話す。同道場には中学以来のブランクの後、還暦(60歳)を機に再スタートした剣士もいる。生涯剣士として練習を続けていきたいと語る。
アメリカでの指導は初めてという山崎教士に、トーナメント前日に行なわれたセミナーの様子について伺ったところ、「非常に熱心に取り組んでいました。皆さんの剣道に対する姿勢、情熱や一生懸命さを見て、学ぶものがありました」との感想。日本ではセミナーが多いが、ここでは貴重な機会であるためであろうと話す。また、「日本の武道が、目も髪の色も違う人にこれほど親しまれていることに感動しました。『交剣知愛』や『一期一会』という言葉がありますが、剣道を通して世界のどこでも人と出会えるのが嬉しいです」としみじみ語られた。
本大会には、2013年アジアジュニア剣道選手権大会の優勝者である10歳の土屋優輝くん(10歳)が日本から参加し、長旅の疲れや時差にも拘らず奮闘した。的確に声をかけていた監督役の父親は教士七段で、全日本剣道連盟公認の上級指導者でもある。土屋氏は、「自分が剣道で得た多くのことを子どもに伝えたい。日本だけでなく世界に飛び出して学んで欲しい」と心情を語る。土屋氏は2011年には優輝くんの姉でありアジアジュニア剣道選手権大会の前年優勝者である麗華さん(当時11歳)を連れて当地に来訪しており、麗華さんは見事な戦いぶりで優勝を収めた。土屋氏は今年のユースの部の様子を見て「ユース参加者のレベルが格段に上がっている」と評価。他ならぬ土屋姉弟が刺激を与えているに違いない。土屋氏は「(自身の)子どもの成果は多くの方のサポートのお蔭で、感謝しきれないと話す。人の繋がりが影響し合い、作用が広がっているのだと感じる。
本大会でデトロイト剣道道場は、団体戦で2位、ユースの部の団体戦でも2位を獲得。十数年ぶりの大会出場となった三矢さん(Mitsuya Maki)が無段成人の部で優勝を収めたほか、シニア部の1位にFukaya Osamu(深谷)、3位にMizusawa Hidemitsu(水澤)が名を連ねた。
同道場では近年子どもが増え、現在のメンバーは50人を超す。層が厚くなり、活気溢れる道場の更なる充実が期される。
デトロイト剣道道場の練習日、会場など、詳細は以下ホームページで。
2月16日(日)、デトロイト剣道道場主催による剣道大会がノバイハイスクールを会場にして開催された。恒例となったこのデトロイト・オープン剣道トーナメントは今年で16回目を迎え、全米各地、カナダ、さらに日本からも参加者が集まり、280余名が一堂に会する盛大な大会となった。北米の他の地区でも剣道トーナメントが開かれるが、全米剣道連盟主催の大会を除くと、デトロイトが最も規模が大きいとのこと。
デトロイト道場は、北米で唯一剣道教士八段を有する田川順照氏を筆頭に、指導者に恵まれて充実していること、加えて、このトーナメントに例年日本から優れた剣士を招いていることが盛況の鍵といえる。今回は中部管区警察学校の師範を務める山崎尚氏(教士八段)が来訪し、トーナメントの前日にはセミナーを行ない、大会当日は田川氏と共に形の実演や模範稽古を披露した。
田川氏は開会式で「本大会は激しく剣の技を競う場であるだけでなく、友好、交流の場でもある。」と伝えた。同道場の保護者を中心とする大会実行委員に対する感謝と、本大会の成功ならびに参加者の健闘を期する言葉を述べた。
片山総領事が来賓として出席し、開会にあたって、16年にわたる当地での大会開催を称え、山崎教士の渡米に対する謝辞を伝えた。ご自身の高校時代の剣道体験も元に、武道は技術のみならず精神の修練を目指す厳しさがあることに触れ、それが近年、武道が中学校で必修になった要因であろうと述べた。
開会式に続いて行われた日本剣道形の演武では、田川、山崎、両剣道教士八段の一分の隙も無い構えが放つ気迫が広い体育館に満ち、誰もが微動だにせず見入っていた。
トーナメントは、ユース部門および成人無段者の個人戦からスタートし、高段者、団体戦まで、6面のコートでおよそ10時間にわたって順次進められ、各コートで熱戦が繰り広げられた。
テキサスから参加していた男性は、遠方から来る価値があると称賛し、「田川先生の人力があるので、人を惹きつけるのだと思う」と話す。所属しているAustin剣道同志会は少人数での活動なので、この大会で大勢の人に会い、対戦できるのが嬉しいとのこと。日本の学生時代に見知った剣士との再会もあったそうだ。
大会に参加する息子のためにミネソタから10時間程のドライブで来訪していた母親は「デトロイト道場や保護者の方々のお蔭で、良い経験をすることができる」と感謝の声。その一方で、同道場の保護者は「大変ではあるが、ここに居ながら日本の高段者の指導を受け、他州の子供と対戦もできて、恵まれている」と話す。
デトロイト道場は開設18年目を迎えるが、初日から通い始めた三矢さんは、一旦は学校や仕事の都合で剣道から離れていたが、同道場に昨秋復帰し、十数年ぶり大会の出場となった。再開した理由を「気を引き締めるため」と語る。田川氏は「戻ってきて嬉しい」と教え子の復帰を喜び、「剣道は生涯剣道。また磨こうという気になればいつでもできる」と話す。同道場には中学以来のブランクの後、還暦(60歳)を機に再スタートした剣士もいる。生涯剣士として練習を続けていきたいと語る。
アメリカでの指導は初めてという山崎教士に、トーナメント前日に行なわれたセミナーの様子について伺ったところ、「非常に熱心に取り組んでいました。皆さんの剣道に対する姿勢、情熱や一生懸命さを見て、学ぶものがありました」との感想。日本ではセミナーが多いが、ここでは貴重な機会であるためであろうと話す。また、「日本の武道が、目も髪の色も違う人にこれほど親しまれていることに感動しました。『交剣知愛』や『一期一会』という言葉がありますが、剣道を通して世界のどこでも人と出会えるのが嬉しいです」としみじみ語られた。
本大会には、2013年アジアジュニア剣道選手権大会の優勝者である10歳の土屋優輝くん(10歳)が日本から参加し、長旅の疲れや時差にも拘らず奮闘した。的確に声をかけていた監督役の父親は教士七段で、全日本剣道連盟公認の上級指導者でもある。土屋氏は、「自分が剣道で得た多くのことを子どもに伝えたい。日本だけでなく世界に飛び出して学んで欲しい」と心情を語る。土屋氏は2011年には優輝くんの姉でありアジアジュニア剣道選手権大会の前年優勝者である麗華さん(当時11歳)を連れて当地に来訪しており、麗華さんは見事な戦いぶりで優勝を収めた。土屋氏は今年のユースの部の様子を見て「ユース参加者のレベルが格段に上がっている」と評価。他ならぬ土屋姉弟が刺激を与えているに違いない。土屋氏は「(自身の)子どもの成果は多くの方のサポートのお蔭で、感謝しきれないと話す。人の繋がりが影響し合い、作用が広がっているのだと感じる。
本大会でデトロイト剣道道場は、団体戦で2位、ユースの部の団体戦でも2位を獲得。十数年ぶりの大会出場となった三矢さん(Mitsuya Maki)が無段成人の部で優勝を収めたほか、シニア部の1位にFukaya Osamu(深谷)、3位にMizusawa Hidemitsu(水澤)が名を連ねた。
同道場では近年子どもが増え、現在のメンバーは50人を超す。層が厚くなり、活気溢れる道場の更なる充実が期される。
デトロイト剣道道場の練習日、会場など、詳細は以下ホームページで。